【慶祝5.13】金融破綻による魂の目覚めから(二)
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文/中国 の大法弟子  

 【明慧日本2024年5月27日】(前文に続く

(三)無文字の将棋

 留置所に入って半月余り、私は初めて外の新鮮な空気を吸う機会を得ました。留置所の警官は私を取調室に連れて行きました。中共ウイルス(コロナ)の感染が拡大している間、すべての取り調べはオンラインで行われました。

 取り調べの警官が「あなたの個人投資の失敗が、なぜ共産党のせいなのですか」と聞いたので、私は「2020年までにすべてのP2P(訳註:銀行を介さずにインターネットでお金の借り手と貸し手を結びつける金融仲介)のプラットフォームが中共によって強制的に一掃されました。例えて言えば、何十匹、何百匹もの魚が死んだら、それは魚の問題かもしれません。しかし全ての魚が死んだのならば、水に問題があります!」と答えました。警官は、しばし何も言えませんでした。しばらくして警官は「あなたは、法輪功の師父に会ったことがないのに、どうしてそこまで信じるのですか」と聞きました。私は「あなたには理解できないでしょうが、私は信じます!」と涙ぐんで答えました。

 かつて私が修煉を始めたばかりの頃、同修に「あなたは、この時期に大法の修煉を始めたのだから、第二段階の弟子だろう」と言われた時、自分でもそうだと考えました。第一段階の法を正す時期の大法弟子になるということは、大法を伝え、法輪功への迫害の実態を明らかにし、中共の嘘を暴くということだと思いました。しかし、私は母に心配させたくなかったので、それができませんでした。

 修煉する前の私の唯一の趣味は、将棋でした。2日も寝ないで遊び続けたこともあります。修煉して間もないある日のこと、私は夢の中で、ある人が私を師父の前に連れて行って、師父と将棋をしようということになりました。師父は、将棋を取り出して机の上に広げられました。しかしその駒は不規則な形をしていて、一文字も書いてありません。「この無文字の駒で、どうやって将棋を指すのでしょうか?」と困っていた時に目が覚めました。

 それから一年余り過ぎた今、私は自由を失い、手錠をかけられて警官と向き合っています。私はふとその夢の意味を理解しました。師父が私と無文字の将棋をするのは、私を修煉させるという意味です。しかし、私が第一段階の大法弟子になれなかった理由は「母を心配させたくない」という観念で、それが修煉の壁となりました。

 その瞬間、私は涙が流れました。「師父、分かりました! 母には母の運命があります。私は大法弟子として、必ず最後まで修煉します!」と誓いました。私は警官に「私は罪を認めませんし、処罰も認めません。まして『三書(法輪功の修煉を放棄させるために強制的に書かされる書類)』にはサインしません」と言いました。

(四)監督補導隊長の変化

 2022年9月末、新型コロナウイルスが再び蔓延し、私の町は閉鎖されました。留置場の食事も次第に悪くなり、以前は月に2回配膳されていた副食品が何カ月も配膳されず、毎日キャベツの野菜スープと饅頭しかありませんでした。

 Fさんは、バイクを盗んだことで留置場に入れられました。今回で3度目で、背は高かったもののガリガリに痩せていて、家族から送金してもらえませんでした。そして扁桃腺が炎症を起こし、毎日高熱が出ていました。ロックダウンで薬が極度に不足していて、Fさんを助ける人はいませんでした。私はFさんの当直を手伝い、自分の分と合わせて、1日に2回当直をすることにしました。

 監督補導のS隊長は、最も厳しい隊長でした。S隊長は留置所の全員を集め、厳しい口調で「一部の者は、今薬が不足しているのを見て、病気がないのに騒いだり、貴重な医療資源を奪ったりしている!」と叱りつけました。S隊長が担当する中隊は一番大人しく、普通の病気なら誰もが我慢するしかなく、誰も病気を申告する勇気がありません。

 この日、体が震えているFさんを見た私は、Fさんの頭を触ると熱かったので、すぐに部屋のリーダーに相談しました。通常なら申告すべきなのに、S隊長を恐れたリーダーは私に「S隊長に足枷をかけられるのが怖くなければ申告しなさい。でもそうなると、あなたも煉功ができなくなるよ」と言いました。私はFさんの震えがますます酷くなり、顔色も悪くなったのを見て、「自分のことばかり考えて、人の命がかかっているのに見殺しするなんて、それは大法弟子の称号にふさわしくない!」と思い、S隊長に向かって「申告します」と声をあげました。しばらくするとS隊長がやってきて、Fさんの体温を測ると39.5度でした。通常は午後9時の就寝時間にならないと布団を敷くことはできないのですが、S隊長は特別にFさんに、布団を敷いて横になる許可を出しました。そしてFさんに留置所では稀な薬を飲ませた上、「明日、病院に行こう」と指示しました。

 私は「S隊長、Fさんにインスタントラーメンを1箱買ってあげたいのですが、いいですか?」と思い切って尋ねました。S隊長は「物がない。今は中隊全体に物がないんだ」と穏やかな口調で答えました。

