『孫子の兵法』と『裸の共産主義者』から、共産主義のアメリカ侵入を見極める
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文/新以安

 【明慧日本2021年1月29日】共産主義と自由世界の大戦は、マルクス時代からすでに始まり、170年余りの間、止まることなく計画的に進行しており、少数の人による個人的な、即興的な行為ではない。彼らの中では、全世界を統治するための戦略を具体的に立て、米国を転覆させる計画も完備しており、善良な人々は、今日になってもこれほど陰険なことを行っていることに驚愕するだろう。

 1、計画は勝利の始まり

 戦術といえば、中国人は『孫子の兵法』という有名な兵書、およびその中に綴られた「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という名言をよく知っている。『孫子の兵法』の冒頭の第一篇は『始計』とあるように、計画の重要性が伺える。

 『始計』の最初は以下のように述べている。「孫子はいう、戦争とは国家の大事である。人々の生死がきまる場所で、国家の存亡にかかわる分かれ道であるから、よくよく熟考せねばならぬ」。つまり、事を成すにはよほどの準備がなければならない。まして戦争は国家の一大事であり、周到な思慮と考察の限りを尽くさなければならないということ である。『始計』の最後に「開戦前に目算で勝つということは、その勝ち目の多いことである。目算して勝てないということは、勝ち目が少ないということである。周到に計画を立て綿密に戦略を練れば勝ち目が多くなり、さもなければ勝ち目が少ない。勝てない戦いはしない。これにより私は勝敗をはっきり知ることができる」と述べている。

 2021年1月20日、米国の伝統派は大統領の座を極左派に引き渡すことを余儀なくされた。誠実で善良な国民は、苦悶すると同時に極左派の恥知らずな行為に驚き、極左派の汚い手段を批判し、4年後に通常の民主選挙を通じて事態を収束することを期待している。しかし、そのように期待する国民は甘すぎるのではないか。敵陣の邪悪さについて認識が足りないのではないか。善良な人はいつも邪悪がどれほど邪悪なのかを想像できないが、ソビエトと中国の共産主義を経験した人なら、私の言っていることが分かるだろう。

 正と邪の戦いはただものではなく、己を知って敵を知り、綿密に計画し、それから計画を実行し、勝利を得なければならない。そのために善良な人々は、不足を反省し、教訓を学び、敵を軽視してはならない。今回の大統領選を通じて皆が神の啓示を受け、教訓を学び、知恵を増やせることを私は願っている。

 2、共産主義の転覆計画表

 共産主義はアメリカを制圧することで全世界を支配しようとしている。目的を達成させるために、彼らは自分の暴力かつ卑劣な手段をさらけ出すことも恐れない。たとえ民衆にその手段を見抜かれても彼らは恐れていない。法廷、国会、銀行、学校、企業も彼らに握られているため、民衆の生計と衣食住は彼らに握られている。

 クレオン・スクーセン氏は著書の『裸の共産主義者』に「共産主義は人に『自分の利益を優先させることは悪くない』と教えている。その教えは最も駄目なものだ。その教えを真に受けた人は良識を失くし、名誉も惜しまなくなる。彼らにとって暴力、ペテン、裏切りなど、すべてが合理的になるのだ」と語った。

 『裸の共産主義者』は1958年にアメリカで出版された本で、作者のスクーセン氏は16年間にわたりFBI在職、4年に及ぶ警察署長、10年に及ぶ警察雑誌編集長、17年に及ぶ大学教授といった経歴をもつ米国人文筆家、政治評論家で、専門分野は自由原則、アメリカ憲法、経済学、古代史などにおよぶ。

 1963年1月10日、フロリダ州のアルバート・ホーロン下院議員は国会での演説にその本に収録された共産主義の45の目標を読み上げ、共産主義の潜在的脅威への警戒を呼びかけた。しかし不幸なことに、安楽な生活の中で、生まれつきの自由の中で、善良で楽観的な米国民は共産主義者の虎視眈々とした綿密な計画を次第に忘れてしまった。『裸の共産主義者』が出版されてから63年経った今、現実と照らし合わせながら、米国で共産主義の目標がどれぐらい現実のものとなり、2021年の米大統領選の後の権力移譲にどれぐらい影響を与えているのかを考えてみよう。

