豪州上院 生体臓器収奪禁止に関連する「移民法修正案」可決
■ 印刷版
 

 【明慧日本2024年8月28日】(オーストラリア=明慧記者)オーストラリア上院は8月21日、不正な臓器取引と生体臓器収奪の罪悪を抑制することを目的とした「移民法修正案(海外臓器移植開示等措置)法案2023」を可決した。

'图1:澳洲参议院通过了一项旨在遏制国际器官贩卖和活摘相关的新法案。图为位于堪培拉澳洲国会大厦'

オーストラリア国会議事堂

 この法案は2023年6月、ディーン・スミス上院議員により上院に提出され、同年11月、修正案は外交・国防・通商法制委員会で審議された。 2024年3月22日、上院は修正案に関する公聴会を開いた。 

 8月15日(木曜日)と8月21日(水曜日)の午前、2回の討論を経て、8月21日、法案は自由党、国民党、緑党、無所属議員の支持を得て可決された。

 この法案が上院で可決されたのは、中国共産党(以下、中共)による生体臓器収奪の生存者として知られる学習者・程佩明さんのエピソードが、イギリス、アメリカ、オーストラリアの主要メディアによって大きく報道された時期と重なる。 先月、程さんはワシントンD.C.を訪れ、中共による生体臓器収奪の体験を公に語り、国際社会に衝撃を与え、広範な関心を引き起こしている。

 スミス上院議員「生体臓器収奪に打撃を与えるため、オーストラリアは最も重要な一歩を踏み出している」

 修正案は1958年移民法を改正し、その目的は、オーストラリア議会の外務・防衛・通商合同常任委員会の人権小委員会が2011年に発表した報告書「商取引ではなく、善の心を選択する」の中で述べられた不正な臓器取引と生体臓器収奪に対するいくつかの提案である。

 修正案では、オーストラリアに入国するすべての人に、過去5年以内に海外で臓器移植を受けたかどうかを旅客入国申告カードに記入する際に申告することを義務づけ、もしその答えが「はい」であれば、臓器移植を受けた人は、移植を受けた医療機関名、移植を受けた都市と国を開示することが義務づけられる。 このデータは収集され、国会への年次報告書にまとめられる。

'图2:二零二四年八月二十一日,西澳自由党联邦参议员迪恩·史密斯(Senator Dean Smith)在参议院举行的修正案二读辩论会上发言。(澳洲参议院网站视频截图)'

8月21日、上院での修正案討論で発言するディーン・スミス上院議員 (写真はオーストラリア上院ウェブサイトのビデオからのスクリーンショット)

 スミス上院議員の事務所が8月21日、メディアで発表したコメントには、次のように書かれている。「この情報は、人権団体、医療機関、オーストラリア政府にとって、海外での臓器移植の傾向を分析し、海外での不正な臓器取引や生体臓器収奪の既存の証拠を裏付けるのに役に立ちます」

 「同時に、これにより、器官移植ツーリズムに対する微妙さやリスクへの認識が高まり、海外での移植手術を受けることが不道徳または安全でない臓器に関わる可能性があるため、オーストラリアの公民や住民がその選択を慎重に考えるよう促すことになります」

 コメントでは、この法案は党派を超えて上院議員の支持を得てスムーズに可決され、賛否が分かれる(分裂)には至らなかったことを明らかにしている。

 スミス上院議員は「これは数10年ぶりにオーストラリアで拡大する不正かつ不道徳な強制臓器摘出や臓器取引に打撃を与える上で踏み出した最も重要な一歩です」

 「この遅れたものの重要な第一歩は、オーストラリア政府がこれらのひどく憎悪する行為に対して、強化された対応を行う上で非常に重要です」、「この簡単かつ適度な措置は、この複雑で秘密裏に行われている国際的な犯罪の全貌を明らかにする上で、大きな影響を与えるでしょう」と述べた。

