文/中国の大法弟子
【明慧日本2021年6月25日】ある日、姉からの電話で「両親がまた喧嘩をしている」と聞かされました。私の父は80代です。父は法輪大法を修煉していませんが、大法の素晴らしさを理解しており、「法輪大法は素晴らしい、真・善・忍は素晴らしい」と、心からの九文字(中国語では九文字)をよく唱えています。
私の母は修煉者で、80歳に近く、普段はほとんど家にいます。父は、時々とても攻撃的になります。夜中にドアを蹴破り、母を一晩中寝させなかったり、寝ている母を叱ったり叩いたり、ナイフで脅したりするのです。
一度、姉が2人の喧嘩を止めようとしましたが、父は包丁を持って姉を無理やり帰したことがありました。時には、姉や兄を家の外に追い出し、喧嘩を止めさせないために靴を投げつけることもありました。
しかし、私が実家に行くと、父は何事もなかったかのように振る舞うのです。姉から見れば、それは「信じられないこと」でした。実はこれらのことは、私の父への優しい思いがあったからです。親戚や近所の人たちや、彼らの子供たちの目から見れば、父の行動は憎しみに満ちたものに映っていましたが、私から見れば、父は哀れであり、何かに支配されているからだと分かっていました。
邪悪なものが、父の心と体を支配し、心に安らぎの時間がないかのように、父を苦しめていたのです。その状態で苦しんでいるのは、父自身なのだと思いました。父の目は牛のように大きく、表情はよくないのですが、私は父の無力感を感じ、父を恨んだり憎んだりはしませんでした。多分、その時、私の考えが大法に沿っていたので、父は瞬時に変わり、表情や口調も普通になるのだと思いました。私の前では、乱暴な行動など、繰り広げられることはありませんでした。
夜、私が母の部屋に入ると、母はどうしようもない様子で、父から受けた仕打ちを私に話してくれました。そして、今まで母は、このことを私に話してはいけないと悟っていたのだと思いました。母はしばらく黙っていましたが、母がこんなことを言いました。「父さんに散々虐められたのに、私は何の抵抗もせず、ただ黙って耐えてきた。しかし、なぜ父さんは変わらないの? 私は父さんが、邪悪に操られていると分かっているから、父さんの背後にある邪悪要素を根絶するために、正念を発している。やれることは全部やっている。あとは何をすればいいの?」
私も、母が一刻も早く窮地を脱するために、あらゆる手段を使っていました。しかし、今回はどうしてもうまくいかず、どうしたらいいのか、分からなくなってしまいました。私は以前、多くの人が家庭内のトラブルに陥ったことに関する記事を印刷していたことがあります。母が刺激を受けて、正念を生じることを期待していましたが、今、私は母を見て、何と言っていいのか分かりませんでした。
突然、私は方法を思いつき、母に笑顔で尋ねました。「お母さん、あなたはなぜ正念を発するのか知ってる?」。母は少し戸惑いながらも、「それは、みんながやっていることじゃないの? 邪悪を根絶するためでしょう?」と言いました。
私は「そうだけど、邪悪を滅する目的は何なの?」と言いましたが、母は答えませんでした。
私は「お母さん、それはすべての衆生を救うためだよ。自分のためではなく、他人のためなんだよ。例えば、お母さんがもっと正念を発して邪悪を撲滅したら、お父さんはお母さんを叩かず、叱らず、この家族の苦難はなくなり、お母さんは苦しみから解放されて良い人生を送れるでしょう。お母さん、邪悪を根絶するということは、人のためになることなんだよ」と言いました。続けて、私は「例えば、この乱暴な行動は、父がやっているのではないと分かっているでしょう。では誰がやっているの?」と聞きました。
母は「それは邪悪だ」と言いました。私は「そうだね、その邪悪なものが、お父さんを操っているのだから、当然、根絶しなければならないよね。それらの邪悪なものに操られて、悪事を働いたり、大法弟子を迫害している。これらの邪悪なものを根絶する目的は、それはお父さんを救うためなんだよ」
母は少し理解してくれました。私は次の段階に進みました。「お父さんが、お母さんを殴り終えてすぐ、お父さんは体調不良になったと言ってなかった?」と聞くと、母は「確かにそうね」と答えました。母は、いくつかの例を挙げてくれました。私はさらに続けて言いました。「あの卑しい鬼が、お父さんを傷つけているのではないか? ではどうすればいい? お母さんが助けてあげないと、お父さんには力がないのよ。お父さんは、あの腐った幽霊に勝てないけど、お母さんには力があるのよ」
また私は、「師父は、私たちにその力を与えてくださっているじゃないの。お母さん、誰が被害者なの? お父さんが被害者だよ。お母さんはお父さんを守らなければならない。どうして邪悪がお父さんを迫害することを許しているの?」と言いました。