 1958年当時、共産主義者がアメリカを転覆するための目標。( )内は達成されたかどうかの結果、※は明慧編集部のコメント。

 1、中国を核戦争の唯一の共存の首領として、米国に容認させる。(×)

 2、合衆国に核戦争を戦うよりもむしろ喜んで降伏の意思を示させる。(×)

 3、完全軍縮が道徳的強さの証になるという幻想を合衆国に抱かせる。(〇)

 4、共産主義に加入しているか、戦争に利用可能な製品かどうかに関係なく、全ての国家間での自由貿易を認めさせる。(〇)

 5、ロシアとその衛星国への長期貸付を拡大させる。(不明)

 6、共産主義の支配下になっているかに否かに関係なく、アメリカの援助をあらゆる国に提供させる。(〇)

 7、共産中国を国家として承認させる、共産中国の国連加盟を承認させる。(〇)

 8、国連の監督下でドイツの自由選挙問題を解決するため、ドイツを東ドイツと西ドイツに分裂させる。(〇)

 9、原子爆弾実験禁止会議を長引かせる(合衆国が交渉の進展中は実験を中断すると合意したため)。(〇)

 10、全てのソ連傘下の衛星国の国連代表を認める。(不明)

 11、国連が人類の唯一の希望として振興する。憲章が書き直せるなら、世界で一つの世界政府としてその独立した軍備を持つことを要求する。(〇)

 12、共産主義非合法化の全ての試み(動き)に抵抗せよ。(〇)

 13、忠誠の宣誓を無くしてしまうこと。(〇)

 14、ロシアに合衆国特許局への利用権を与え続けること。(不明)

 15、合衆国の政治政党をどちらか一方、或いはどちらも取り込め。(〇)

 16、裁判所の法解釈の決定を利用し、アメリカ人の活動が公民権に違反すると主張して基本的なアメリカの慣習(制度)を弱体化せよ。(〇)

 17、学校の支配を獲得せよ。学校を社会主義と現今の共産主義宣伝工作のための伝導ベルトとして使え。科目を甘くせよ。教師の会の支配を獲得せよ。党の路線を教科書に載せよ。(〇)

 18、全ての学生新聞の支配を獲得せよ。(〇)

 19、共産党の攻撃を受けて抗議行動を取る機関に対して、学生暴動を扇動して対抗させよ。(〇)

 20、報道機関に潜入せよ。書評、社説、社の方針立案の職の支配を獲得せよ。(〇)

 21、ラジオ、テレビ、映画の要職の支配を獲得せよ。(〇)

 22、あらゆる芸術的表現形式の品位を落とすことにより、アメリカ文化を引き続き貶めよ。アメリカ共産党の支部は「全ての良い彫刻像を公園や建物から撤去し、形の無い、無様な意味のないオブジェに置き換えよ」と指令した。(〇)

 23、芸術の批評家と美術館の指導者を支配せよ。「我々の計画は、醜悪なもの、見苦しいもの、意味のないものを奨励することだ」という。(〇)

 24、「検閲」である、言論・表現・報道の自由の侵害だと主張して、淫らなものを規制するすべての法律を撤廃せよ。(〇)

 25、本、雑誌、映画、ラジオ・テレビ番組でポルノと淫らなものを奨励することで道徳の文化基準を破壊せよ。(〇)

 26、同性愛、堕落(性的倒錯)、乱交を「正常・自然・健康的」として提示せよ。(〇)

 27、教会に潜入し、啓示宗教と教会を「社交」宗教に置き換えよ。聖書の信用を落とし、「宗教的支え」が不要な知的成熟の必要性を強調せよ。(〇)

 28、「政教分離」の原則に反するという理由で、学校でお祈りやあらゆる宗教的な表現を禁止せよ。(〇)

 29、不充分、時代遅れ、現代的必要と歩調が合わない、汎世界的な国家間協力の障碍になるとして、アメリカの憲法の信用を貶めよ。(〇)

 30、アメリカ建国の父たちの信用を落とせ。彼らを利己主義な貴族で「普通の人」のことなど考えなかった、と描写して紹介せよ。(〇)

 31、アメリカ文化のあらゆる形式を貶めて、「大きな絵」からすれば、とても小さな部分であるという理由でアメリカ史の授業を受けさせないようにせよ。共産主義者が支配してからのロシアの歴史をより重視させよ。(〇)