 この法案はオーストラリア下院に提出される。

 オーストラリア法輪大法学会会長「オーストラリア議会が中共による臓器収奪の犯罪に注目しており、修正案が重要な意味を持つ」

 オーストラリア法輪大法学会の会長ルーシー・ジャオ博士は、上院で可決された修正案を歓迎した。8月21日、同会長はメディアに対し、この修正案の可決は非常に重要であり、オーストラリア議会が生体臓器収奪を阻止するための立法措置を10数年ぶりに講じたことを示していると述べた。

 同会長は「法案の審議過程を通じて、臓器収奪の問題が再び取り上げられ、中でも中共による法輪功を含めその他の良心の囚人に対する迫害の犯罪が再び国会の議題になり、注目されています」

 「これまでに世界の複数の国が関連法案を可決しており、オーストラリア政府がさらに法案を推進し、英国やカナダなどの同盟国のように、不正な臓器移植に対する制裁法案を導入することを期待しています」と述べた。

 議案討論の段階で超党派議員が修正案を支持

 8月15日と21日、上院での法案に関する2回の議案討論で、多くの上院議員が政府に対し、同盟国にならって修正案を可決するよう求めた。

 8月15日、スミス上院議員は、カナダ、英国をはじめとする多くの国の議会がすでに関連法や政策を制定し、行動を起こしている一方で、オーストラリアには現在、実質的な行動が欠けており、この修正案はまさにそのギャップを埋めるものであり、世界中の人権保護を強化するというオーストラリアの使命と承諾を前進させるものである、と述べた。

 スミス上院議員は、修正案提案の背景を振り返った。「長い間、人々はこのような犯罪が世の中で起こり得るとは信じていませんでした。 その懐疑も今では薄れ、より多くの人がこのような犯罪の規模の大きさを意識し、衝撃を受け、圧倒されています」

'图3:二零二四年八月十五日,参议员克莱尔·钱德勒(Senator Claire Chandler)在参议院举行的修正案二读辩论会上发言。(澳洲参议院网站视频截图)'上院での修正案討論で発言するクレア・チャンドラー上院議員。(写真はオーストラリア上院ウェブサイト上のビデオからのスクリーンショット)

 8月15日、自由党のクレア・チャンドラー上院議員は「証拠は明らかになっていますが、生体臓器収奪という凶悪犯罪がますます猖獗を極めています。私は皆さんに、臓器の摘出および売買が最も恐ろしい、そして最も不安を引き起こす人権侵害行為の一つであることを、注意喚起する必要があると考えています」と述べた。

 同議員は、2008年の世界保健機関(WHO)のデータを引用し、世界の臓器移植手術の約5%が違法に行われていると述べ、ウイグル人や法輪功のメンバーが違法な臓器移植の被害者となっていることに言及した。

 「この驚くべき割合は、違法な臓器取引の深刻さを物語っています。違法な臓器移植は、重大な犯罪行為であるだけでなく、世界中の人権に対する重大な侵害です。我々は、あらゆる手段を尽くして、このような非道徳的な行為を根絶すべきです」と述べた。

'图4:二零二四年八月二十一日,绿党参议员大卫·舒布里奇(Senator David Shoebridge)在参议院发言,支持通过新法案。(澳洲参议院网站视频截图)'

8月21日、上院で修正案の可決に賛成の意思を表明する緑の党のデイビッド・ショブリッジ上院議員 (写真はオーストラリア上院ウェブサイト上のビデオからのスクリーンショット)

 8月21日、緑の党のデイビッド・ショブリッジ上院議員は、修正案の可決を支持し、オーストラリアが国際社会の努力と歩調を合わせるための立法措置であると述べた。同議員は上院での演説で次のように述べている。「この法案は、私たちが良き世界の公民になるための一歩前進です」、「これはグローバルな取り組みであり、オーストラリアが取るべき行動だと考えています」

 「沈黙してはならない」

'图5:二零二四年八月十五日,参议员保罗·斯卡尔(Senator Paul Scarr)在参议院举行的修正案二读辩论会上发言。(澳洲参议院网站视频截图)'