母は「確かに父さんは法輪大法の素晴らしさを認めて、よく『心からの九文字』を唱えているわね」と言いました。
私は、「そうだよ、師父がお父さんの面倒を見てくださっているのよ。あの邪悪な悪魔や、腐った邪霊は、お父さんに危害を加えたり、操ったり、お父さんを使って大法弟子に罪を犯す理由はないでしょう? だから、自分を被害者として扱わないで、お母さんの強い正念で邪悪を根絶することができるはずよ」
「お母さん、もっと、考えてみて欲しい。お母さんは無限のオーラに包まれている大きな神だよ。どうして、まだ人間を怖がっているの?」
「お父さんは人間でしょう。どうしてお父さんは、お母さんを迫害することができるの? お父さんは獰猛な存在ではなく、むしろ、お母さんの方が、お父さんを迫害する面倒なものから、守らなければならないのよ」と話しました。
母は恥ずかしそうに笑っていました。その時、母は自分の不親切さ、人を見下していたこと、その他にも多くの執着を見つけました。
私は母の目を見ながら、「お母さんが人を助けることを基準にした立場に立つとき、それは新しい宇宙の原則に沿っていること。新しい宇宙の存在の本質は、無私と利他だね」と話しました。
師父は「まず他の人のことを配慮して無私無我で、なおかつ他人を先に、自分をあとにするという正覚にまで修め遂げなければならないのです」[1]と説かれました。
私は「師父がお母さんを見守ってくださっています。もし誰かが、また同じことをしようとしたら、師父は、そのようなことは許されません。お母さんが法に従っているのだから」と母を励ましました。
何度もやりとりをしているうちに、母は理解し、正念を持つようになりました。母は、もう孤立無援の状態ではなく、精神状態も変わりました。
母の心の結び目をほどいているとき、私はしばしば師父から加持と知恵を受けました。このことで、母とのやりとりを通じて、私は悪い人に報いを受けさせることは、すべての生命を救うことと同じであり、大きな優しさと、思いやりを示すことだと気づきました。
それは、悪人に目を覚まさせ、悪事をやめさせ、過度の悪事を働いてより悲惨な結末を迎えることを防ぐためのものです。同時に、すべての生命に警告を与え、悪いことをやめるように注意を促します。
また、自分の空間場をクリアにすることで、衆生を救うことができます。私たちの、人間的な観念や執着、様々な人間の人生の中で培われてきたすべての腐敗したものは、法に沿ったものではありません。
その存在自体が、衆生済度を妨げています。よく同修が、「同修が警官からの嫌がらせを受けないように、あるいはある地域での迫害を避けるために、正念を発しよう」と言っているのを耳にします。
師父は「法徒は魔難を受け 毀されるのは衆生」[2]と説かれました。
私たちは、人々が利用されたり、大法弟子に罪を犯したりして、自分の将来を台無しにしないように、正念を発します。私たちは、衆生を救い、衆生に責任を持つことを基本としています。
ですから、正念を発することの効果は良いものでなければなりません。この機会に、長い間、家族の苦難から抜け出せないでいる修煉者に、参考になるような小さな話をしたいと思います。
昔、私の両親が喧嘩をしていたことがありました。私は母の悲しそうな顔を見て、何と言っていいか分かりませんでした。私はふと思いついて、「お母さん、お父さんのいいところは何?」と聞いてみました。母はしばらく考え込んで、何も言わずに笑っていました。
私も微笑みながら、「いいところは一つもないの?」と聞いてみました。母は「そうよ」と言いました。
私はすぐに、「お父さんは、大法が良いものだと知っており、それを信じています。いつも大法を唱えています。それがお父さんの最大の功徳です。富や高い地位は役に立たない。大法に反対すれば、未来はないのです。だから、お父さんは良い人なのに、お母さんから見ると役に立たないのです」と言いました。
母は、照れくさそうに笑っていましたが、その時母は、自分の不親切さ、人を見下す態度を見て、他の多くの執着を見つけました。
最も重要なのは、自分の正念を発したことです。母は、自分をしっかりと修め、父に優しく接し、父を思いやる気持ちを表しました。母は自分の人心や執着心を見つけたとき、昔の輝きを取り戻しました。
師父が教えてくださらなかったら、あの時、私は何を言っていいのか分からなかったでしょう。師父が私に与えてくださった知恵に、深く感謝いたします。
注:
[1] 李洪志師父の著作:『精進要旨』「佛性に漏れなし」
[2] 李洪志師父の詩:『洪吟三』「生々世々は此の一生のため」