神とのつながりを再構築する
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 ノートルダム大聖堂の再開に寄せて

文/ 明志(アメリカ)

 【明慧日本2025年1月21日】世界文化遺産として有名であり、パリの象徴、フランスの誇りでもある、800年以上の歴史を持つノートルダム大聖堂が、2024年12月7日(土曜日)にリニューアルオープンしました。その際、2019年4月15日の火災後、この古い教会の再生を祝う数日間のイベントも開催されました。

 800年以上の間、この古いゴシック様式の教会は、ヨーロッパのキリスト教文明を象徴し、人々の神への憧れと正しい信仰を担い、人類の歴史を背負ってきました。800年以上の歳月の中で、パリはフランス革命やパリ・コミューンの蜂起、第二次世界大戦を経験しました。そのたびに困難を乗り越え、まるで神に守られているかのように生き残ってきました。しかし、現在の平和な時代に起きた1度の火災が、この古い教会をほとんど飲み込むところでした。では、ノートルダム大聖堂はなぜ第二次世界大戦の無慈悲な砲撃や空爆の中で無傷で生き延びることができたのでしょうか?

 一、第二次世界大戦中の危機と奇跡

 ノートルダム大聖堂が再生を果たし、世界中が注目するこの歴史的な瞬間に、第二次世界大戦中のノートルダム大聖堂が危機を免れた歴史を振り返ってみましょう。

(1)民族的英雄ペタン元帥が、停戦協定を締結し、パリを戦火から救う

 フランス陸軍元帥で軍事家のアンリ・フィリップ・ペタン(Henri Philippe Pétain)は、1856年にフランス北部でカトリックの農民の子として生まれました。彼は後に第一次世界大戦中にフランス軍の総司令官を務め、フランス軍を率いてドイツ帝国と戦いました。戦争では、攻撃至上主義を取らず、大量の火砲による制圧を提唱し、コストの少ない攻勢を繰り返して敵軍の戦力を消耗させる戦略を採用しました。また、前線に足を運んで兵士たちの意見に耳を傾け、軍の福利厚生の改善に努めました。特にヴェルダンの戦いでの活躍は「ヴェルダンの救世主」や「フランスの英雄」と称される由来となりました。

 第二次世界大戦では、1940年5月13日にナチス・ドイツが電撃戦を展開し、フランスやベルギー、オランダを次々と破りました。この国難の中、ペタンはフランス首相に選ばれました。フランス国民は英雄である彼が再び立ち上がり、フランスを滅亡から救うことを期待していました。しかし、意外にもペタン元帥は就任直後にドイツとの和平交渉を開始し、1940年6月22日に停戦協定を締結しました。これにより、文化と芸術が息づく名城パリは戦火の被害を免れることができました。

 この行動により、ペタン元帥はフランスをさらなる血なまぐさい戦争から救った英雄と称える人々もいました。しかし、1945年の第二次世界大戦終結後、ペタン元帥はフランスで反逆罪に問われ、死刑を宣告されました。囚人となった彼はなお多くの人々に愛されていました。その後、ド・ゴール将軍がその判決を無期懲役に変更しました。ド・ゴールはかつての師であり友であったペタンについて「1925年に死んだ、この最高司令官は偉大な人物だった」と語っています。

(2)「都市破壊者」ショルティッツ上将「連合軍に降伏し、パリの破壊を放棄」

 偶然にも、第二次世界大戦終結直前のナチス・ドイツによるパリ撤退もまた劇的な出来事でした。

 1944年8月、ヒトラーは敗北を予見し、命令を厳格に実行することで知られる「都市破壊者」の異名を持つディートリヒ・フォン・ショルティッツ(Dietrich von Choltitz)上将をパリに派遣しました。彼に命じられたのは、パリを死守するか、破壊することでした。その結果、パリ中に爆薬が積み上げられ、潜水艦の魚雷さえもセーヌ川の橋に配置されました。しかし、ショルティッツ上将は最終的に連合軍への降伏を決断し、ヒトラーのパリ破壊命令を実行しませんでした。こうして、パリは無傷のまま連合軍に引き渡され、再び危機を逃れました。

 一方で、第一次世界大戦中にいかなる犠牲を払ってでもフランス領土を守ろうとした英雄が、なぜ第二次世界大戦では戦わずして降伏したのでしょうか?

 また、数々のヨーロッパの古都を破壊してきた冷酷な将軍が、なぜパリを手放したのでしょうか? 一声の命令でパリは一瞬にして瓦礫の山になるはずでしたが、将軍の思いがけない心の変化により、パリは一切の損傷を受けずに済みました。この劇的な展開には、どのような理由があったのでしょうか?

 二、神が人に残そうとしているものとは?

