マーシュ博士「歴史の正しい側に立つ」
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 【明慧日本2023年7月14日】(取材:明慧記者ジェニー、編集:宇澄)米国第9巡回区連邦控訴裁判所は7月7日、法輪功学習者(以下、学習者)がシスコシステムズ社(以下、シスコ)に対して起こした訴訟を却下した下級裁判所の判決を覆す意見書を発表した。原告側は訴状の中で、このテクノロジー企業は、中国共産党(以下、中共)が信仰に基づく平和的な学習者に対して行ってきた暴力的な弾圧キャンペーン(「闘争」)を幇助したと主張している。テリー・マーシュ博士によると、この進展は人権と法輪功にとって「大きな勝利」に等しいという。

 マーシュ博士は、この訴訟の原告側を代表する主席弁護士であり、ワシントンD.C.の人権法財団の事務局長でもある。彼女は過去15年間、学習者とその親族からなる13人の原告を代表して、この訴訟に取り組んできた。

 マーシュ博士によると、「法輪功は東洋の精神修養法の一つで、学習者に『真・善・忍』を日常生活に取り入れることを教え、『修煉』と呼ばれることを行うことによって悟りを開くことを目的としている」。米国法の下では、法輪功の教義と実践が米国の各巡回裁判所が定めた宗教の法的定義に合致している。

 本件は15年前に始まった

 マーシュ博士は、2008年5月の上院司法委員会の公聴会をきっかけに、今回の訴訟を起こすことを決めた。その公聴会では、シスコの役員が、学習者や他の社会的少数派を暴力的に弾圧するために開発された中共の監視装置「金盾」にシスコが関与していたと証言した。これは、シスコが作成した特定の社内パワーポイント文書について、シスコの副社長が詰問されている最中に起きたことだ。

 公聴会の記録によると、質問に対して、シスコの副社長は、「シスコの社内プレゼンテーションには、宗教団体を含む敵対勢力との戦いに関する中国政府の公式声明が含まれている」と認めた。同じまたは関連あるパワーポイント文書におけるシスコの他の声明では、法輪功に対する「闘争キャンペーン」の実行への約束があり、それが会社にとって「収益性の高い機会である」との記述もあった。

 3年間の調査を経て、マーシュ博士は2011年に、学習者(複数の技術専門家を含む)によって収集された証拠に基づき、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に「Doe(無名氏)対シスコ」の訴訟を提起した。

 シスコは何のために中共を支援していたのか?

 「シスコは、中国のテクノロジー市場への参入を競っていたハイテク企業の一社でした」と、マーシュ博士は言う。「私たちの訴状にも書かれているように、中国の実入りの良いテクノロジー市場へのアクセスを確保するために、被告はいくつかの高度な解決策(例えばアプリケーション設計の統合)の販売、設計、開発を行い、中国で学習者を特定したり、一斉検挙したり、または強制的に改宗させる方法を公安および党の代理人に示しました」。

 これらおよび類似の申し立てに基づき、訴状は、とりわけシスコの役員が「拷問被害者保護法」(TVPA)に違反し、シスコが「外国人不法行為法」(ATS)に違反したと主張している。

 「TVPAは、『外国を代表して』米国市民に拷問や超法規的殺害を加えた個人に対して、たとえそれらの虐待が外国で起こったとしても、米国連邦裁判所がその責任を問うことを認めています」と、マーシュ博士は言った。

 「さらに意義深いことは、リー原告が被告のチェンバースとチェンが拷問を幇助したことを十分に証言できたため、第9巡回区控訴裁判所は地方裁判所による棄却の判決を覆したことです」と、マーシュ博士は付け加えた。

 控訴審判決及び専門家の法廷助言

 ATSの申し立てを成功させるためには、複数のハードルを越える必要がある中、第9巡回区控訴裁判所は、原告は被告であるシスコが国際法違反行為(拷問を含むが、それに限定されない)を幇助したことを十分に立証したと判断した。

 第9巡回区控訴裁判所の意見書を作成したマーシャ・ベルゾン判事は、その冒頭の要約で次のように述べた。「原告は、被告であるシスコが(中共の)党および公安部に援助を提供し、それらの国際法違反行為に実質的な影響を与えたとの信用できる主張をした」と述べた。

 この控訴は、非営利人権および環境団体であるアースライツと、非営利組織の電子フロンティア財団が提出した専門家による法廷助言書によって支持された。三つ目の法廷助言書は、戦争犯罪問題担当の元米国特命全権大使のデイビット・シェファー氏によって提出された。

 シスコが取り得る対応

 マーシュ博士によると、シスコは「全員法廷」の請願書を提出し、第9巡回区控訴裁判所全体に対して、パネルの決定を覆すことを求める可能性が高いという。

 第9巡回区控訴裁判所は、13ある連邦控訴裁判所の中で最も大きいものであり、その管轄権は連邦最高裁判所より一段階下に過ぎない。合衆国憲法は最高裁判所の裁判官の人数を定めていないが、連邦議会は1869年に裁判官の人数を9人と定め、現在に至っている。第9巡回区控訴裁判所には現在、29人の判事がいる。

 マーシュ博士は、中国の法輪功学習者がただ単に法輪功に対する信仰を実践しただけで、拷問やその他の国際法違反行為に晒されてしまう実態を考えると、今回の第9巡回区控訴裁判所の判決は、中国にいる法輪功学習者にとって良い兆しであると指摘した。

 歴史の正しい側に立つ

 マーシュ博士は、「本件は学習者に『強いシグナルを送りました』。そのシグナルはつまり、『彼らは歴史の正しい側に立っており、意見書を通して、党の邪悪な性質および学習者に対して行ってきた暴力的なキャンペーンの規模を暴露したことを気づかせる』ものです」と述べた上、「意見書はまた、中共の嘘とプロパガンダをありのままに暴露しました」と付け加えた。

 確かに意見書は、国内学習者に対する中共の迫害決定を米国が支持している、という中共の主張があからさまに虚偽であることを明らかにした。党による学習者への迫害は、信教の自由と拷問を受けない権利を保護する基本原則に抵触している。マーシュ博士はさらに、中国の学習者が「真・善・忍」という核心的価値観に献身していることを称賛したいと付け加えた。

 
翻訳原文(中国語):https://www.minghui.org/mh/articles/2023/7/10/462850.html
(English: https://en.minghui.org/html/articles/2023/7/11/210256.html)
 
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