米クリーン・ネットワーク作戦 大プロパガンダを断ち切ったか?
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 【明慧日本2020年8月31日】中国人は「クリーン・ネットワーク」という言葉をよく耳にし、すでに聞き慣れている。中国共産党(以下、中共)メディアは常に「ポルノと違法を取り締る」や、「クリーン・ネットワーク」運動を行ない、「サイバーをきれいにする」という名目で世論をブロックしている。また、何億もかけてファイアー・ウォールを作り、中国人に真実の情報を知らせず、知って欲しいことだけを知らせ、事実を隠蔽し、歴史を書き換え、党文化を宣伝している。これは大きな内部プロパガンダ(内宣伝)と呼ばれている。

 そして、内部のプロパガンダの文章に世界の各国言語を付け、表でそれを中国の伝統文化の一部の要素としてパッケージし、莫大な資金を投入し世界中でネットワーク技術と世論システムを構築している。また、欧米の左メディアを買収して、中共メディアの代理人を育成し、「中国の物語をうまく語る」方法で中共の価値観を欧米社会に浸透させている。書き換えからロングアーム操作に至るまで、欧米の民主主義や自由は次第に中共の偽善や偽の民主に埋もれて取り替えられて最終的には中共が世界をコントロールする目標に達する。これが大プロパガンダ(外宣伝)と呼ばれている。

 米国の「クリーン・ネットワーク作戦」は、中共のプロパガンダの長い腕を断ち切り、中共と離れ、侵食されないように欧米の民主主義制度と国民主権を守ることを目的としている。

 なぜこのように言うのか?  まずは過去の警告から話してみよう。

 ジョージ・オーウェル氏の警告と予言

 イギリスの作家ジョージ・オーウェル氏の小説『一九八四年』に「過去を支配する者は未来まで支配する。現在を支配する者は過去まで支配する」という名言がある。この名言は、人類の全体主義の古典的な政治における世論操作の手段をうまくまとめている。オーウェル氏は有名な随筆『政治と英語』の中で、権威政治の言語は「嘘を真実に聞こえるようにし、殺人を正当化しているように見せ、空論を実在的な事に感じさせる」ものであると述べている。

 小説『一九八四年』の主人公ウィンストン・スミスは、「真実の省」に務めている。この「真実の省」は、中共の宣伝部、統戦部、サイバー管理部門、外務省の情報部などに相当し、嘘と洗脳を担当している。この小説の中では他の全体主義の部門分業にも言及し、例えば、平和省は戦争を引き起こすことを担当し、友好省は拷問を行なうことを担当し、富裕省は国民を飢えさせるなど、これらの部署は、中共の国防省、法曹部門、財務省に対照してみれば、本当にそのようになっている。要するに、彼らのやっていることと、彼らが宣伝していることは、全くの正反対になっているのである。

 嘘は暴力の潤滑油だ。中共がどのように嘘を真実に変えたかは、単なる言葉遊びと妄言ではなく、国家戦略のレベルにまで高めないと効果を発揮できない。国家財政から莫大な資金を外国で撒き、「愛国心」と正のエネルギーを加え積極的に宣伝することで、嘘を真実に聞こえるようにする。外交官にしても、「愛国青年」にしても、留学生会にしても、みんなが嘘をつくことは国への貢献だと思っている。

 米研究所白書 中共の大プロパガンダは「表と裏の両面」で国際社会を洗脳

 7月下旬、スタンフォード大学「インターネット観測所」技術研究部長のレニー・ディテスタ氏、ワシントン・ポスト紙の元北京支局長ジョン・ポンフレット氏など5人が共著の、『中国の物語:国際世論を形作る中共のキャンペーン』白書が出版された。白書は、「中共は、国内での権力独占と世界的影響力を拡大するために、1世紀近い情報操作の経験を採用した。その手法は、政府とサイバー軍団で、表立った活動や地下の活動を同時に行なうもの」と指摘した。