 信仰を持つ人々は皆、世の中のすべてが神の支配下にあることを知っています。法輪功の創始者である李洪志師父は『音楽と美術創作会での説法』の中でこう語られています。「フランスは直接第二次世界大戦に参加しませんでしたが、神の目的はフランスにある今回の人類文明のわずかしか残っていない芸術品を保存しようと考えています。それら芸術品は人類が今回の文明の中で作った最も輝かしく、最も誇りを持つべき人類の本当の最も正統かつ完璧な芸術です。戦争が起きたら、ルーブルとベルサイユ宮殿に保存されている芸術品は完全に壊滅されてしまい、パリの街頭にある芸術もなくなります。神は人間にこれらのものを残そうとしており、その目的は人類が将来人間自身の芸術を再び手に入れることができる参照を残し、大法弟子もこれらの正統な芸術の基本的な技能によって再び戻ってこられるようにするためです」

 では、なぜ神は人に正統な芸術を残そうとするのでしょうか? それは芸術は神から人間に伝えられたものであり、その目的について李洪志師父は同じ講法の中で次のように明言されています。「人類の本当の芸術は最初神の殿堂に現れたのです。神が人間にこの種の文化を伝えたもう一つの目的は人間に神の偉大さを見せ、善悪応報を信じさせ、つまり悪事をした人に悪報、良い人に福報があり、修煉する人が天国に昇っていくということを信じさせるためです。西洋の芸術は最初皆教会堂に現れたのです。東洋の早期の彫像はほぼ神の彫像でした。中国で伝えられてきた最も古く最も早期の絵画も神を描いたのです」。(『音楽と美術創作会での説法』)

 つまり、神は人を守り、正統な芸術を残し、パリやノートルダム大聖堂を保全し、人々が神への正しい信仰を守れるようにして、最終的には神のもとへ帰る道を残してくださっているのです。神は戦火の中でパリを守ることもできますし、平和な時代において大火を通じて一つの大聖堂を焼き尽くすこともできます。その火災の原因がエレベーターの配線のショートや修理工のタバコの火であったとしても、偶然に見える出来事もすべては必然であり、その背後には業力が作用しているのです。

 三、神は善良な人しか救えない

 今日のノートルダム大聖堂には、キリスト教の聖遺物や無数の芸術品が収蔵されていますが、今では有名な観光地となっています。訪れる観光客の中に、イエスの受難の聖遺物を心から敬虔な気持ちで拝みに行く人がどれほどいるでしょうか? 神性に満ちた壁画を崇拝の念で鑑賞する人がどれほどいるでしょうか? 神の足跡や天国の記憶を心の奥深くに探しに行く人がどれほどいるでしょうか? そして、教会の火災を現代人の道徳観念や行動と結びつけて考える人がどれほどいるでしょうか?

 メディアの報道を見てみると、巨額の資金を投じて再建されたことや、毎年数千万人の観光客を引き寄せることばかりが語られています。再建や公開は、商業活動やセレブの集まりのように扱われています。神聖な教会が観光スポットや収益源とされ、訪れる人々の心から神への敬意が失われたとき、人々は神を冒涜する行動を取り、業力を作り、神殿を汚すことになるのではないでしょうか?

 ゴシック建築の天にそびえる尖塔(せんとう:頂上がとがって高く突き出た建物)は、神への敬意と天国への憧れを象徴し、人と神をつなぐものでした。火災で焼け落ちた建物は巨額の資金で修復できますが、人々の心にある神とのつながりはどうすれば再び築けるのでしょうか?

 四、神とのつながりを再構築する

 現代の人々が名声や利益を追い求め、物欲に溺れ、高度な科学技術がもたらす奇妙で不思議な現代生活に夢中になり、変異したいわゆる「覚醒」運動の中で快楽にふける中、私たちは一曲の優雅な音楽がゆっくりと奏でられるのを聞きます。そして、幕が静かに開かれ、舞台の上に天国の神聖で美しい情景が突然現れます。世界中の舞台で、ある芸術団が神の呼びかけを伝えているのを見るのです。「神韻芸術団」の公演が人類を超越した神性を伝えていると、多くの人々が口にしています。

 一例を挙げると、アレクサンドル・ブラン(Alexandre Blin)はフランスの若手俳優で、世界各地で公演を行い、フランスのテレビ局TF1やFrance 2のドラマにも出演した経験があります。2024年3月2日の午後、彼はパリで神韻新紀元芸術団の公演を鑑賞した後、次のように語りました。「この公演は伝統について語っています。現代社会では、人々の間の深い繋がりが明らかに失われてしまいました。この公演から私が学んだのは、他者をもっと大切にし、周りの人々への愛と善意をもっと重視することです。このままの生活を続ければ、私たちは行き詰まり、未来は暗黒に包まれるでしょう。だからこそ、愛や共有のメッセージに立ち返り、もっと信仰を持つべきだと思います。宗教や神、天国への信仰であれ、自分より偉大な存在を信じること――それが人間かもしれませんが――人類を信じ、人類をより良くするために尽力するべきです」

 火災で破壊された教会は再建されましたが、人と神のつながりは修復されたのでしょうか? 創世主は、この混乱した末世において、心に善良さを持つ人々に呼びかけています。あなたは、その声を聞いていますか?

 
翻訳原文(中国語):https://www.minghui.org/mh/articles/2024/12/7/485859.html