文/中国の大法弟子 雨桐
【明慧日本2017年6月29日】私はある建築設計会社の総括エンジニアで、1997年から法輪大法の「真・善・忍」に従って修煉して20年になります。「真・善・忍」の法理が私を利己的な人から常に他人のために考え、家庭、職場、社会で起きるトラブルの中でいつも他人のことを思い、名利に無関心な人に変えました。
会社から給料が支給されなくなってから
ここ数年、中国の経済は著しく落ち込み、私が勤める会社も影響を受けました。設計プロジェクトの投資側である不動産開発会社の社長は中国大陸の情勢がよくないことを勘案し、追加投資を取り止めて海外に移民してしまい、会社の資金の流動が中断され、約束されていた設計料も支払われませんでした。他の設計プロジェクトの場合、デベロッパーは設計料の代わりに不動産物件を与えてくれました。そのため、会社は給料を支払う余裕資金がなく、社員の社会保険料も支払えなくなりました。
あるデベロッパーが長い間設計料を滞納していたため、我が社はその会社に対するサービスを1年近く中止し、相手が一部のお金を支払うことを承諾してから、マネージャーはやっと私達に引き続きその会社と協力するように知らせました。しかし、その時、社内には社員がほとんどいませんでした。なぜなら、社員の大多数は給料や賞与をもらえないことで、続々と出勤しなくなったからです。
社内に2人の若い妊産婦の社員がいて、彼女たちは絶えずマネージャーに給料、賞金と出産保険金を求め、最後に口論まで発展しました。マネージャーは「開発企業がお金をくれればあなたたちにあげますが、くれなければ私は信用崩壊を待つしかありません!」と言いました。怒った妊婦たちは弁護士に問合せました。弁護士が言うには、勝訴はできますが、会社側が本当にお金がなければ勝訴しても無意味です。結局、彼女たちも出勤しなくなりました。
ある構造技師は何度マネージャーにお金をもとめても要望が実現されず、会社のパソコンから「完成図」を削除して海外に出稼ぎに行ってしまいました。工事の時、図面を探せないマネージャーは彼と交渉しました。彼は「お金をくれれば図面をあげます」と言いました。マネージャーは図面は会社の資産だと主張し、警察に通報すると公言しました。しかし、その技師はそれは個人の資産だと主張しました。結局、会社は彼にお金を渡さず、人を探して完成図を描き直してもらうほかありませんでした。
こうして、社内にはごく僅かな社員しか残らず、みなはマネージャーから給与支払いの承諾をもらってから残ったのです。私が唯一マネージャーにお金を要求しなかった人間です。大法修煉者として、問題に遭遇すれば他人のために考えるという師父の教えに従い、私は利益を重んじず、悪で悪を制してはいけないと思い、マネージャーの一部のやり方には賛同しませんが、プラス思考で会社のこの金銭騒ぎを見守っていくべきだと考えました。
マネージャーの立場に立って考えれば、会社が困難に陥った状況の中で、もし私が辞職すれば、会社は新たに建築士を探さなければなりませんが、給与を与えなければ誰も来ないでしょう。それに、このプロジェクトの各設計段階から施工図に至るまで、すべての資料は私のところに集合されています。デベロッパーの角度から考えれば、このプロジェクトの最終段階である測量と製図の手続きが行われて初めて完成となり、彼らはようやくビルを売ることができて、ようやく資金を回収できます。
私がこの工事を最後までやり終えることはデベロッパーと会社の双方に有利だと判断しました。デベロッパーは資金があれば会社に設計料を支払うことができ、マネージャーも社員に給与を支給できます。なにせ、借金することはどの側にとってもよい事ではないからです。
法輪大法を修煉してから私は多くの道理が分かりました。生命が持つ富の量はその人の徳行と密接な関係があります。お金を重く見ればもっと多くのお金をもらえる訳ではなく、お金に淡泊であればお金が減ってしまう訳でもありません。この視点から見て、いわゆる「損をする」と「得をする」が大事ではなくなります。なぜなら、損をする人は徳を積み、得をする人は徳を失いますが、この徳が福と富の源です。
そのため、私は平常心を保ち、マネージャーにお金を求めず、やるべき仕事に専念しました。社内において、マネージャーや株主から社員まで、皆は私が法輪功を修煉していることを知っていて大法の真相を認め、マネージャーは脱党声明までしました。