 32、あらゆる社会主義運動も支援し、教育、社会機関、福祉計画、心理カウンセラーなど文化のあらゆる部分をコントロールせよ。(〇)

 33、共産主義の運営を妨害するすべての法律と法律手続きを撤廃せよ。(〇)

 34、米下院の非米活動に関する委員会(HUAC)を解散せよ。

 HUAC(下院非米活動委員会)は合衆国における破壊活動を追跡するために1938年に設置され、1969年に「国内安全保障の下院委員会」に名称を変更した。不正行為や転覆活動が疑われる市民、公務員、およびファシズムや共産主義との関連が疑われる組織を調査することを目的とする。1975年に完全に廃止され、その役割を下院司法委員会に引き継いだ。(〇)

 35、FBIの信用を落とし、最後には取り壊せ。(〇)(※顕著な浸透効果)

 36、より多くの労働組合に潜入して支配を獲得せよ。(〇)

 37、大企業に侵入して支配を獲得せよ。(〇)(※グローバル化の利益で誘惑する)

 38、ある種の逮捕権を警察から社会機関に委譲させよ。全ての素行問題を精神科医しか理解し治療できない精神障害として扱え。(〇)(※やり方を変えて警察力を弱める)

 39、精神科医の専門職を支配し、精神衛生法を手段として共産主義に反対する者を強制的に統制せよ。(不明)

 40、社会構造としての家族の信用を落とせ。乱交と安易な離婚を推奨せよ。(〇)(※家庭の伝統的な概念を覆し、家庭の大切さを弱める)

 41、両親の悪い影響から子供を引き離して育てることの必要性を強調せよ。偏見、精神障害、知恵遅れなどを両親の影響に帰せよ。(〇)(※家庭を破壊するためにもっと多くの理由を作り出した)

 42、暴力や暴動はアメリカの伝統の中で合法的なものであるという印象を与えよ。つまり、学生や特別な利害集団は、蜂起して「連合した力」になって経済・政治・社会問題を解決する。(〇)(※BLM)

 43、原住民の自治統治の用意が整う前に植民地政府を転覆せよ。(不明)

 44、パナマ運河を国際化せよ。(不明)

 45、コナリー留保(コナリー修正)を無効にせよ。そして合衆国が国際裁判所の管轄権を自国の国内問題において回避できなくせよ。国家や個人を越えて国際裁判所の管轄権を認めさせよ。(不明)

 本の最後には、「間もなく、いつの日か、学校や図書館や、どこにおいても、真実を見つけることができなくなるだろう。印刷物の中に真実が消えてしまったからだ。よって、これらの本を集めたほうが良い」と、著者のスクーセン氏は言った。

 米ベストセラー作家で放送司会者、政治評論家のグレン・ベック氏は「いつの日か、この国の歴史は知識エリートや共産主義者に乗っ取られてしまうことを、スクーセン氏が1958年に本を出した時にすでに予測した。今すでにその日が来ている」と語った。

 2014年、著名な神経外科医師、トランプチームの一員であるベン・カーソン氏は、「この本を読むと、まるで去年に書かれたようだ」と述べた。

 共産主義者がアメリカを転覆させる計画を作り、実現するのは冷戦時代だけでなく、今日、特に2020の大統領選挙も一歩一歩計画されたものではなかったのか。

 皆さん、覚えているだろうか。バイデン氏は2020年11月3日の大統領選前にテレビで、自分たちはアメリカ史上「前例のない、最も完備している詐欺組織」を築いたと公表したことを。その後、バイデン氏本人は発言について否認や釈明をせず、マスコミは沈黙を続けた。全米において、その発言を追及し調査する記者は一人もいなくて、裁判所も関連訴訟を黙殺した。

 現在、アメリカで発生した様々な奇怪な現象と対照すれば、共産主義がアメリカを知らず知らずのうちに崩壊させる計画と進展を見極めることができるだろう。善と悪の基準は天によって定めたものだが、白と黒が公然と覆された今日に、米国ないし全世界は大きな変動を迎えようとしている。善良な人々よ、どのように良心と信仰を守るのか、どのように平和かつ幸せな生活を保つのかについて、準備をしただろうか。

 
(中国語:http://www.minghui.org/mh/articles/2021/1/22/418929.html)