 白書は、中共が海外の代理人を利用して国際世論を変える手法はとても熟練していると具体例を挙げて説明した。1952年の朝鮮戦争中の出来事だ。ひとしきり騒ぎ立てた「米軍が仕掛けた細菌戦」の時、中共は国際社会を騙すために、アメリカ人の捕虜を拷問して虚偽の自白をさせただけでなく、プラハに活動拠点を設け、欧米の左翼や反戦活動家のグループを支援した。このように、欧米で中共の声を増幅させる役割を果たした。

 ジョン・ポンフレット氏は、中共は海外で数十億ドルを費やして、対外宣伝インフラを構築している。現在、新華社通信は世界最大の通信社となり、米国に7支局、中国大使館や領事館のある各都市に支局がある。これは、海外の中共メディアと中共との相互協力、ともに進退する関係を示している。中国テレビネットワーク(CGTN)は世界中に広がり、ワシントンに海外本部があり、人民日報は1回25万ドルの料金で折り込み広告をしワシントン・ポストの読者に配られている。

 2009年から始まった「大宣伝キャンペーン」当時、中共は初回だけで450億元を出した。2011 年、新華社は毎月30~40万ドルでニューヨークのタイムズスクエアの2番目に高い建物の広告スクリーンを借りた。パンダ、万里の長城、紫禁城、長江三峡などの中国の要素は、中共が自らをアピールする国際的な言語となった。2016年7月、ハーグの国際司法裁判所が南シナ海紛争で中共に不利な判決を下した際、新華社はすぐにタイムズスクエアのスクリーンで南シナ海の中国主権を宣伝する3分12秒のプロパガンダを1日120回、12日間放映した。武漢肺炎が発生した時に、広告スクリーンに多言語の「中国頑張れ、武漢頑張れ」の文字が繰り返し放映された。

 もっと恐ろしいのは、目に見えない海外ソーシャルメディアに登録した数千万の中共ユーザーのアカウントだ。例えば、Facebook、Twitter、Youtubeなどで、中共のサイバー軍団がイナゴのようにネット上で飛び回り、真実の情報を攻撃し食い荒らし、人々の正常な視聴覚を混乱させた。

 海外の中国語メディアはほぼ「調和」された

 ジョン・ポンフレット氏は「30年来、米国やオーストラリアなどの海外の中国語メディアは、中共による直接または間接的な投資によって、ほぼ論調が『調和』された。中共は僑務部門を通じて海外の中国語メディアに資金を支援したり、ジャーナリストを育成したりして、海外で親中報道を流しており、国際版のほとんどが北京からの統一したニュースである。アメリカ政府主催のボイス・オブ・アメリカ(VOA)でさえ『調和』され、中共の大宣伝キャンペーンの一部となった」という。

 中共は延安時代(1937−1947)からスノーのような外国人スパイを利用して以来、この国際的な戦術をずっとやり続けている。数十年も運営してきて、メディアだけでなく、教育界、ビジネス業界、華僑界、科学技術分野にもほとんどが中国共産主義のイデオロギーに赤く染まっている。欧米や中国のジェネラリストの多くは、ハーバード大学のフェアバンクやケンブリッジ大学のジョセフ・ニーダムなどを含めて、ほぼ例外なく親共産主義者になっている。

 中共はまた金融や市場を利用して海外まで長い腕を伸ばし、ハリウッドには自己検閲を、NBAには言論の自主規制を強要している。そのほか、交流会、セミナー、フォーラムの開催など、至る所で大宣伝キャンペーンが行なわれている。

 中共はメディアや外国の代理人を利用して、他国の政治に直接介入することさえある。 例えば、2018年の米国中間選挙では、『中国日報』が米国メディアの有料広告を使って選挙に直接干渉した。オーストラリアに亡命した中共の元スパイ・王立強氏は、2018年の台湾地方選挙を混乱させるために20万個のソーシャルメディアのアカウントを開設するよう命じられ、虚偽の世論を作り出して選挙を混乱させたことを明らかにした。また、親共の韓国瑜氏の選挙を後押しするために、香港拠点の企業を通じて、15億元を一部の台湾メディアに献金したことや、香港の銅鑼湾にある書店の連行事件の計画に参加していたことも暴露した。

