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在日華人の家族が何度も迫害され、父親は自ら命を絶った


文/在日華人・解運華(黒龍江省鶏東県出身)

(明慧日本)2011年5月21日、この日は私にとって、とても心の痛む1日となった。お昼頃、けたたましく電話のベルが鳴り響き、週末の静けさを打ち破った。それは従姉からだった。「あなたのお父さんの命がもう危ないから、早く両親の家へ電話しなさい」その尋常でない声音が、私に不安な予感をもたらした。
 
 私は慌てて両親のもとへ電話をしたが、誰も出なかった。仕方なく、姉の携帯に電話をすると、緊迫した騒々しい音が聞こえてきた。姉は「今、お父さんが緊急手当を受けていて、もう助からないかもしれない」と言った。
 
 私が12年間抱いてきた心配は今、恐ろしい現実となってしまった。中共(中国共産党)の法輪功に対する、非人道的な残酷な迫害政策の下、現地の派出所(黒龍江省鶏東県前進派出所、地域担当者・何亮)は十数年にわたり、父を脅迫し続けてきた。重圧にさらされ続けた父は、ついに心身共に行き詰ってしまった。父・解世英は法輪功修煉者ではない。しかし、中共の法輪功修煉者への迫害が続くこの十数年間、父は多大な苦難に耐えてきた。十数日前に、私は電話で父と世間話をしていたのに、どうして突然こんなことになったのか? 突然のよくない知らせを受け、私の頭は一瞬の間に空白となり、しばらくの間ただ茫然としていた。私は涙が止まらず、視界が霞んだ。
 
 父は若い頃、中共の政治運動の被害を受け、心に深い痛手を負っていた。それから、父はいつも小心翼々とした気の弱い性格になった。中共の法輪功に対する12年間の迫害の中、父は家族全員を極力守ろうとしながらも、中共の迫害政策にあえて背く勇気はなかった。父は精神的な苦痛に耐え続け、身体の状態はますます悪くなり、1日中怯えながら日々を過ごしていた。
 
 2011年3月12日、10年間罪もなく不当に拘禁されていた弟・解運歓がついに釈放された。しかし、弟が帰宅すると、現地の警官は弟を尾行し、さらに理由もなく家族に嫌がらせを始めた。それからの1カ月間、警官は父に電話をしてきて、弟を派出所に出頭させるように圧力をかけた。また10日に1回、警察に出頭するよう強要し、従わなければ、弟にとって不利になると脅迫した。そのため、中共により最も貴重な10年の青春時代を奪われた弟は1カ月ほど療養した後、家族に迷惑をかけないため他の場所で暮らし始め、仕事をして生計を維持しようとした。それ以後、怯えながら辛酸をなめるような日々を送っていた父は、やっと比較的平穏に過ごせるようになった。
 
 しかし十数日前、現地の派出所は何度も父に電話をかけ、高齢の父を派出所に呼び出した。彼らが父にどんな悪辣な脅迫をしたのかはわからないが、精神的な負担が極限に達した父は、もう耐えることが出来なくなり、5月21日、首を吊って自殺した。父は中共の法輪功に対する迫害が始まって以来、ずっと深刻な精神的圧力を受けていた。父は中共のためにその生涯を捧げ、真面目に一生懸命尽くしてきた老幹部だった。職場では多才で、町内では誰もが父を称賛し、人助けにとても熱心であった。慈悲深い父は不当な扱いをされ、心中絶え間ない苦痛と不安に見舞われ、どうしようもない状況下で、長年にわたり必死に頑張ってきたが、父はついに首を吊って自らの命を絶った。
 
 父は幼い頃から孤独で貧しく、祖母と2人で助け合って暮らしてきた。1950年代になって母と知り会い結婚して、4男1女を育てた。母は長い間、腎臓炎、関節炎、肺結核、心臓病、腸閉塞など多くの病気を患っていて一度、危篤状態に陥ったこともあった。父は母を助けるために、医者を探し、薬を求めて、あちこち奔走し、世間の酸いも甘いもなめ尽くした。こうして家族は全員、病弱な母を気遣いながら、苦難に満ちた生活を送っていた。
 
 1996年、母は偶然、あるいは縁により法輪大法の修煉を始めた。1カ月ちょっとの短い間に、長年苦しんできた病気がよくなり、薬も必要なくなり母の精神状態は好転した。母は大法を修煉することにより善の心を修め、病気がちであった時の、せっかちで気性の激しかった性格を改め、温和で慈悲深く優しくなり家族は仲睦まじくなった。父は母の奇跡的な変化を目の当りにし、大法の不思議さをしきりに称賛した。それ以後、一家は和気藹々として健康で、仲睦まじくなった。これは私の記憶の中で、私の家族が幸せだった頃の唯一の思い出である。
 
