量子もつれ:意識の変化が重要?(1)
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文/聞思睿

  【明慧日本2024年1月20日】2005年、ジョンズ・ホプキンズ大学の物理学と天文学の名誉教授であるリチャード・コン・ヘンリーは、『ネイチャー』誌に「メンタル・ユニバース」と題された論文を発表しました。この論文では、最新の量子物理学の実験結果に基づき、量子状態の変化(崩壊)が「物理的な影響を排除し、精神の有効性を明示する」と主張しています。この実験結果に対して、物理学者のジェームズ・ジーンズ卿は、「知識の流れは現在、非機械的な現実の方向に向かっている。宇宙の存在は、現在、巨大な機械ではなく、巨大な思考のように見える。物質領域において、心はもはや偶発的に現れる者ではなく、むしろ物質領域の創造者および指導者と見なすべきだ」と述べました。

 宇宙は物質的なものなのか、それとも精神的なものなのか? 十九世紀まで、さまざまな学説が論争を巻き起こしました。そして、「唯物主義」の思潮がこの時期に広まり、唯物主義は物質が意識を決定し、意識が物質を変えることはできないと考え、つまり物質が第一性であり、意識が第二性であると主張しました。物質の存在形態に触れる際、唯物主義は「世界は物質で統一されており、この物質性は人の意識に依存しない客観的な実在性である」と述べました。

 唯物主義が最も頻繁に引用する論証の一つは、「月が出てきたから見えるのではなく、月を見ることができるのは月が出てきたからだ」というものです。明らかに、このような主張は説得力があります。長い間、物質が意識を決定するという考えは根強く、世界全体に影響を与えてきました。

 しかし、19世紀末、20世紀初頭、光電効果が新しい領域を切り開き、その結果、量子物理学が誕生しました。科学者たちはミクロな粒子が驚くべき特性を持っていることを発見しました - 「粒子と波動の二重性」、つまり微視的な粒子は波でありながら同時に粒子でもあるという難解な概念です。

 このような状況に至り、20世紀でも最高の物理学者の一人とされるニールス・ボーア氏は「誰もが量子理論に戸惑わないなら、それは彼が量子理論を理解していないからだ」と述べたほどです。

 有名な量子物理学の実験には、「双子スリット実験」(the quantum double slit experiment)があります。この実験では、観察者がいない場合、光子(または電子)は曲線を描いて伝播します(波のような性質を示します)。しかし、一旦誰かが観察すると、光子(電子)は直線的に伝播するようになります(粒子のような性質を示します)。

 なぜ観察行動が粒子を変えるのか? 観察者の意識が粒子を変えるのでしょうか?

 20世紀初頭、量子理論の創始者であるドイツの科学者マックス・プランクは意識に関して次のような見解を述べました。「私は、意識は根本的な問題であり、物質と呼ばれるものは単なる意識の派生物に過ぎないと考えています。私たち人間は意識の根源を探求することができません。私たちが言うあらゆるものや、私たちが考えるすべての存在は、意識を基盤としています。

 1927年9月、ニールス・ボーアは初めて「補完原理」を提案しました。ボーアは「孤立した物質粒子は抽象的な概念に過ぎず、他のシステムとの相互作用を通じてのみ、それらの性質に定義を与え、観測を行うことができる」と述べました。

 ボーアは粒子が孤立した物質粒子ではなく、宇宙全体と不可分割な相互関係を持っていることを示そうとしました。ボーアはこの補完性の概念が中国の思想と類似していることに気付きました。中国の聖人たちは陰と陽の二極性を用いて相対するものの補完性を表現し、それらの間の動的な相互作用を自然現象と人間の状況の本質と見なしました。

 実証科学において、意識はニヒルかつ測定不可能であるため、ボーアの「意識が粒子を変える」という理論は物理学の研究の焦点であり続けています。多くの物理学者が量子力学の観察に参加しており、例えば双子スリット実験の「遅延選択実験」では、観察(意識)が粒子の運動形態に直接影響を与えることがさらに確認されています。

 もし双子スリット実験が微視的な粒子が観察行動によって意識の影響を受けることを示しているならば、では粒子同士はどうでしょうか?もし粒子が意識を持っているならば、粒子同士には意識的なつながりが存在するのでしょうか?