 米国のシンクタンク・戦略予算評価センター(Center for Strategic and Budgetary Assessments)の最近の報告書「欧州における中国の影響力を明らかにする」によると、中共は様々な「友好協会」を通じて欧州のエリート層に働きかけ、表向きは教育や文化交流の促進と銘打っているが、実際は中共の代理人として、ヨーロッパにおける中共の影響力の拡大と浸透を図っていると自由アジアは指摘している。

 言論の自由は必然的に人権の重要な部分であるが、中共は欧米の言論の自由を利用して虚偽の情報を拡散しており、逆に人々が情報を知る権利と言論の自由を侵害した。

 コロナウイルスの罪をすりかえる中共の大プロパガンダ

 ご周知のように、中共外務省の報道官である趙立堅氏は3月12日、ツイッターで「米軍が新型コロナウイルスを武漢に持ち込んだ」と流した。メリーランド州フォートデトリック)にある米政府の研究所が新型コロナウイルスを作ったというニュースは、海外ツイッターやWeChat、TikTokなどの中共の潜伏ユーザーによって広まった。このフェイクニュースはすぐにアメリカや欧州に強く反撃されたが、中国本土や海外の中国人の間ではかなり信じられているようだ。これらの中共が浸透したメディアだけを選ぶ人々は、外の出来事を判断する時に、1980年代初頭に旧ソ連が発起した「デンバー作戦」をほとんど知らないはずである。当時、中共に利用された影響力のある科学者たちは、HIVウイルスがアメリカのメリーランド州フォートデトリックで発生したという情報を広めた。実際、最初のHIV症例はアメリカではなく、アフリカで発生したのである。フォートデトリックでは、1943年から1969年の間に生物兵器計画をしたことがあるため、反論することが一層難しい状況であった。

 中共のコロナ感染症についてのプロパガンダのモデルは、国内では強制手段で非公式な情報を遮断し、家族の会話でさえも中共体制への挑戦と見なされている。 一方、対外宣伝ではコロナ感染症と戦い、成功したリーダーシップのイメージを構築している。フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング紙(F.A.Z.)には、中共の疫病対外宣伝について以下のように書かれている。「外国政府の感染予防策について否定的な評価を与え、自国の政治体制の優位性を強調する。このような政治体制の特徴は、過ちを犯さないことである。それは、ミスが許されないことである。本来ならば、このようなプロパガンダの合言葉は、欧米では笑いものにしかならない。しかし、現段階で皆に注意を喚起しなければならないのは、ここで『泥棒を捕まえろ』と叫んでいる張本人が、実はまさに世界を揺るがしている現在の感染症の核心の一部であるということだ」

 すべての事実から、共産主義体制は中傷に対し非常に精通しており、財力を惜しまずに国家の全力を尽くして嘘を作る。嘘をつくことは中共にとって欠かせない生存条件と生存方式なのである。

 トランプ大統領が行政命令に署名 全面的にTikTokとWeChatを制限

 トランプ大統領は8月6日、TikTokとWeChatを全面的に制限する執行命令に署名し、45日後に発効する。 執行命令は、海外版TikTokとWeChatアプリを即日から45日内に制限措置を取り、米国の国民や企業が中国の2社と取引することを禁止している。

 WeChatは米国に在住の300万人の中国人を含めて、世界で10億人のユーザーを抱えている。WeChatの本部には中共の公安部が常駐しており、情報を細かく監視している。トロント大学のセキュリティ研究グループの「公民実験室」(Citizen Lab)の最近の研究によると、中国本土以外のユーザーもデリケートな政治内容がある場合、同じく綿密に監視されていることが分かった。例えば、米国のユーザーが送信したコンテンツは中国のユーザーは受信できないなどである。WeChatは中国国内の人々に対して驚異的なレベルで監視しており、李文亮医師の実例などすでに十分証明できる。海外のTikTokは、ユーザーの顔認証、居住地、電話番号、友人と友人グループの情報などすべての個人情報を直接中共に送る可能性が高い。

