【明慧日本2022年8月29日】『轉法輪』第6講の「走火入魔」の節に「真瘋」についての記述があります。私の故郷で数十年前、祖母が20代の時に、村の女性のAさんにある日突然、「真瘋」の現象が現れました。以下は祖母の口述を整理したものです。
Aさんの姑が死んで、舅はAさん夫婦と一緒に暮らしています。村人は「Aさんは計算高い人だな。舅に粗末な飲食しかあげていないのに、親孝行していると見せかけるため、舅に良い服を着せている」と言っています。舅もそれが分かったようで、長年菜園の仕事をして、毎日Aさん夫婦と子供たちが食事をしてから帰宅するようにしています。そのようにして何年か経つと、舅はますます痩せて、息子(Aさんの夫)に「どこが悪いのか」と聞かれても、舅は何も言いません。
冬場のある日、Aさんは突然、気が狂いました。村人の家を一軒ずつ回って、勝手に台所に行って水がめから冷たい水を汲んで、三口飲み、それから茶碗を洗い、その家の年配者に跪いて、「〇〇さん、あなたの家の水は私の心をきれいに洗ってくれた。ありがとう。義父に親孝行していないのは大きな過ちなので、村じゅうの家々の冷たい水を飲んで心を清めるようにと天上の神が私に罰を与えました。私は間違いました。村人に許しをもらえなかったら、私はずっと跪いて起き上がりません」と言いました。
村人は「許してあげる」と言うと、Aさんは起き上がって、次の家に行きます。Aさんは裸足で、髪も古代スタイルに結って、白色の単衣を着ています。村人は綿入れの上着をAさんの体に羽織ってあげてもAさんに断られ、神は自分に罰を与えて、暖かい服を着せないのだと説明しました。家族がAさんを病院に連れて行こうとしても、数人の男性でもAさんを捕まえることができませんでした。
その日、Aさんは裸足で単衣を着て村のすべての家を回って、各家で冷たい水を飲んで跪きました。最後の家を出てから自宅に帰って、美味しい麺を作って両手で義父の前に捧げました。家族全員が食べ終わったら、Aさんは残りものを食べ、「以前、義父に残飯を食べさせたのは間違っていました。今から償います」と言いました。
冬の夜は暗くて寒いのですが、夕食の後片付けをしてからAさんは家を出て、村中を歩き回り、疲れたら乾草の中で寝て、日が昇ると家に帰って、庭を掃いたり食事をしたりして、何ごともなく家事をこなしました。
農村では冬に、村人の家畜がよく盗まれますが、Aさんが白い服を着て村中を歩き回っているため、泥棒も怖がってはその村に行かなくなりました。
春になると農作業が始まります。Aさんは肥料を担いだり畑を耕したりして、以前は汚いとしなかった農作業を、今は全部しています。しかも他の家の手伝いもして、誰も彼女を止めることができません。仕事がない時、Aさんは気が狂ったように走り回り、雨が降ろうと雪が降ろうと、夏の猛烈な日射の下でも、天気が悪ければ悪いほど外に出て走り回ります。村に乞食が来たら、Aさんは乞食を家に招いて、食べ物をあげます。
このままではまだ気が狂ったとは言えず、Aさんは自分に対してとても惨いことをします。冬に裸足で雪の中を走って、切れた足の大きな傷口から血が流れ出て、雪に赤い足跡を残します。石のように硬く凍った道端のロバの糞をAさんは拾って食べ、誰も彼女を止められません。食べながら「肉団子だ、美味しい!」と言います。馬や牛などが尿をするのを見て、Aさんは尿を両手で掬って飲みます。村人は彼女を可哀そうに思って、家畜をできるだけ牛小屋に入れて、室外に出さないようにしています。
家族はAさんを部屋に閉じ込めるのですが、どうやって鍵を開けたのかわらないのですが、鍵をかけたばかりで振り向くと、Aさんはもうドアの外に立っているのです。太いロープ、鉄製チェーンで縛ってもAさんは部屋の外に出ることができます。美味しいものをあげても、Aさんは食べずに犬にやります。
こんな瘋癲になっても、筋が通ったことを話す時もあります。旧正月の時、椅子に座って2人の息子から叩頭の礼を受け、息子たちに良い人間になる道理を話すのですが、とても理に適って筋が通った言葉でした。
毎日身に着けている白いズボンと白いシャツを、Aさんが洗う光景を誰も見ていませんが、しかしいつも真っ白で、少しも汚れていません。Aさんは畑仕事などとても服を汚す仕事をやっているのに、とても不思議です。
このように3年間気が狂いました。ちょうど3年前に異変が起きた日の午後になると、Aさんは急に正常な状態を取り戻しました。水を沸かして入浴し、以前の服に着替えて、靴と靴下を履きました。自分で髪を少し切って、元通りの髪型にしました。
村人は皆、「Aさんが正常に戻ったら、義父の幸せな生活も終わり、また残飯を食う羽目になるのでは」と言いました。しかしAさんは義父に対して、気が狂った時期と同じように優しく扱いました。親孝行するだけでなく、誰に対しても以前より優しくなりました。「昔、ロバの糞を食べたり馬の尿を飲んだりしたことを覚えていないか」と聞かれても彼女はただ微笑んで、少しも怒ったりしません。
文化大革命の時、ある日の夜、Aさんは祖母の家に行って、「3日後にたくさんの人がお寺を破壊するが、おたくの息子に行かせないでください」と言いました。結局、寺を破壊した人たちは家に帰ったら様々な病気になって、リーダーは犬に噛まれて狂犬病になり、10日もしないうちに死んだそうです。
私が生まれてから、Aさんの家に遊びに行ったことがあります。夏場のある日、Aさんは私お母が作った餃子を食べた後、もう食事を口にしなくなり、三食には水だけを飲みます。数日後、両親は私を連れてAさんに会いに行くと、Aさんは前回会った時と変わらず、顔も特に痩せたりしていません。昼食の前、Aさんは「これで失礼します」と言って自分の寝室に戻りました。それは、私がAさんを見た最後でした。
中秋節(旧暦8月15日)の翌日、Aさんは眠りの中で安らかに他界しました。
Aさんの経歴を私はずっと忘れられません。人が何の前触れもなく精神異常になり、また前触れもなく突然に自然に治るのは一体どういうことなのかを理解しようとして、大学時代に何度も図書館に行って調べたのですが、答えが見つかりませんでした。法輪功の創始者・李洪志先生が書かれた『轉法輪』を拝読して、「走火入魔」の節を読んだ時、やっと心の中の謎が解けました。
「走火入魔」によると、Aさんは「真瘋」の一例かもしれないと思います。Aさんの経歴は、地元では怪談として伝えられていましたが、当時は情報発信が遅れていて、メディアに取り上げられることもなく、その伝説を聞いても信じる人が少ないかもしれません。そのような人を自分の目で見ることができ、法輪大法の中で謎の答えを見つけることができて、私は本当にとても幸運です。もちろん、佛法は人を済度するためのものです。常人の疑問に答えるためのものではありませんが、万事万物は佛法の中から答えを見つけることができます。これこそ、佛法の奥深さと偉大さの現れなのです。