【明慧日本2017年8月18日】今年8月20日にニュルンベルクで行われたナチスの医師に対する「医者裁判」(※)が70周年を迎えるにあたり、8月4日、フィラデルフィア地区にある『デラウェア郡デイリータイムズ』紙は、多くの医師からの投稿を掲載した。掲載されたのは、当地のジェシカ D.ルッソ医師、アン・コルソン医師、および「臓器の強制摘出に反対する医師団」(DAFOH)の医師たちである。
ニュルンベルクで行われた「医者裁判」から70年が経過し、その時から私たちはどのような道を歩んできたのか? 十数年来、中国共産党政府が医師に指示を出して法輪功学習者の生体から臓器を摘出している犯罪行為について、「もし我々が『医者裁判』の精神を継承するならば、中共が提供する真相を待つのではなく、我々自身が真相を探さなければならない。これは我々人類の責任であり、我々医療関係の仕事をしている人間の責任でもある。悲劇を繰り返させてはならず、いかなる政府機構もこの野蛮な行為をしてはならない。病気を治し、人を救うために育てられた医師が、ジェノサイドの犯罪に手に染めることを何もせず傍観してはならない」と、彼らは投稿の中で深く反省した。
『デラウェア郡デイリータイムズ』紙が掲載した医師による投稿 |
以下はその訳文である
『デラウェア郡デイリータイムズ』紙編集者宛
8月20日は、ニュルンベルクでナチスの「医者裁判」が行われてから70周年になる。その時から我々はいかに歩んできたのか?
「医者裁判」は、「アメリカ合衆国のカール・ブラント医師に対する審判」と称され、第二次世界大戦終了後、米国が主導しドイツのニュルンベルクで戦時下に行われたドイツの医師の犯罪に対する審判であり、第二次世界大戦に対する12の裁判の中の一つである。カール・ブラント医師はヒトラーの専属医師であり、最も悪名高い犯罪者の1人である。
「医者裁判」は、1946年12月9日に開始され、翌年の8月20日に結審した。告訴された23人の医師のうち、22人の医師がナチスの人体実験に参与して大規模な虐殺を行った。23人中7人が無罪、7人が死刑、他は10年の懲役や無期懲役などの刑に処せられた。
テルフォード・テイラー首席検事の指摘によると、医者裁判は殺人者に対する裁判であるだけではない。告訴された医師はヒポクラテスの誓いの「危害を与えない」ことを遵守することを誓った者である。しかしナチス専制下で、これらの医師は人々に医療を施すのではなく、ナチス国家政権の共犯者になった。「人に憎まれ」、「存在価値のない」人々を彼らは選別したのである。
実証された大虐殺の中の医師の犯罪行為に激しい怒りを覚える。倫理的な原則と法律の規定を固く遵守し、特に『ニュルンベルク法』に詳細に定められた条項が効果を発揮していれば、永遠にこのような大規模な事件は発生しないはずである。
そして今日、国際社会が公認する基準があっても、我々が再び目にしたのは、強権政府により水面下で、系統的にコントロールした上で、この恐怖の破壊結果を造り上げたのである。
十数年来、中共政府は医師に指図して、収容された法輪功学習者の生体から臓器を強奪させ続けている。平和な法輪功学習者たちは、当時の欧州のユダヤ人と同じく、いてもいなくてもよい甚だ危険な集団とされた。中国では数千万人が法輪功の「真・善・忍」の原則を遵守して修煉している。本来ならば民意に沿うべき政府が、事実を歪曲し、狡猾に残忍な犯罪行為をなぜ行うことができたのか?
外科医のこれらの恐ろしい行為は、中共政府が邪悪政策を推進していることを実証している、これらの殺人者はもしかするとある種の被害者ともいえる。沈黙は、彼らが大脳を麻痺させる洗脳の宣伝を受け入れたもので、誰が生きる価値があるのかを告げている。エンヴァー・トフティ氏はかつて数人の死刑囚から臓器を摘出した。しかし彼は立ち上がり真相を暴露した外科医である。彼は「彼ら(中共政府高官)は私の思想を失わせています。私の身体はロボットになり、作り上げられたシステム通りに動くだけでした。いかなる人も、もし自分が共産主義、共産党あるいはその他のメンバーでないと言えば、国家の敵とみなされ、いかなる処罰をも受けなければなりません。彼らはあなたが良いことをしていると信じさせるのです」と語っている。
「医者裁判」の中で有罪になった医師たちは、医学の知識を濫用した。ナチスの医師に対して現行の法律で打破することはできなかったが、判決はヒポクラテスの誓いの誓約文に述べた準則に基づいて行われた。当時、収容所の中で人体実験の不道徳を阻止する法がなかったとしても、すべきではなった。
今日、ヒポクラテスの誓いの基本は変わらないが、人類に対する犯罪の認識は変わるべきだ。この種の犯罪の潜在的な危険性を理解し、医療の濫用を避けるためには、真相を暴露することが唯一の重要な方式である。中国で信じられない犯罪ができるのは、強烈な宣伝攻勢によるだけでなく、その犯罪が覆い隠されているためである。ニュルンベルク裁判が70年を過ぎ、医師たちは真相を暴露することが医療濫用の停止の最も有効な方式であることを肝に銘じることである。
中国においてはいかなる独立調査も実行させることができない、中国は政治犯を殺害して臓器を摘出していることを認めておらず、我々は座して変わることを待ってはならない。
もし我々が「医者裁判」の精神を継承するならば、中共の提供する真相を待つのではなく、我々自身が真相を探し続けなければならない。これは我々人類の責任であり、医療の領域で仕事をしている人間の道徳責任でもある。我々は、疲れを知らず医学の倫理を確保するために働き続ける人間で、世界で遵守している各国政府と医療機構の願望を守らなければならない。
ここで、我々は民に選ばれた高官と、移植や医学界の指導者に呼びかける。悲劇を繰り返させてはならない。悲劇を繰り返させてはならず、いかなる政府機構もこの野蛮な行為をしてはならない。病気を治し人を救うために育てられた医師がジェノサイドの犯罪に手に染めることを、何もせず傍観してはならない。
臓器の強制摘出に反対する医師団(DAFOH)
顧問 ジェシカ・ラッセル医師
代表 トルステン・トレイ医師
アン・カーソン医師
注:「臓器強制摘出に反対する医師団」の本部は米国ワシントンDCにあり、世界各地の各種の専門医によって組織され、趣旨は不法な臓器摘出の停止である。非医療関係者も支持者として加入できる。
※ 医者裁判とは、1946年12月9日から1947年8月20日にかけてアメリカ合衆国がニュルンベルクで行ったナチ戦犯法廷。ナチス体制下で重役の地位にあった医師や医療関係者、ナチス・ドイツの人体実験や安楽死計画に関与した者たちを裁いた。ニュルンベルク継続裁判と総称される12の裁判の中で最初に行われた裁判。