文/中国の大法弟子
【明慧日本2012年8月24日】それは2004年4月ごろのことでした。私は用事があって、資料拠点に寄りました。そこで同修甲さんに会いましたが、彼は顔面蒼白で、激しく咳き込んでいました。げっそりと痩せ、膝から足先まで腫れ、靴を履けませんでした。甲さんは迫害されてこのようになり、もうすでに末期の肺がんでした。
私は同修乙さんから、甲さんの状況を聞きました。その後、乙さんは甲さんの足を指さしながら「これは黒い手の迫害ではありませんか。あなたはそれらを滅するべきです」と甲さんに言いました。甲さんは息を切らしながら、乙さんの言う通り、両足に向かって繰り返し「滅、滅」と念じました。私は乙さんに、「甲さんはこんな状態なのに、なぜここに泊まっているの」と尋ねると、乙さんは「ここしか行く所がありません。彼の両親はすでに亡くなり、兄弟がいると聞きましたが、訪ねて来ません」と答えました。
私はそれを聞いて、彼がここにいる間に何か良くないことが起きてしまったら、大法と周囲にどのようにマイナス作用を及ぼしてしまうだろうか、これはいけないと思いました。私は乙さんにきっぱりと、「彼の荷物をまとめて、私と一緒に行かせてください」と言いました。乙さんはそれを聞き「あなたには無理ではありませんか。家には子供さんもいるじゃありませんか」と言ったので、私は「子供はおばあさんの家に預けるから大丈夫です」と答えました。また私は「邪悪が同修の命を奪っていくのを放っておく訳にはいかない」と思いました。乙さんは重ねて「あなたはよく考えた方がいいですよ。もしもの場合、他の同修たちがあなたをどのように見るでしょうか。あなたへの影響は大きいですよ」と言いました。私が「他に方法がありますか?」と聞くと、乙さんは「ありません」と言いました。私は「先に降りてタクシーを呼びますから、後で甲さんと一緒に降りて来てください」と言って部屋を出ました。しばらく経ってから、甲さんはきちんと履けない靴を引っかけながら、青い顔をして苦しそうに、一歩一歩踏みしめるようにして歩いて来ました。私は涙が止まりませんでした。
このようにして甲さんは、私が借りている十数平方メートルの家にやって来ました。私は二つのシングルベッドを一つにしていましたが、その一つを日当たりのよい所へ移し、甲さんに横になってもらいました。その時、彼の身体はすでに非常に衰弱し、絶えず咳をし、痰を出していました。私は彼のためにお粥を作りながら、発正念して師父のご加持をお願いしました。
夜になって、彼は高熱を出し、うわごとを言い始めました。彼が意識を失わないように、私はすぐに彼を呼び起こし、彼に「あなたは李洪志師父の弟子ですよ。しっかり覚えておきなさい」と何回も繰り返し話しかけました。「誰も甲さんを動かすことはできない。誰かが動かしたら、その誰かの罪になる」と私は傍でずっと念じ続けました。しばらくして、彼は意識を取り戻しました。私は師父の法像の前に跪いて「甲さんをお助けください」とお願いしました。「弟子は邪悪が同修の命を奪い取ることを絶対に許しません! 彼の衆生は彼の済度を待っています!」
私は甲さんを呼び起こし、一緒に師父の法像を見ながら「論語」を暗誦しました。私は彼に、師父が私たちのすぐ傍にいらっしゃることを意識させようと思いました。私たちはこのようにして夜中までずっと暗誦し続けました。彼は全身に汗をびっしょりかき、状態がかなり良くなったようでした。私はすぐ彼に「本当に素晴らしい、さすが大法弟子だ」と言って彼を励ましました。彼は涙を流しながら「そうですか」と聞きました。私は「そうですよ! 素晴らしいですよ!」と言いました。
彼におかゆを食べさせてから、私は彼に、心の中で師父に命を助けていただくよう念じさせ、私は側で発正念して、大法弟子を迫害するすべての邪悪な要素を取り除きました。法を得た生命は師父が必要とされたのであり、誰かが大法弟子を動かすことは罪を犯すことになります。私が発正念をしていると、黒い空家と薄暗い空間が見えました。左上には札があり、上には文字が書かれていましたが、中国語ではありませんでした。私は断固として旧勢力の按排を否定し、そこは絶対に大法弟子が行くべき所ではないと発正念しました。その映像は私の強大な発正念のもと、一瞬の間に消えてしまいました。
私は彼の状態がよくなったのを見て、目を閉じて眠りました。私が眠って間もなく、甲さんは息を切らしながら「お姉さん、お姉さんが寝てしまうと私は怖くなります。一人でベッドに横になるのも怖いのです」と言いました。私は、それでは眠らないと言い、二つのベッドをくっ付けました。「師父と大法弟子があなたの傍にいます。誰があなたを動かせるのですか。私たちはまた『論語』を暗誦しましょう」と話し、私たちは夜が明けるまで「論語」を暗誦しました。
(続く)