時々、デベロッパーは私に急いで市内の測量と製図チームまで駆けつけてほしいと依頼して来ることがあります。その時、私から事情を聞いたマネージャーは会社の運転手が不在の場合、デベロッパーを待たせようとしました。私は自らお金を出してタクシーで現場に向かい、仕事を処理して会社に戻ってから随分時間が経っても、運転手は帰って来ませんでした。もし相手を待たせたならば、デベロッパー側はどんなに焦るでしょう。私はタクシーを呼んだことをマネージャーに言いませんでした。
他人のために考える
測量と製図の手続きを行う時、とてもややこしかったです。デベロッパーの設計費の滞納により我が社は1年近くサービスを中止し、仕事を連続して行っていなかったため、一部の項目は当初ほどはっきりと覚えていませんでした。測量・製図する時、建築面積は当初の企画および審査許可を得た面積より多くなりました。デベロッパーはその原因を知りたがっていました。
私は許可申請時の図面と最終図面を真剣に見比べ、当時のすべての修正ポイントをじっくり思い出してみました。最後に突き止めた主な原因は、デベロッパー側のシニアエンジニアが審査許可を得た後に、わが社に図面の修正(たとえばマーケットの中庭部分や、外壁を無くす)を強制的に要求したからです。
そのシニアエンジニアはとても強気な人で、デベロッパーが彼の推薦した設計会社を選ぶ代わりにわが社を選んだことにずっとに根に持っていました。彼が図面の修正を求めて来たとき、私達は面積が大きくなることを指摘しましたが、無視されました。
彼の自社社員に対する態度もあまりよくないそうです。彼の女性秘書はシニアエンジニアのミスを耳にしたとき、彼の不幸を喜び、社長に彼を辞職させてもらおうと考えていました。
私は整理した調査資料をマネージャーに見せ、このように書けば相手のシニアエンジニアにマイナスの影響をもたらしてしまうのではないかとマネージャーに意見を求めました。マネージャーは「私たち自身でさえ足元に火が付いているのに、彼の事を考慮する暇などがありません!」と言いました。私は「この資料に書かれた意見はわが会社を代表します。あなたは今後も恐らくそのシニアエンジニアと付き合わなければならないので、彼に良くしてあげれば自分自身にも良い事だと思います」と言いました。マネージャーは私の話に同意しました。
その後、私は一部の許可審議部門も私たちに修正を要求し、多少の面積の変動をもたらしたことを思い出して、それらも調査資料に付け加えて、客観的で、公正かつ包括的な資料を仕上げました。調査資料を見たデベロッパー側の社長はこの件に関して詰問しませんでした。
それから、デベロッパー側のシニアエンジニアは私に電話をかける時、とても礼儀正しく尊敬する口調を使うようになり、わが社の他の社員と接触する時の、話が終わる前に電話を切ってしまう彼とはまるきり別人のようでした。
最後に、測量と製図の手続きが完成し、デベロッパーはビルを売ることができました。
この工事を完成させた後、会社に新しいプロジェクトの依頼が入って来ないのを見て、私は会社を離れることにしました。なぜなら、これ以上会社に居続けると、給料を滞納していたマネージャーにさらに負担をかけることになると思ったからです。人からの借りを返さなければ徳を失います。もしマネージャーが私の家族なら、なおさら私から多くの借りをマネージャーにさせるわけにはいきません。そこで私はマネージャーにこう言いました。「仕事が終わったので、私は家に帰ります。工事関係で何か用があればお電話下さい」。法輪大法の導きがあって、私は穏やかな心理状態を保つことができました。
2017年初め、私は銀行のカードを整理し、給料カードを含む使っていなかったカードを処分しようとしました。会社からの給料再支給の通知がなかったため、私も考えていませんでした。
翌日、私は銀行に行って、銀行員にカードを処分するように依頼しました。銀行員は1枚の明細書をプリントアウトして、「残額は全部取り出しますね。確認してからサインして下さい」と言いました。
明細書を受け取った私はビックリしました。カードには数十元の残金しかなかったはずですが、いつの間にか6万元ほどになっていました。銀行員から渡された入出金明細書を見てやっと分かりました。マネージャーは私に声を掛けず、数カ月分の滞納していた給料を1元残らず給料カードに入金してくれていたのでした。