【明慧日本2023年7月11日】(明慧記者編集)米国第9巡回区控訴裁判所は7月7日、中国共産党(以下、中共)による法輪功学習者(以下、学習者)の追跡と迫害を支援したとして、学習者が米ハイテク企業シスコシステムズ社(以下、シスコ)を相手取って起こした訴訟を進めることができるとの判決を下した。
中共は1999年7月20日に法輪功への迫害を開始した。学習者は2011年、シスコとその元幹部2人、CEOのジョン・チェンバースと中国副社長のフレディ・チェンに対して訴訟を起こした。訴訟では、シスコが中共に技術を提供し、学習者を特定・追跡するための大規模な監視ネットワークの構築を支援したとし、シスコの行為が原告らのその後の逮捕と拷問につながったと主張している。地方裁判所は2014年にこの訴訟を棄却した。
今週、第9巡回区控訴裁判所は、ほぼすべての理由において地方裁判所の判決を覆した上で、外国人不法行為法に基づき、シスコに対するすべての請求を復活させた。上訴委員会は、原告側が「シスコが提供した支援は、原告らが被った国際法違反行為に(実質的な)影響を与えた」という「具体的な」申し立てを行ったと指摘した。委員会はまた、原告側が「シスコは、中共当局が学習者を標的にするために金盾(グレート・ファイアウォール)の技術を使用するつもりであることを知っていた」と合理的に主張していることにも言及し、標的にする過程には拷問と恣意的拘束が伴うと指摘した。(訳注:金盾とは、中共が運営するインターネットの検閲および監視システム)
しかし、裁判所は、ジョン・チェンバースとフレディ・チェンに対する外国人不法行為法の請求は、彼らの個人的行為の多くが米国外で行われたものであったため、進めることができないと判断した。最後に、裁判所は、学習者チャールズ・リーさんのジョン・チェンバースとフレディ・チェンに対する拷問被害者保護法に基づく請求権を復活させた。
巡回区控訴裁判所のマーシャ・S・ベルゾン判事は、多数意見の中でこのように記した。「我々は、原告の申し立てが真実であれば、それが以下の合理的主張を支えるのに十分であると結論づける。その主張とは即ち、シスコが拷問、恣意的拘禁、失踪、超法規的殺害といった国際法違反が行われる可能性が高いことを認識しながら、法輪功に対する(中共の)『闘争』に不可欠な技術支援を提供した」。彼女が使った「闘争」とは、中共が敵とみなす集団に対して行う暴力的な政治弾圧を指している。
ベルゾン判事は、申し立てられたシスコの活動の多くが米国内で行われたため、「幇助」の責任が適用される可能性があると結論づけた。
人権法財団の事務局長であるテリー・マーシュ氏は、原告側の弁護士の1人である。彼女は、今回の裁判の進展は法輪功への迫害を抑制するための前向きな一歩であると述べ、「メッセージは明確です。米国企業とその経営陣は、中国での人権侵害を平気で助長することはできません。彼らは責任を負わなければならず、責任を問われるでしょう」と話した。
注:
連邦第9巡回区控訴裁判所は、13ある連邦控訴裁判所の一つである。管轄権は連邦最高裁判所より一段階下で、日本の高裁にあたり、判事の数は最高裁判所の2倍以上である。第9巡回区控訴裁判所は、アラスカ州、アリゾナ州、カリフォルニア州、ハワイ州、アイダホ州、モンタナ州、ネバダ州、オレゴン州、ワシントン州、グアムおよび北マリアナ諸島の準州の司法管轄区からの控訴を監督し、審理する。