「量子もつれ」が量子意識を確認する

 1982年、フランスの物理学者アラン・アスペクトと彼のチームは、微視的な粒子間に「量子もつれ」と呼ばれる関係が存在することを確認する実験に成功しました。

 もしも2つの微視的な粒子があるもつれ関係(親密な関係)を経験した場合、それらがどれだけ離れていても、一貫してもつれの関係を保ちます。片方の粒子に干渉があれば、もう一方の粒子(どれだけ離れていても)は即座にそれを知っているようなものです。これはまるで2つの電子が超光速で秘密の通信を行っているかのようです(まるでテレパシーのように)。

 「量子もつれ」または 「超距離作用」 とも呼ばれ、アインシュタインはこれを 「幽霊のような遠隔作用」と形容し、彼が生前に完全に量子力学を真実で完全な理論として受け入れることはなく、常により合理的な解釈を見つけようとしました。

 「量子もつれ」は世界中の多くの実験室で確認されており、多くの科学者は近年の科学の最も重要な発見の一つだと考えています。その正確な意味についてはまだ十分に理解されていませんが、哲学界、科学界、宗教界には既に深い影響を与えています。

 2012年、欧州宇宙機関(ESA)がカナリア諸島にある光学観測施設で、143キロメートルを超える距離で量子もつれ実験の新しい世界記録を樹立しました。

 2015年、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)の研究者たちは、複数の対となる同一の光子を生成し、それらを異なる場所に送り、観測を行いました。実験の結果、「幽霊のような超遠隔作用」が実在し、その説得力のある証拠が提供されました。

 オランダのデルフト工科大学のチームも、迄今で最も厳格な実験を設計し、量子力学の「超距離作用」が実在することを証明したと発表し、論文をarXivの論文プレプリントサイトにアップロードしました。

 意識自体は四次元時空を超越した存在であり、量子力学は微視的な粒子物質の側面しか記述できず、意識の側面を明確に説明することはできません。しかし、「超距離作用」の発見は、微視的な粒子が意識を持っている可能性の最も良い証拠となり得ます。

 では、「超距離作用」は東方文化においてどのように表現されているのでしょうか? 道家文化では「人体は小宇宙である」という考え方があり、外部の宇宙がどれほど大きくても、身体の内部の宇宙も同じほど大きく、宇宙は不可分割な全体です。

 微視的な粒子が意識を持っているかどうか、意識が時空を越えることができるかどうかは、実証科学では基本的には考えにくいものです。しかし、量子もつれは粒子が意識を持つ現実性を提供しています。

 中国の伝統文化では、「万物皆有靈(すべてのものに意識がある)」という信念があり、宇宙の中のあらゆるものは物質の側面と精神(意識)の側面の両方を同時に持っており、物質と意識は統一されているとされています。

20分間での植物の発芽の奇跡

 米国国立医学図書館に所蔵されている『米国漢方薬学』雑誌には、かつて以下の研究報告が掲載されました。

 「チュリン・スンは特別な能力を持つ女性で、中国人体科学学会のメンバーの一人です。彼女は外気(Waiqi)氣功師であり、外気は心の制御の下で、伝統的な中国医学で言われる気のエネルギーをもたらす方法を教える一種の気功です。

 「チュリン・スンは心の力を使って気のエネルギーを運用し、種子が20分で根を出し、発芽し、数センチ育つよう促進することができます。これは180を超える異なる場所で多くの大学、中国の科学研究機関でデモが行われ、他の国々(例:日本、タイ、マレーシアなど)でもデモが行われたことがあります」

 原因の分析を経て、科学者はこの事例を確認しました。この研究の要約は以下のように述べています。

 「初めの推測では、気のエネルギーが発芽に関連する構造の遺伝子座を変化させ、それによって時間内にその発現を促進し、発芽を早めた可能性があります」

 チュリン・スンによれば、人間は特定の機能状態に入ると、植物とコミュニケーションをとり、情報を相互に交換できると考えています。植物は「意識があり感情がある」とし、人の意識場と特定の情報源が植物の成長と発育に著しく影響を与え、植物の成長方向、速度、途中を変えることができるとされています。

 人間の意識は物質世界に対して持つ影響力は、人類の認識を超えており、宇宙の奥義を探求する欲求は誰もが内面的で強く抱くものです。

 物理学者たちが量子もつれを探求し続け、新しい成果が次々と現れています。宇宙の不思議を洞察することは、ますます人々の熱い思索を引き起こしています。

 (続く

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2023/10/12/467019.html)
 
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