 TikTokとWeChatを制限する行政命令は、米国が最近計画した「クリーン・ネットワーク」対策の一環である。ポンペオ米国務長官は8月5日の記者会見で、5Gネットワークの「クリーンパス(Clean Path)」構想を推進するため、米国は電気通信事業者、アプリストア、スマートフォンアプリ、クラウドストレッジ、海底ケーブルの五つの分野で新たなクリーン・ネットワークを実施すると発表した。

 同日、米国国務省は「米国資産を守るためのクリーン・ネットワーク拡大」という声明を発表した。「クリーン・ネットワーク」プログラムは、米国政府がとった総合的な措置であり、国民のプライバシーと米国企業の最重要情報を保護し、中共によるハッキング攻撃を受けないように、また、米国の重要な通信と技術インフラを悪意ある侵入から保護するためにあることを明らかにした。

 ポンペオ氏は演説の中で、中共の華為、中国移動、百度、アリババ、テンセントなどのテクノロジー企業を名指した。これらは核レベルの制裁であり、米国と中国の数字を正式に切り離すことを意味すると専門家は考えている。このニュースを受けて、香港のハンセン指数と深センの創業板指数の前述の企業の株価は急落した。現在、世界の30カ国と地域が「クリーン・ネットワーク」計画に参加している。この計画は、中共がアメリカに伸ばしている技術、情報、の大プロパガンダの浸透した長い腕を断ち切るに違いない。

 グーグルは同日、中共と関連ある2500本のYouTubeチャンネルを削除すると発表した。動画共有プラットフォームの虚偽の情報を一掃するキャンペーンの一環としている。

 「偉大な兄貴分はあなたを見ている」から中共の末路へ

 ジョージ・オーウェルは『一九八四年』の中に、「偉大な兄貴分はあなたを見ている」という名言も残している。

 国境なき記者団が4月21日に発表した2020年次報道の自由指数報告によると、中共の世界での指数は後ろから3番目である。中国、エリトリア、北朝鮮は最下位の3位に入っている。これは、中共の偉大な兄貴分が言論自由に対する恐怖心が高まっていることを示している。また、国境なき記者団は、中国が監禁している記者の人数が世界で最も多い国であり、約100人余りの中国人記者が刑務所に監禁されていると報じた。

 中国国内のメディアは最近、不動産の巨頭である任志強氏が司法部門に引き渡され、清華大学の教授・許章潤氏が「売春」で大学に除名されたと報じた。言論の問題で罪に問われた民間人は数え切れないほどおり、武漢肺炎の真実の情報を報道した陳秋実さんと方斌さんの行方は未だ不明である。

 しかし、中共の脅しは人々の目覚めを止めることができなかった。2020年3月30日、山東省の青年・張文斌さんは、「僕はかつて中共を守る赤く染められた青年でしたが、ネットの封鎖を突破してから、だんだんと中共の本質を認識することができました。中共は土地改革から、文化大革命、3年間の飢饉、一人っ子政策、6月4日の大虐殺、法輪功に対する迫害、チベット、香港、新疆の人々への迫害に至るまで、今日、その魔の手をすでに世界中に伸ばしていますが、誰もが見て見ぬふりをしそれを賛美しているのです。僕はどうしても耐えられません」という動画を投稿した。中国の国内でも目を覚ました人がますます増えてきた。

 現在、米国を中心とする西側諸国は、中共に対する宥和政策から完全に目覚めた。 ポンペオ氏のニクソン図書館での対中政策演説は、中共から切り離す世界の動きを正式に開始した。アメリカの両党は、中共の過去40年間の詐欺に対して終止符を打つ時が来たと合意した。ポンペオ氏の演説後、中共の偉大な兄貴分である大プロパガンダの長い腕が即時に切り落とされた。

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2020/8/11/410211.html)
 
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