 1999年7.20、江沢民をはじめとする中共の組織は、法輪功修煉者に対する残酷な弾圧を始め、私の家族の幸せな時間は、無常にも打ち破られた。その年の8月、日本にいる親族を訪問して中国へ帰国した母は、熱心に煉功点の輔導員をしていたことを理由に、60を過ぎた高齢であるにもかかわらず、前後6回も不当に強制連行され、罰金を徴収され、労働教養を科された。日本に留学していた末の弟・解運歓は、毅然として帰国し陳情したが、逆に中共の裁判所に10年の重刑を言い渡された上、残酷な拷問を加えられ、さんざん苦しめられた。弟は九死に一生を得たが、釈放されたとき全身は傷だらけであった。また、前後して姉、兄嫁、3番目の弟は、真相を伝えるため北京へ陳情に行ったが、何回も不当に拘禁された。
 
 (詳細は「明慧ネット2009年8月13日報道、法輪功修煉者・解運歓さんは9年間も迫害され衰弱、危篤状態に陥る(写真)」URL:http://jp.minghui.org/2009/08/13/mh144210.html を参照)。
 
 現地の警官は3日もあけず、両親の家に来ては嫌がらせをし、そして脅迫した。父はこのような精神的迫害に耐え切れず、この絶え間ない迫害から逃れるため、2001年から2007年までの間、60歳近い高齢にも関わらず、1人で山東省黄島開発区に行き仕事についた。当時は、母が迫害を避けるために放浪生活を余儀なくされていた時期でもあった。父は忙しく仕事をすることで、家族に対する心配を少しでも紛らわせようとした。しかし、現地の公安局は母を捜して逮捕するという名目で、何回も数千里も離れた父の勤務先に来ては嫌がらせをした。しかも、役人が毎回山東省へ行く費用を全額、母の退職金から差し引いていた。
 
 法輪功が中共によって迫害された12年間、病弱な父は恐怖と不安の中で、この12年間を過ごした。高齢の母が放浪生活をした6年間と、末の弟・解運歓が不当に拘禁された10年間を私は体験した。温和で病弱な父が、心身ともにどれ程大きな負担を抱えていたのか、私は想像することができない。毎回国際電話をする度に、私は牡丹江刑務所に不当に拘禁されている末の弟が、常に暴力に振るわれ労働教養を強いられていることを、敢えて父に伝えることはできなかった。
 
 ある年の大晦日のこと、母と姉が放浪生活を余儀なくされ、兄嫁は刑務所に監禁され、末の弟は刑務所で拷問を受けていた当時、自宅には、兄と甥と父の3人しかいなかった。多くの家族が一家の団欒を楽しんでいた時、自分の家族はばらばらになってしまった寂しい光景を目の当りにして、父はどれほど辛かっただろうと考える度に、私の心は刺されるような痛みを感じた。
 
 父が経験した 10年の文化大革命の経験は、父の身体に痛いほど深くしみ込んでいた。そのため、父は警官から嫌がらせを受けた際の詳細について、私達には何も口にしなかった。これらのことを知られたら、迫害されている子供たちにどんな不必要なトラブルが再びもたらされるかを父は心配していたのであった。このように善良な父は、何でも一人で心に抑え込み黙々と絶え忍んでいた。その結果、父の死という結末に至ってしまったのである。
 
 この長い12年間、幾千万の法輪功修煉者の家庭が、私の家族と同様に一家離散し肉親を失うという悲劇を経験した。このような罪悪が発生した根源は「真・善・忍」に基づいて修める法輪功修煉者に対する中共の残酷な迫害にあり、12年間に数千人の法輪功修煉者が迫害されて死亡し、数十万人が不当に労働教養を強いられ、懲役刑を言い渡され、多くの幸せな家庭が無残に破壊された。さらに、私の父のような法輪功修煉者の多くの家族、親友らが心身に多大な圧力を受け、恐怖の中で苦しみながら、この世を去った。
 
 このような罪悪が続くことを決して許してはならない。早期にこの人類の有史以来の大災難を終らせるために、世界各国の善良な人々が共に正義の声を発して中共の暴政を排斥し、1日も早く中共を解体することを切に望んでいる。
 
 2001年夏、私は不当に拘禁されて半年間経った末の弟に面会するために帰国し、山東省で久しぶりに父に会った。しかしこれが父との永遠の別れになるとは想像もしていなかった。十数年来、私は海外で、絶えず国内で迫害されている親族のために、あちこち走り回り色々な人に呼びかけていた。私は中共政府により、ブラックリストに載せられていたため、両親や迫害されている親族たちに会いに中国へ行くことはできなかった。そして今回、私は父の葬儀に参加することも、いまわの際に父に会うこともできなかった。
 
 この文章は、私自身の悲しい心の弔いであるとともに、無念にもこの世を去った父に捧げるものである。同時に、私の家族と同じような体験をした、幾千万の法輪功修煉者の家族に代って、呼びかけたいと思う。「中共を解体し、迫害を制止させよう!」
 
 (注:法輪功修煉者を迫害している主要な責任者らの情報は、中国語のページを参照)
 
2011年06月05日

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