8月15日、上院での修正案討論で発言するポール・スカー上院議員(写真はオーストラリア上院ウェブサイト上のビデオからのスクリーンショット)

 自由党のポール・スカー上院議員は発言の中で、2021年6月に国連人権専門家が発表した報告書を引用した。その報告書では、中国で拘束されている法輪功学習者、ウイグル人、チベット人、イスラム教徒、そしてキリスト教徒が、同意なしに強制的な血液検査や臓器検査を受け、その情報が生体臓器供給データベースに登録される可能性があると述べている。

 「私は、イギリスが「臓器提供に関する法律」を改正し、カナダも「カナダ刑法」の改正に向けた措置を講じたことに注目しています。したがって、我々も国際的な協力パートナーと歩調を合わせる必要があります」

 「オーストラリアは自国の責任を果たす必要があります。これらの問題を提起することは、私たちの道徳的義務です。私たちは沈黙を守ることはできません」とスカー上院議員は述べた。

'图6:二零二四年八月十五日,参议员罗斯·卡德尔(Senator Ross Cadell)在参议院举行的修正案二读辩论会上发言。(澳洲参议院网站视频截图)'

8月15日、上院での修正案討論で発言するロス・カデル上院議員。(写真はオーストラリア上院ウェブサイト上のビデオからのスクリーンショット)

 修正案を支持する国家党のロス・カデル上院議員は「法案がすべての入境旅客が完全に入境カードを記入することを保証できないかもしれない。しかし、たとえ一部の人だけが正確に記入しても、将来的に価値のある情報データーを構築し、オーストラリアが潜在的な違法臓器取引行為を特定するのに役立つだろう」と述べている。

 同議員はまた「もし私が初めて海外に行き、そこで臓器提供を受け、その手続きが不適切だった場合、オーストラリアに帰国しても私は国内の法律に違反していないことになります。しかし、世界のどこかで、今日も誰かが臓器取引のために強制されたり、脅迫されたり、あるいは金銭を支払ったりしています。これが私たちが直面している現実です。この状況を見過ごすわけにはいけません」

 「オーストラリアの納税者にとって、そのコストはごくわずかで、新しいカードと少しのデータ処理が必要なだけです。しかし、世界で最も無力な人々にとって、その潜在的なメリットは非常に大きいのです」と述べた。

'图7:二零二四年八月十五日,参议员詹姆斯·麦克格拉斯(Senator the Hon James McGrath)在参议院举行的修正案二读辩论会上发言。(澳洲参议院网站视频截图)'

8月15日、上院での修正案討論で発言するジェームズ・マクグラス上院議員 (写真はオーストラリア上院ウェブサイトのビデオより)

 元内閣大臣で自由党のジェームズ・マクグラス上院議員は、発言の中で、傍聴席でこの法案に関する討論を聴いていた法輪功学習者に特に感謝の意を表した。同議員は「この法案討論を見守り、傍聴している皆さんに感謝したいと思います」と述べた。

 同議員はまた、2021年に国連が発表した報告書に言及した。その報告書は、国連が臓器摘出が行われているという確固たる証拠があるとしている。同議員は次のように述べた。「このような行為は到底受け入れられず、ここにいる全員が怒りを覚えるべきです。議会内にいる者、傍聴席にいる者、あるいはこの建物内のテレビシステムを通じてこの討論を見ている者、すべての人が、このような国家による強制的な臓器取引に対して憤りを感じるべきです。これこそが、この法案が提出された時期がいかに重要であるかを示す理由なのです」

 マクグラス上院議員は最後に次のように述べた。「この法案は、私たちがもっと多くのことをできるようにするものであり、私たちはもっと多くのことをすべきです。法輪功、ウイグル人、チベット人、キリスト教徒、イスラム教徒、あるいは中国共産党の支配下で拘束される可能性のある中国人など、誰もが商品として搾取されるべきではありません。それはまるで野菜を収穫するかのようです。私たちが議論しているのは人々の運命なのです」

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2024/8/23/481126.html)
 
関連文章