文／劉一淳
【明慧日本2021年11月12日】周王朝の初期の著名な賢人である周公（しゅうこう）の息子である伯禽（はくきん）は、敬礼をせずに父親に会いに行き、3回会った後に父親から3回殴られました。 その後、商子（しょうし）に相談して再び父親に会いに行ったとき、広間に入るとすぐにひざまずいて敬意を表しました。周公は喜んで、識者の助言を得た伯禽を称賛しました。
礼儀と社会
古代の人々にとって、なぜ礼儀が重要だったのでしょうか。
孔子はこう説きました。「礼の伝統は、祖先に天から与えられたものである。それは社会に秩序をもたらす天の法則を示している。失う者は未来を失い、保つ者は繁栄する」
「詩経」は、中国の古典的な詩集です。その中に次のような詩があります。
「ネズミを見れば、どんなネズミにも身体がある。ところが人間のくせに礼儀の無いやつがいる。人間のくせに礼儀の無いやつは、死んでしまえばいい」
実際、このパターンは歴史の中で観察されてきました。礼儀を重んじる社会は、往々にして平和な時代であり、他人に無礼な振る舞いをする社会は、往々にして衰退の道を辿ります。
知恵のある指導者
周公は、周の文王の四男として生まれました。彼は兄の武王が周王朝を建国するのを助けました。周礼や中国古典音楽を確立し、儒教の創始者の一人とされています。
また、周公は、武王の息子である甥の成王（せいおう）や、自分の息子である伯禽を教育するために、家訓を書き残しています。成王も伯禽も、後世の人々から尊敬されています。後漢の曹操も、周公が民衆を敬い、信頼を得ていたことを称賛しています。
周公は『成王への警告』の中で、国の運営から人の性格に至るまで、人生のあらゆる場面で徳を積むことの重要性を説いています。周公の著書には、次のような逸話が記されています。
成王が幼い頃、弟である叔虞（しゅくぐ）と一緒に木の下に立っていたときのこと。弟が木の下に立っていると、王は一枚の桐の葉を削って珪（けい）（諸侯に封じる時に、天子が授ける玉）を作り叔虞に与えると、「あなたに称号を与えます」と言いました。
周公は若い王に挨拶しました。「陛下があなたの弟に称号を与えられたことは素晴らしいことです」
「しかし、私は冗談を言っただけです」と、成王は答えました。
「王の言動には嘘があってはならず、冗談を言ってはならず、言われたことは必ず実行しなければならないです」と、周公は言いました。
成王は、弟に諸侯の称号を与えました。
周公が息子の伯禽（はくきん）のために書いた文章は、成王が伯禽に魯の国の統治権を与えた後に書かれたもので、魯は約500年後に孔子が生まれた地となります。伯禽が魯に行く前に、周公は「誡伯禽書」（周公が息子の伯禽に宛てた書いた家訓です）の中でこう書いています。
「あなたが魯のトップだからといって、傲慢になったり、軽蔑したりしないようにしてください。文王の息子であり、呉王の弟であり、成王の叔父であり、周の宰相である私の地位はすでに高かったのです。しかし、私は飄々とした態度が人材を犠牲にしたことを反省して、シャワー中に3回立ち止まったり、食事中に3回立ち止まったりしたこともありました」
「聞くところによると、徳と礼を兼ね備えた者は繁栄に恵まれ、土地が潤沢で勤勉な精神を持つ者は安泰であり、地位が高くても謙虚な者はその地位を保ち、人と強い軍隊に支えられた者は勝利し、知性があっても平凡に見える者は賢く、洞察力と知識があっても自分はほとんど知らないと思い込んでいる者は真の賢者なのです」
伯禽は父の忠告を胸に刻み、やがて魯の国に豊かで礼儀正しい社会を築きました。
（続く）
