文/中国の大法弟子
【明慧日本2019年8月17日】現代観念とは、文字通りの意味を捉えれば、それは近代的な物質化された生活が人に与えた固定認識というもので、それが人々の物事に対する判断基準、そして、それに対応する生活方式を形成します。しかし、このような観念は現代社会と言う道徳環境の下で出来たもので、そのため、伝統文化の精髄が失われつつある現状がより深刻となりました。
伝統文化は神様が意図的に人間に与えた天、地、人に対する系統的な認識方式で、人の考え方や行動パターンから、倫理道徳、生活規範まで多岐にわたっています。古代の人々の生活は自然法則に従い、日の出に作り、日の入りで息い、人々の立ち居振舞いは、男性の場合、男らしくて力強い気概を持ち、女性の場合、物静かでしとやかで優雅でした。伝統的な生活環境は建物から、詩や文章、琴棋書画(※1)服飾から飾り物まで、すべて独特な美しい趣があって、天と地の法則に合致していないものがなく、社会の各分野で働く人々は皆心を落ち着かせ、呼吸を整えてから行いました。人がエネルギーを補充するのは養生(※2)の道に合致しているだけではなく、人間の本性を見つけること、道徳と生命の次元を向上させることにもつながり、返本帰真の修煉文化の下地を作る役割を果たしました。
近代的な科学と技術は人々の生活を大きく変えました。表面上では、現代生活は人にある程度の便利さと気持ちよさを与えてくれましたが、同時に伝統と道徳に反した変異的な観念ももたらしました。現代人は服装から言動、社会環境から精神文化の領域まで、すべてそれらのものに侵害されました。
音楽を例にすると、クラシック音楽の原点は造物主を讃えることで、人の精神を昇華させることを重視しているため、長い年月が経ってもその音楽が依然として人に感動を与え、名曲だと言えます。しかし、現代意識の下で作り出した流行音楽は、ただ個人の感情をむやみに放出し、人の感覚器官に刺激を与え、目新しさを求め、それによって人を惹きつけるようにします。それはまさしく物欲、享楽、そして自らを放任する心理の表れで、そのようなものは人をさらに空虚にさせ、さらにイライラさせるだけです。
そして、現代意識の下で、人は天地神明に対する畏敬の念を失い、倫理や道徳規範を失い、粗野で無礼な言葉を使い、男女関係が乱れています。その上、電器製品の普及と様々なソフトウェアの開発に加え、ネットは更にその現代的意識を広める本拠地となって、様々な低俗で変異した言葉や下品な笑い話、怪しい写真、奇妙な動画などなどを素早く広めます。そのため、人々は常々溢れるほどのごみ情報の汚染の中に身を置きました。
現代生活は人々にあらゆる趣味とその選択肢を与えてくれたように思われますが、実際、様々なゲームや娯楽番組は人々の真の自分を麻痺させ、人の大切な時間と体力を消耗しています。これらの現代意識と行動パターンは社会の文化、芸術、政治、教育、経済の様々な面に浸透しました。
経済活動の本来の意味は「経世済民」(※3)というもので、全体社会の公平を強調し、他人の利益を損なわない前提の下で経済活動を行うものでした。しかし、今の経済活動は道徳をそのままの状態にして、利益の最大化しか求めず、いい人になることを原点とした伝統社会とはまったく正反対となっています。
その他、近代化的な科学技術は道徳に制御されないまま発展し、まるでパンドラの箱が開けられたように、人間の無限な貪欲を放出しました。クローン技術や、頭部交換手術、遺伝子の組み換えなど、すべて自然法則を破壊し、人間の倫理道徳に反したものばかりで、このまま発展して行けば、危険極まりないことです。
現代人の生活は本来自然が人間に与えてくれた楽しみと生命の真の意味を失わせ、道徳と生命の次元を高めるチャンスを失わせ、神が系統的に人間に按排してくれた伝統文化を完全に破壊しました。現代意識の下の人間は、礼儀規則が欠如し、気持ちが落ち着かず、物事を判断する力を失い、人生を浪費し、生命を軽視し、文化の内包を知らず、道徳による制御力を失い、正道からますます遠ざかっているにも関わらず、それにまったく気づいていません。
現代人は古代の人々の心を理解できず、歴史も正しく理解することができないでしょう。今日になって、伝統文化の真の内包は現代人のイデオロギーとは、すでに水と油の関係となりました。それだけではなく、現代の人は文化経典を歪曲し、佛、道、儒の教えを俗世の功利に利用し、その上、中国共産党が伝統文化に対して意図的に破壊し、党文化を人々に注ぎ込み、党文化を伝統文化と装い、その中身をすり替えることによって、社会全体は淫乱、賭博、麻薬、暴力が氾濫し、黒い波が渦巻いているのです。そのような環境に身を置く人々は業力が大きく、社会では自然災害が頻発し、奇病が絶えません。
現代的なものであればあるほど、流行なものであればあるほど魔性が強く、人間の本性から離れ、神から離れています。私たちは伝統文化の正道に回帰しなければなりません。なぜなら、それは神様が人間に残してくださった文化と生活方式だからです。
(※1)琴棋書画(きんきしょが:文人、士大夫(したいふ:中国の北宋以降で、科挙官僚・地主・文人の三者を兼ね備えた者が嗜むべき)とされた芸)
(※2)養生(ようじょう:衛生をまもり健康の増進に心がけること。また、病気をなおすように努めること)
(※3)経世済民(けいせいさいみん:世の中をよく治めて人々を苦しみから救うこと)