米国務省2020年国際宗教自由報告書、法輪功に注目
■ 印刷版
 

 【明慧日本2021年5月19日】(明慧記者・王英)米国国務省は、5月12日に「国際宗教の自由に関する2020年報告書」を発表し、中国共産党(以下、中共)による法輪功への迫害について、明慧ネットの報道を大量に引用して中共の迫害を暴露した。

 アントニー・J・ブリンケン国務長官は当日の記者会見で、「国務省はすでに『国際宗教の自由に関する2020年報告書』を米国議会に送付した。この報告書は、約200の国と地域における宗教の自由の現状について、事実に基づいた詳細な説明を提供し、政府、非国家主体、個人によって行われた侵害や虐待行為を記録しており、米国は、行為の責任者に対する責任追及に取り組んでいる」と述べた。

 報告書では「中共は引き続き宗教活動や、信仰者の自由を制限し、身柄拘束中の死亡事例が相次いで発生している。中共政権は、宗教的な信念を持つ人々に対して、拷問、虐待、連行、拘束、刑罰を与え続けている」と記している。

 報告書によると、明慧ネットの報道では、中共の警察は2020年に6600人以上の法輪功学習者(以下、学習者)を連行した。中共は、法律を超えて中共が支配する組織を使い、法輪功やその他の組織を迫害し続けているという。

 メディアの報道によると、中共当局は顔識別ソフトや電話追跡などの手段を利用し、宗教信仰団体のメンバーを特定し、連行した。山東省のある政府職員は、上司から地元以外の入居者、特に学習者を探すように命じられたという。

 報告は学習者の被害事件を詳述している

 報告書では、「明慧ネットによると、2020年には、信仰を放棄することを拒否したために、6659人の学習者が連行され、8576人が嫌がらせを受けた。これに対し、2019年には6109人の学習者が連行され、3582人が嫌がらせを受けた。学習者の連行は、全国各地で行われている。河北省、黒龍江省、山東省、吉林省、四川省、遼寧省は、迫害が最も厳しい地域である。連行された学習者は教師、エンジニア、弁護士、記者、作家、ダンサーなど多岐にわたっている」

 「明慧ネットによると、多くの人が拘禁中に拷問を受けたという。また、当局はこの1年間に全国で622人の学習者に実刑判決を下し、その刑期は3カ月から14年で、平均刑期は3年4カ月である」

 「明慧ネットによると、この1年間、20の省、直轄市の83人の学習者が迫害により死亡した。一部の学習者は、拘禁中に睡眠や食事を奪われたり、長期にわたり苦しい姿勢を保つよう強要されたり、適切な医療を受けられないなどの虐待を受けて死亡した。一部の学習者は、仮釈放された直後に死亡した」

 「昨年5月13日、河南省禹州市当局は、法輪功の資料を配布していた学習者の張志温さんを連行した。張さんの夫は彼女に服と薬(糖尿病の薬)を届けようとしたが、当局によって拒否された。当局は「彼女には医療サービスを提供する」と主張した。しかし、5月17日、張さんは拘禁中に死亡した。当局は夫に通知することなく、遺体を直接火葬場に送った」

 「報道によると、山東省蓬萊市大張家村の学習者・李玲さんは2020年6月28日に連行され暴行を受け、7月13日に死亡した。同日、村の村民委員会は彼女の家族に遺体の火葬を強要した。李さんの家族によると、彼女の顔は変形しており、全身アザや傷だらけだったと説明したという」

 「明慧ネットによると、2020年9月22日と23日、黒龍江省ハルビン市の当局は、学習者27人とその家族(非学習者)3人を連行し、自宅から法輪功の書籍、ノートパソコン、プリンター、現金、法輪功創始者の写真などの私物を押収した。逮捕から数日後、当局は他の8人の学習者にも嫌がらせをした。ある学習者が帰宅すると、警官が家宅捜索をして家財を押収している現場に遭遇した。警官らは法輪功の書籍を押収し、同学習者とその夫(非学習者)まで連行した」

