賢い石工
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文/甘露  

 【明慧日本2025年1月27日】崇寧元年(1102年)、蔡京は宋の徽宗皇帝によって宰相に任命され、職に就いてまもなく、王朝と地方を驚かせる一大事、「党籍碑」の発布と刻印を行いました。彼は司馬光や文彦博をはじめとする109人の「奸党」の名前と「罪状」を宋徽宗に報告した後、徽宗は詔を下し、奸党らの名前を石碑に刻み、文徳殿の端礼門の東壁に立たせました。

 その後、「奸党」のリストにはさらに多くの人物が加わり、崇寧四年(1105年)、蔡京はその全てを一つのリストとしてまとめ、合計309人になりました。中には、元祐年間に政権に関わった旧党の人物である司馬光、蘇軾、蘇轍、黄庭堅などがいて、蔡京に私怨を持つ章惇、陸佃、李清臣などの新党の人物もいました。蔡京は自ら碑文を書き上げ、全国の各州県の役所にこの石碑を複製させ、天下に知らせるよう命じました。これが歴史上有名な「元祐党籍碑」です。

 蔡京はなぜこのようなことをしたのでしょうか? 三つの理由がありました。一つは復讐です。旧党のせいで、彼はずっと出世できずにいました。二つ目は、司馬光や蘇軾などの名声を妬んでいたことです。三つ目は、反対派を排除し、権威を確立するためでした。しかし、多くの人が理解できないのは、宋代の造紙や印刷の技術が非常に発達していたにもかかわらず、なぜ蔡京はわざわざ刻碑という方法を選んだのでしょうか? 彼は「敵」を永遠に辱めるつもりだったのでしょうか? 実にむごくて余地を残さない行為でした!

 宋徽宗と蔡京の行動は、当時の多くの良識ある人々から反発を招きました。

 九江で、李仲寧という石工が九江の太守に呼ばれ、石碑を刻むよう命じられました。刻まれる「奸党」の名前を聞くと、彼は即座に断り、こう言いました。「私は子供の頃、家がとても貧しく、家族を養うために石刻の技術を学びました。普段私が受け持つ大きな仕事と言えば、大概蘇軾や黄庭堅などの詩を刻むことでした。彼らに会ったことはありませんが、私は恩恵を受けていると思っています。彼らの名前を刻んでしまえば、恩を仇で返すことになるのではありませんか?」

 太守は李仲寧の言葉に感動し、「多くの朝廷の大臣たちも、あなたには及びません!」と、彼を褒め称えました。

 歴史は公正です。誰が忠義を尽くしており、誰が裏切り者なのかは、自らの良心によって決まるもので、権力者が決めるものではありません! 宋徽宗は歴史上有名な昏君(愚かな君主)であり、蔡京は秦桧と並ぶ奸臣だと後世に認識されています。一方、蔡京が弾圧した司馬光、蘇軾、蘇轍、黄庭堅などは、後世の人々に尊敬されているのです。李仲寧はただの石工でありながら、圧力に屈せず、人間として最も基本的な良し悪しを見分ける本性を守ったことは、実に素晴らしいことです!

 この類のことは、今も起きているのです。1999年、中共は法輪功に対する残酷な迫害を開始し、各大手メディアによる法輪功への誹謗中傷の情報で溢れかえりました。その中でも最も有名なデマは、江沢民の指示で中央テレビが自作自演した「天安門焼身自殺」という偽の事件です。

 江沢民が予想もしなかったのは、多くの人々が「焼身自殺」を信じなかったことです。理由はさまざまです。

 —、日々の経験から「焼身自殺」の抜け穴を見抜く人がいました。たとえば、「焼身自殺」の現場にいた警官らは、短期間でどうやってあれほど多くの消火器を手にすることができたのでしょうか? 日々消火器を背負ってパトロールしていたのでしょうか? 理に叶わないことが起きれば、きっと裏があります。

 二、医学の観点から「焼身自殺」の手落ちに気づく人がいました。「焦点訪談」で報じられたところによると、「焼身自殺」したとされる少女・劉思影は、気管切開手術を受けた4日後に、記者とのインタビューで力強く歌を歌っていました。この時点では気流は声帯を動かしておらず、彼女の歌唱は明らかに医学的常識に反していました。

 三、法輪功について一定の理解がある人々は、法輪功は殺生を禁じており、自殺や焼身自殺などの行為は決して大法弟子が行うことではないことを知っていました。

 四、中共の歴史について深い理解があり、中共はその誕生以来、常に殺戮と嘘を繰り返しており、今回の法輪功に対する迫害も例外ではないと考える人がいました。

 五、事実から「焼身自殺」に偽りがあることを見抜く人がいました。江沢民、周永康、薄熙来、李東生など、法輪功を迫害してきた人物たちは道徳的に堕落しており、汚職や淫乱行為をし尽していますが、周りにいる大法弟子は道徳的に高潔で、正気があふれる人ばかりです。「焼身自殺」はきっと、卑しい人が君子を害する策略に違いありません。

 六、比較によって見抜く人もいました。中共は「偽り・悪・闘争」を推進し、法輪功は「真・善・忍」を信仰しています。どちらが正しく、どちらが邪悪なのかは、一目瞭然でしょう。

 誰もが心の中に物差しを持っています。中共が狂ったように法輪功を迫害していたとき、多くの中国人が依然として冷静な頭脳を保っており、中共の嘘を見抜きました。これらの正義感あふれる人々の知恵は、李仲寧という賢い石工に匹敵するものでしょう!

 
翻訳原文(中国語):https://www.minghui.org/mh/articles/2025/1/8/488024.html
 
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