引越し騒ぎから得た教訓
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 【明慧日本2019年1月30日】

 〖中国からの投稿〗
 Aさんは中国本土に住む質素な暮らしをしている農婦で、ずっと農村で生活している正直で大人しい人で、あまり字が読めませんでした。しかしごく普通の農村にいるお年寄りですが、一つの確固とした信念を持っており、人間として正しく生きる準則をしっかり守っていました。そのため、百数万元の大金を目の前にしても心が全く動かず、しかも淡々と自分の利益を捨てることまで出来た人です。道徳基準が著しく低下し、誰もが金儲けを最優先とする今の中国社会において、これはあり得ないことです。一体、何があったのでしょうか? では、事の初めから説明しましょう。

 2013年、Aさんが住む村は立ち退(の)きが決まり、取り壊すことが決定しました。開発業者の政策では、両親が立ち退く場合、子供の戸籍が本村にあれば、1人あたり20万元の補助金が支給される上、35平米の住宅も分配されますが、嫁いで戸籍を移籍した娘の場合は除外されます。Aさんの村は北京に近く、35平米の家を市価に換算すると、少なくとも60~70万元になり、補助金を足すと80~90万元にもなります。これはどれほどの誘惑になるでしょうか。開発業者から1人分でも多くのお金をもらうために、村民たちは離婚詐欺や結婚詐欺をはじめ、ありとあらゆる手段を使っていました。

 道徳が著しく低下し、誠実さや信用がなくなった中国社会において、これがごく当たり前だと思われており、しかも、他人を騙せば騙すほど有能だと言われ、このようにしない人は皆に馬鹿だと言われる始末です。

 実は、開発業者も村民たちが見せかけをやっていると知りつつも、見て見ぬふりをしているだけです。なぜなら、それが中国社会の現実で、意外だと思って抵抗を感じる人は誰もいません。しかも、業者も村民達が早く引越しを済ませて場所を空けてほしく、あまりにも現実離れしていない限り、とうとう終いには手続きまで省き、誰を連れて来ても家族としてカウントするようになりました。

 Aさんには2人の息子と1人の娘がいて、娘は嫁いだ直後に戸籍を移籍しました。もしAさんが娘と孫娘を自分の戸籍として申し込めば、2人合わせて70平米の住宅と40万元の現金を手に入れることができ、市価に換算すると、少なくとも160~170万元の収入になります。Aさんが常人であれば恐らく少しも躊躇せず、他の村民と同じように偽の証明書を出して楽に百数万元を儲けたでしょう。しかし、真・善・忍の基準に従い、良い人として努める法輪功修煉者である彼女は、そうしてはいけないことをはっきりと分かっていました。まず、偽の書類を作ることは「真」に反し、さらに、あぶく銭をもらってはいけないという法輪功の師父からの教えもあります。

 巨額なお金の誘惑を前にして、「どうすべきだろうか?」という葛藤もAさんには多少ありました。しかし最終的に、大法弟子の正念が貪欲に打ち勝って、Aさんは大法弟子である自分が必ず真・善・忍に従い、嘘偽りなどを言わず自分のものでなければ絶対に受け取らず、娘と孫娘が自分の戸籍に入っているような嘘をつかないことにしました。署名しに行くと決めた日の前夜、Aさんの家に隣人が訪ねてきて「早くうちの妹(Aさんの娘のこと)の親子2人を連れて行って下さいよ」と言いました。しかし、いくら言われても、Aさんの心は少しも動じませんでした。

 当初、多くの村民はAさんの決断を理解できませんでした。5年が経った今、村民達は皆、Aさんを褒めています。つい前日にも、ある隣人はAさんにこう言いました。「私たちはいつも集まってあれこれと噂話をしていますが、皆揃ってあなたが正直者だと言って褒めていますよ」

 村民たちがこのように感じたのには、理由がありました。実は5年来、多くの家庭はその補助金のせいで夫婦が仲たがいし、親や子供、兄弟姉妹も不仲になり、裁判沙汰にもなって、もともと仲睦まじかった家庭がバラバラになったり、予想もしない災害に遭ったりするケースが多発していたからです。

 法輪功の師父は「失わないものは得られず、得ようとすれば失わなければならぬ」[1] という道理を説かれています。中国の伝統文化には、貪ってはならぬ、自分のものではないものに手を出してはならぬといった古訓が多くあります。民間にも、「小を専(もっぱ)らとして大を失うこと莫(なか)れ」( 小さな事に身を入れ過ぎて、大きな事をなす機会を失ってはいけない)という説があります。

 残念ながら、中国共産党は人々を正しい道に導く伝統文化を破壊し、無神論や金銭至上主義などの観念を人々の思想に注ぎ込み、さらに「真・善・忍」という普遍的な価値観を基準とする法輪功を残酷に迫害し、中国社会の道徳性をさらに腐敗堕落にまで至らしめました。

 Aさんのことを見てみると、当初、彼女は娘と孫娘を戸籍に入れなかったことで、百数万元の損害を被ったようにみえますが、実質の立ち退きの際、1千万元ほどの補助金を手にしており、それは村では指折りの多額な金額です。そこで、Aさんの長男は自ら25万元を妹に分け与え、Aさんの次男も姉に5万元を渡しました。こうして兄弟姉妹の仲はさらに仲睦まじくなりました。今、Aさんの子供たちは誰もがとても良い生活を送っています。息子たちもとても親孝行で、毎週必ずAさんと連れ合いをレストランに連れて行って一緒に食事をし、よく顔を見せに家に来て、来る度に多くの物を買ってきます。村民たちはAさんの家庭をみな羨ましがって、「やはり、Aさんは真っすぐで正しい道を歩んでいるからだ」とつくづくそう思っています。

 これはまさに「天に従うものは栄え」の立証ではないでしょうか!!   Aさんは天道に順応し、自分の欲を放下した結果、天からより多くの素晴らしいものを与えられたのです!!

 注:
 [1] 李洪志師父の著作:『轉法輪
 
(中国語:http://www.minghui.org/mh/articles/2018/9/10/373522.html)
 
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