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神話:ヒョウタンの中の世界

——歴史から修煉を探る

(明慧日本)中国東漢(25-220年、日本では後漢という)の時、汝南(じょなん)という町に薬を売る老人がいた。老人の薬はあらゆる病気を治せた。老人は薬を買う人に、「薬を飲んだ後は、良くない物を吐きだして、数日後に病気が治ります」と言った。薬を飲んだ人によると、老人の話は全て的中したという。その老人は薬を売って高収入を得ていたが、その収入の中から少しだけを残し、残りの金は全て町にいる貧しい人に施した。町の人は老人の薬売り場の座席によくヒョウタンがかかっているのを見かけた。不思議なのは、毎日日没後に、老人はいなくなり、がらんとしている。部屋にあるのはヒョウタンだけで、誰も老人の行方を知らなかった。

  その後、当地のある官吏が老人の秘密を発見した。それは毎日日没後、老人がヒョウタンの中に跳び込むことだった。この官吏は老人が普通の人ではないと気づき、毎日老人のためにご飯を作り、掃除をした。老人も遠慮なくご飯を食べたという。長い時を経て、老人は怠けることもなく、求めることのない官吏に、求道の心を感じた。ある日、老人は官吏に「暗くなったら、誰もいない時に、1人でここに来るのじゃ」と言った。約束通り、官吏が夜中に老人のところへ行くと、老人は「わしがヒョウタンに跳んで行く時、同じように跳べば、わしと一緒に中に入れる」と、話が終わった途端にいなくなった。官吏も老人に随ってヒョウタンに跳び込んだ。

  ヒョウタンの中に入ってみると、色とりどりの光りに輝きながら次々に重なる宮殿、曲がりくねる回廊の景色が官吏の目の前に現れた。実に美しい広い世界であった。数十人の従者が老人の左右に立ち並んだ。老人は「わしは仙人で、過ちを償うために、しばらく人間界に左遷されたのじゃ。あなたは縁があり、道を教えることができる人で、だからわしと会えたのじゃ」 官吏はヒョウタンの中で老人の弟子入りをすることにした。

  ある日、老人は酒を用意して、一緒に飲まないかと官吏を誘った。しかし、酒の樽が重くて、官吏が何十人を呼んでも、持ち運べないという。その時、老人が指一本で軽く酒を持ち上げた。官吏は老人と夜明けまで飲んだ。しかし、酒は少ないように見えたがなかなか飲みきれなかった。老人は「数日後、わしは天界に戻る、わしと一緒に行きたいか」と聞いた。「決心しました。一緒にいきます。しかし、家族に見つからないようにするにはどうすればいいですか」と官吏が質問した。「簡単だ。あなたは家に帰った時、寝たきりの状態で仮病を使い、明後日、この青い竹の杖をベッドに置き、その後は何も喋らないで、すぐ家から出るといい」と話しながら竹を官吏に渡した。官吏は言われた通りにやった。その結果、官吏の家族が見たのは竹ではなく、官吏本人が死んでいるように見え、やむを得ず官吏を埋葬した。

  官吏は老人の所に戻り、ぼんやりしている間にあるところに着いた。そこから、仙人の道への試験が待っていった。第一の関は、官吏がトラの間に置かれ、トラ達が凶悪な目で、鋭い歯を見せながら、ぱっくり開いた口で官吏を食べようとした。官吏は恐れることもなく心が動じなかった。翌日の第二の関は、官吏が蛇だらけの部屋に置かれ、部屋の真ん中に草のひもで大きな石がぶら下がっていた。蛇達がひもをかじって、石は崩壊寸前になったが、官吏はやはり騒がず泰然自若としていた。第三の関は、老人はにこにこして「見たところ、あなたは確かに教えるに足る人材だ」と言いながら、一皿のウジムシのウンコを取り出して、食べさせようとした。官吏は悪臭を嗅いで食べられなかった。それを見た老人は「あなたは結局、神になれない。地上の王としてしか長生き(何百年)できない」と嘆いた。あの悪臭のする食べ物は仙薬で、この人に求道の心が堅いかどうかを試すために、変幻した仮相であった。

  官吏は仙人への道で合格できなかったことを後悔した。しかし、どうやって家に戻れるか分からないというと、老人は竹の棒を渡し、それに乗れば家に戻れると官吏に言った。官吏は竹の棒に乗った瞬間、家の前に着いた。その時、竹の棒は蒼い竜と化して飛び去った。家族は官吏を見て、鬼だと思い込んで驚いた。官吏はそれまでの経緯を説明して、棺を掘り出し、中にはやはり一本の竹があると家族に見せた。官吏は家を出て1日しか経っていないと感じたが、家族に聞くと、1年も過ぎていたという。仙人にはなれなかったが、官吏は世間の小道を学んだので、人の病気を治し、1日に千里を行くこともできたという。

 (『四庫全書 — 子部十四 — 神仙伝』より)

  2010年8月2日

(中国語:http://search.minghui.org/mh/articles/2002/7/3/32745.html

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