 S隊長が帰った後、Fさんは小声で私に「ありがたいけど、あなたには金もなければ、コネもない。他の誰かが隊長を呼んで申告してくれたとしても、あなたはするべきではない。これからはあなたも自分を守らないといけない」と心配してくれました。私はFさんに「私があなたを助けたのは、お金があるからでも、コネがあるからでもありません。私の師父が、どこでも良い人になるように教えてくださったからです。私は真・善・忍を修めます」 と言うと、何人もの人が賞賛の表情で私を見ていました。

 翌日、Fさんは防護服を着させされ、S隊長に連れられて病院で点滴してもらいました。帰ってきたFさんは、かなり元気になりました。そしてFさんは私に「S隊長に『昨日インスタントラーメンを買ってあげたいと言った人は、何の罪で入ったのか?』と聞かれ、私は『法輪功学習者です』と答えました。するとS隊長は、法輪功をすることで罪になるのかと言わんばかりに笑っていましたよ」と楽しそうに話してくれました。拘禁者にいつも厳しい態度を取ることで知られていたS隊長が、笑顔を見せたことを嬉しく思いました。大法弟子に対するS隊長の態度を示していると思ったからです。

(五)「死ぬまで忘れません」

 今年70歳のDさんは、脳梗塞患者で、しっかりと歩けません。2人の娘がいますが、父親のDさんのことを恥ずかしいと思い、まったく会いに来ませんでした。Dさんは留置所に入って1年近くたちましたが、遠く離れた甥が300元の入金をしてくれただけで、誰もDさんのことに関心を持っていませんでした。

 Dさんは自分で入浴することができず、手伝ってくれる人もいなかったので、これまで風呂に入ったことがなく、体がとても臭っていました。私が入って来てからは、入浴の手伝いをしたり、洗濯してあげたり、爪を切ってあげたり、毎日布団を敷いてあげたりしました。ある晩、下痢をしていたDさんはトイレが間に合わず、ズボンの中に大便をしてしまい、両足の間には糞がいっぱいついて、その臭いが部屋全体に充満しました。私以外の皆はDさんを罵って、早く洗うよう催促していました。しかし、Dさんは片方の手しか動けず、きれいに洗うのは無理でした。私はそれを見て、自分から手伝って洗ってあげました。すると後ろの方で「やっぱり法輪功の人だけがDさんを世話する。他の誰がDさんのような人のことを構ってあげるのか?」と言っているのが聞こえました。

 それ以来、拘禁者たちは冗談を言い合うように、自主的に「法輪功会」を結成し、私のことを「大師兄」と呼び、Dさんは6番目の会員でした。入会した人は皆、中共の各組織から脱退する「三退」をすると表明しました。彼らは、このような形で法輪大法を認め、支持しました。それから続々と62人の拘禁者が三退し、大法の素晴らしさと迫害の実態を知ったことを、私は心から喜んでいました。

 留置所では、また商品を注文できる時期になりました。Dさんは入ってから1年以上買い物をしていませんでしたが、今回は破格にも黒砂糖を2袋買い、うち1袋を私にくれようとしました。私は「大法弟子が人を助けるのは報酬をもらうためではありません」と言って断りました。しかしDさんはしつこく押し付けてきて、最後には声を詰まらせて「早く受け取ってください。受け取らないと私は泣いてしまいます」と言うので、私は仕方なく受け取りました。

 ある日、入浴中のDさんは私の側に来て、不自由な体にもかかわらず、私のために背中の垢すりをしてくれました。私は本当に忍びなくなり、「私があなたを助けたのは、見返りがほしかったからではありません」と何度も説明し、「あなたは『法輪大法は素晴らしい、真・善・忍は素晴らしい』を覚えさえすればいいのです」と言いました。このときDさんは「 安心してください、私は死ぬまで忘れません!」と涙を浮かべていました。

 留置所のような劣悪な環境では、誰もが自分のことで精一杯で、他人を助ける余裕などありません。真・善・忍を修める大法弟子だけが、苦難の中でも私心なく他人を助け、見返りを求めません。私は心から師父に感謝します。師父は私に良い人であるように、より良い人であるようにと教えてくださいました。その時、私は心の中で「師父、弟子の私は、師父に恥をかかせませんでした」と言いました。

 結びの言葉

 以上が私の経験です。紙面の都合上、幾つかの事柄を列挙するにとどめます。修煉がまだ短い弟子として、私は自分と古い大法弟子との間にまだ大きな差があると分かっています。私の経験は大勢の大法弟子の中で、大海の一滴にすぎず、取るに足らないものです。

 師父は「歴史上、正しい信念に対しては、いかなる迫害も成功したことはありません」と語られました。(『精進要旨二』「強制しても人の心は変えられない」)

 私が本当の大法修煉者になった瞬間、なぜ中共が国を挙げて武器を持たない民衆を弾圧してきたのに、20年以上経っても成功しないのか、やっと分かりました。大勢の大法弟子は、身の危険を顧みず、逮捕され、刑を受ける危険を冒しても、ただ人々に真実を伝え、法輪大法に済度させるために努力しているからです。依然として中共の嘘に騙されている人々が心から目覚め、「法輪大法は素晴らしい、真・善・忍は素晴らしい」を覚え、天が中共を滅ぼす際に、中共の各組織から脱退し、自分のために素晴らしい未来を選択することを願っています。

 (明慧ネット第24回世界法輪大法デーの入選文章)

 (おわり)

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2024/5/4/475963.html)
 
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