東京 生体臓器狩りの停止を求める一連の活動
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 【明慧日本2016年12月7日】世界に問題を提起した中国政府主導の生体臓器移植。その臓器は一体どこから来るのかについて調査し、報告をしたカナダ元政府高官のデービッド・キルガー氏と人権弁護士のデービッド・マタス氏、さらに台湾から医師の黄士維氏が来日し、臓器狩りに関する異なるイベントが3日間にわたって東京で開催された。

 ドキュメンタリー映画「Human Harvest」初上映

 11月30日、米国の映画界最高峰のピーポディ賞を受賞したドキュメンタリー映画「Human Harvest」の日本初の上映会が東京で開催された。

 この映画は、法輪功学習者が生きたまま臓器を摘出されている事実をキルガー氏とマタス氏が独立調査を行い、集められた膨大な証拠に基づいて制作されたものである。当日、マタス弁護士、黄医師が出席し鑑賞後に発言し、質問にも答えた。

 黄士維医師は「2001年から自分の患者が中国にわたって臓器移植を受けていることに気づきました。実際にこの問題にはじめて取り組んだのは2006年です。過去14年間で中国にわたって腎臓と肝臓の移植を受けた患者は4千人くらいです。これは台湾に限るものではなく、香港、マカオ、マレーシア、シンガポール、他の東南アジア、日本も2000年以降かなりの数が中国に渡って腎臓と肝臓の移植を受けています」と語った。

東京都前議員・吉田康一郎氏「日本の臓器移植ツアーは法律で禁止すべき、殺人の行為は無視してはいけない。日本は加担しないように、立法が必要だ」

 最新報告会

 12月1日、東京都永田町の参議院会館地下1階で、来日したデービッド・キルガー氏とデービッド・マタス氏が臓器狩りに関する最新の報告会を行った。黄士維氏はゲストとして招かれた。司会進行は山田宏・参議院議員。

 最新の報告には日本と関連している病院の情報、日本向けに行われた臓器移植のキャンペーン、実際に臓器移植を受けた日本人の体験談、日本で移植技術を学んだ中国人医師が多くいることが記載されていた。会議では具体的な数字や実例が報告され、これから日本がどのような行動をとるべきかが話し合われた。以下は報告会での発言内容の一部である。

 山田 宏議員は「中国で行われている法輪功学習者の生体臓器狩りが事実であるならば、なんとしても国際社会がこの犯罪行為に対して声を上げていかなければならないと考えています」と述べ、「ただ中国での臓器移植ツアーの顧客の多くを出していると言われている我が国においては、この問題があまり知られておらず、国会での動きも全くにぶい状況でございまして、なんとか日本も、特に日本から中国での臓器移植に行かれる方々がかなりいらっしゃるということでございますので、そのことは中国で無実の方々、政治犯や思想犯、法輪功の方々からの臓器を取り出す殺人行為に対して、事実上加担することになりますので、こういうことは人類の歴史上絶対に許されてはならず、我が国にも声を上げる義務があると考えております」と語った。

 デービッド・マタス氏は「こういった動きを変えなければなりません。国会と政府からそういう動きを起こすことが出来るし、法律や立法面から変えられると考えております。ですから、移植ツーリズムの数字を、まずはつかまなければいけないと考えています。そういうことをきちんと立法化すれば、中国に行くことはないだろうと思いますし、強制的にそれをやめさせることができます。何かすることができるのは、日本政府の動き、もしくは何かの動きだと考えています」と指摘した。

 出版発表会

 12月2日午前、博大書店は『かつてなき邪悪な迫害』の日本語版出版発表会を開催し、同書の著者でもあるデービッド・キルガー氏、デービッド・マタス氏、黄士維氏を招いた。本書は19人の学者、政治家、弁護士、医師、人権活動家らによる論文集で、専門家が様々な角度からこの迫害について分析したものである。 

 この本の著者は「この本は2015年8月に出版してから2016年12月までに、すでに5カ国の言語に翻訳されています。中国語、英語、韓国語、フランス語、そして日本語になっています」と説明し、「この本は臓器狩りが21世紀における人類最大の犯罪であるということを皆さんに知っていただき、21世紀における未曾有の犯罪をやめさせることを目的としています」と続けた。 

 キルガー氏とマタス氏は、ボランティアでこの調査を始めて10年になる。キルガー氏は中国政府が人道に反する罪をやめるまで続けていくと語った。 

 黄氏は「医者は本来人の命を助ける立場ですが、今の中国では医者が人の命を奪う立場に変わってしまった」と指摘し、「第二次世界大戦のとき、ナチスによるユダヤ人虐殺が盛んに行われたが、終戦後、最初に裁判を受け、そして最も重い罪にとわれたのは医者です」と続けた。 

  さらに黄氏は「ナチスによる弾圧が終わった後に、国際社会の人々は反省しましたが、なぜそのようなことが起きたのでしょうか? やはり無知と無関心が最大の根源だったのです」と語った。

 この本の著者たちは報酬を受け取っておらず、売上げはこの犯罪行為をやめさせるための活動に使われている。

 シンポジウム

 移植ツーリズムを考える会は12月2日午後、東京でシンポジウムを開き、台湾、カナダから来日したデービッド・キルガー氏、デービッド・マタス氏、黄士維氏を招き、中国の臓器移植の裏に潜んでいる問題について、日本人として何ができるかが交流された。

 マタス氏は冒頭で「中国政府の公式声明を受け止めるしかなかったのですが、この数字(臓器移植件数)に関しては臓器の出処を見つけることに焦点を絞ってきました。中国の移植件数を確定することは、これまでになされるべきことではありましたが、今回の調査を通して初めて行なわれました」と説明した。 

 マタス氏は、全ての病院の病床数、職員数、助成金や賞与金などを考えて数字を出していき、病院の稼働率や、病院が増えていくなどの全てのデータを検討した結果、中国が公式に発表している年間の移植件数1万例というのは、どうみても、6万~10万例が行なわれていると判明し、その臓器の出処の大部分が法輪功学習者からのものであると指摘した。 

 また病院は多くの外国の患者を受け入れており、それらの移植を行っている外科医は日本や西洋の国々で技術を学んでいると指摘し、外科医の中には日本の大学で研修を受けたことをホームページに記載しており、日中友好病院は日本の助成金で建てられた腎臓移植センターであると話した。 

 最後にマタス氏は「このように多くの臓器移植の濫用が実際に行われており、それが広告にも出されています。そういったことを私たちは止めなければいけません。止めなければ加担することになってしまいます」と注意を促した。 

 キルガー氏は「日本人が持っている才能を、もっと外に向けて行動を起こすことに使ってください、人道に反する罪に対してなぜ(その才能を)使わないのか、使って欲しい」と訴えた。続けて「臓器が収奪されている事実に対しては、日本の人たちにも関係があります。(移植を受けた)本人は安全に帰国出来ますが、移植された臓器は誰かから摘出されているのです」と話し、台湾でも患者はかつて中国に行って臓器移植を受けていたが、今は一切行っていないし、オーストラリアでも法律が通過したと説明した。 

 最後に移植ツーリズムを考える会の会長・稲垣氏は「大きな渦を作り、進めていきたい。大きな力が必要です。最終的には日本も、台湾、ヨーロッパ、アメリカと同じように、(中国への)移植ツーリズムを規制する法案を作って、今後日本人がこの大きな犯罪の共犯者にならないようなシステムを構築したい、というのが私たちの願いです」と結んだ。

 
(中国語:http://www.minghui.org/mh/articles/2016/12/12/89-338842.html)
(English: http://en.minghui.org/html/articles/2016/12/16/160353.html)
 
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