あなたは本物を見分ける目を持っているか
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文/劉一淳

 【明慧日本2021年5月18日】 『仙伝拾遺』の記載によると、西胡の月支国の国王は中国の道家文化を慕い、13年をかけて長旅をし、馬に乗って砂漠を横断し、数々の難局を乗り越え、二つの宝物を手に入れました。一つは「蘇り香」、もう一つは妖怪や魔物を駆除できる猛獣です。

 漢の武帝の延和3年(紀元前90年)の春、武帝は安定(地名)に臨みました。月支国王は使者を派遣して二つの宝物を武帝に献上しました。武帝は「若返り香」は珍品ではないと考え、外の倉庫に預け、猛獣を上林苑(皇帝のために作られた大庭園)に送りました。上林苑の虎は猛獣を見ると、怖くて身動きが取れなくなりました。翌日、使者も猛獣も姿を消しました。

 紀元前86年になると、都に大疫病が蔓延し、人口の半分は亡くなりました。武帝が月支国から献上された「蘇り香」を焚いたら、死後3日を越えていない人はみな蘇りました。お香の香りは3カ月経っても消えませんでした。武帝はお香が希有な宝物だと信じ、残ったお香を箱にしまいました。ある日、箱を開けてみると、「蘇り香」はなんと姿を消していました。「蘇り香」は本当に神から授かった宝物だったと武帝は分かりました。

 身近にある一番尊いものを見逃す人もいれば、幸運にも道を悟る人もいます。

 特別なオークション

 昔、ある男性は衣食を節約して大好きな絵を購入し、多くの著名な画家の絵を所蔵していました。やがて国は戦争に巻き込まれ、彼の一人息子が軍隊に入りました。間もなく、息子が戦死した知らせを受け取りました。息子は安全地帯に撤退していたのですが、負傷した戦友を救出するため、また戦地に戻って、戦友を一人一人背負って安全地帯に移しました。最後の戦友を背負った時彼は被弾したのです。

 息子の死後初めてのクリスマスに、チャイムが鳴りました。父親がドアを開けてみると、来訪者は若い青年でした。青年は父親に「私は息子さんが自分の命と引き換えに背負って助けてもらった最後の傷兵です」と言い、「命の恩人の肖像画を描いたので、どうか受け取ってほしい」と目を赤くして言いました。

 父親は小包を開けて、暖炉前の名画を外し、息子の肖像画をかけました。涙いっぱいの父親は青年に「これは私の最も貴重なコレクションだ。私にとっては、この肖像画はこれまでのどの作品よりも価値がある」と言いました。

 1年後に父親は亡くなり、彼が所蔵していたすべての絵画はその年のクリスマスにオークションにかけられました。最初に出された作品は期待されていた著名な画家の作品ではなくて、彼の息子の肖像画でした。皆は競売人に早く名画を競売にかけるように催促しましたが、競売人は「まずこの肖像画を競売しなければ、先に進ませない」と言いました。

 するとある老人が立ち上がって「10ドルでいかが? 所持金はこれだけだ。この子を知っている。彼は戦友を守るために犠牲になったのだ」と言いました。

 競売人は、「けっこうだ」と言いました。「本題」へ入ることを期待される中、競売人は「皆様のご来場、ありがとうございました。本日の競売はこれで終了です」と言いました。在席の皆は驚きました、名画は1枚もオークションにかけられていないのに、どうして終了したのでしょうか。

 競売人は深刻な表情で「本日の全作品の所有者の遺言によると、彼の息子さんの肖像画を買った人がすべてのコレクションを所有することになる」と話しました。

 名画を落札するために今日の会場に来たコレクターたちは、老人が10ドルで購入した息子さんの肖像画こそ、全作品の中で最も高価な1枚だったということに、思いもよらなかったのです。

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2021/5/10/424337.html)
 
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