 「2020年7月、吉林省の警官は学習者数人を連行した。うちの1人は殴打され、頭を壁に叩きつけられ、コンクリートの床の上で体を引きずられた。この学習者は膝に重傷を負った」

 「法輪大法情報センターによると、2020年5月22日、北京当局は毎年恒例の全人代会議の前に少なくとも40人の学習者を連行した。情報筋によると、警官は学習者に嫌がらせをしたり、彼らの自宅で家宅捜索をしたりした」

 「2020年4月21日、中共の警官は学習者・王玉玲さんの自宅の窓をこじ開け、彼女の家に侵入した。そして、王さんの自宅にあった法輪功の書籍、法輪功関連の印刷物、プリンター、パソコンなどの家財を押収し、王さんとその娘を連行した。4月27日、当局の関係者は学習者・楊玉良さんの自宅に押し入り、法輪功創始者の写真、法輪功の書籍を押収し、楊さんと娘の楊丹丹ちゃんを3日間拘束した」

 報告によると、キリスト教徒、チベット仏教徒、学習者らは、信仰を理由に雇用、住居、ビジネスチャンスなどの面において深刻な差別を受けているという。

 「法輪大法情報センターによると、昨年6月、河南省禹州市の警官で、学習者の扎卓林さんは法輪功を誹謗中傷する声明を書くのを拒んだために、解雇された」

 非政府組織報告を引用し中共による臓器狩りを暴露

 昨年3月、米国のNGO団体「共産主義被害者の記念財団VOC(Victims of Communism Memorial Foundation)」は、「中国における臓器狩りと超法規的処刑:証拠の検証」という報告書を発表した。VOCは報告書の中で、中国の臓器移植市場で取引される臓器の供給源は、学習者とウイグル人の良心の囚人の可能性が最も高いという。

 3月1日、オーストラリアのNGO組織「中国臓器移植の濫用を終わらせる」が設置した独立法廷「中国法廷」は、全面的な判決を下した。判決文では、残虐な行為を目撃した個人や医療関係者の証言が記録されている。このNGO組織は、学習者を中心とした良心の囚人に対して、中共政府が認めた強制的な臓器摘出を数十年にわたって継続的に行っていたと判断した。「全面審判報告書」には、X線、超音波、血液検査、DNA検査などの健康診断を強制的に受けさせられた学習者やウイグル人の目撃証言も含まれている。

 人権弁護士・高智晟氏の消息が未だ不明

 昨年末の時点では、人権弁護士の高智晟氏が中共の国家安全警察に拘束されているとの報道があったが、彼の行方は不明のままである。2017年9月、警察は、キリスト教団体や学習者および他の団体のために弁護してきた高氏を拘束した。

 昨年9月、NGO組織ジュビリー・キャンペーンは、第45回国連人権理事会常任理事会で、中共に対し、「高智晟弁護士を含むすべての政治犯と宗教的良心の囚人を無条件に解放するよう」と呼びかける声明文を発表した。高氏の娘・耿格(Geng Ge)さんは、「今日の時点では、父が生きているかどうか分かりません」というビデオを同理事会に提出した。

 米国政府、中共による迫害を非難

 米国務長官は今までの演説の中で、中共が宗教の自由を剥奪していることに対して何度も非難した。ポンペオ元国務長官は、昨年10月にインドネシアを訪問した際に行った演説の中で、「中共は、仏教徒、キリスト教徒、学習者などのあらゆる信仰を持つ人々に宣戦しています。中共は、宗教の自由への最大の脅威です」と述べた。

 米国務省は昨年12月10日、厦門市公安局の黄元雄を含めて、人権を迫害した中国官員17人に対する制裁措置を発表した。黄は、学習者の信仰の自由を著しく侵害し、学習者に対する拘束と尋問に参与した。今回の制裁は、黄の配偶者にも適用するとポンペオ氏は示した。

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2021/5/13/425371.html)