【明慧日本2024年7月7日】カナダ勲章受章者で国際的に有名な人権弁護士であり、『血塗られた臓器摘出』の著者であるデービッド・マタス氏が6月初旬、オーストラリアを訪問した。彼は首都キャンベラ、メルボルン、アデレード、パース、シドニーなどの州都を巡り、中共の臓器収奪を阻止するための立法について、選挙で選ばれた官僚や政府高官、地元住民と会見し、数社のオーストラリア主流メディアのインタビューに応じた。
その中で、オーストラリアのスカイニュースはマタス氏を特集し、スカイニュースのウェブサイトには署名記事が掲載され、マタス氏のオーストラリア訪問の目的を報じた。つまり、中共が組織的に良心の囚人の臓器を収奪している惨烈な真実を暴くということだ。オーストラリアの有名なシンクタンクが発行する『ニュースウィークリー』誌も「中共の臓器摘出:世界の恥」というテーマで評論記事を掲載した。
マタス氏の訪問中、中共の首相がオーストラリアを訪れており、中共の人権侵害、法輪功学習者(以下、学習者)やその他の良心の囚人の臓器を摘出して利益を上げるジェノサイドが各界の注目を集めた。過去20年近くにわたる中国共産党(以下、中共)の臓器収奪の調査と併せて、マタス氏の訪問はオーストラリアの政要や各界の人々が真実を理解し、オーストラリア連邦議会の関連立法の進展を促すうえで、積極的な役割を果たした。
オーストラリアのスカイニュースのインタービューを受けたマタス氏 |
スカイニュース 著名な人権弁護士が中共の臓器収奪の惨烈な詳細を暴く
6月21日、スカイニュースの有名な女性キャスターがマタス氏を特集し、ライブ番組でインタビューを行った。インタビュー前に彼女は次のように述べた。「中国の人権侵害記録は非常に悪質ですが、今週の中国首相の訪問中、この問題は(オーストラリア政府に)ほとんど注目されていません。その中でも特に悪化している問題の一つが中共の臓器収奪行為です。報道はほとんどありませんが、詳細な調査報告によれば、中共の国営病院は数万の囚人から臓器を秘密裏に摘出しており、時には生きたまま臓器を摘出しています。このような行為は中国で約20年続いていると言われています」
同日、スカイニュースの関連報道では、マタス氏がこの調査を行う背景に言及した。記事によれば、2006年に中国の政治犯と弾圧されている法輪功グループのメンバーが臓器を摘出されていることが初めて暴露されて以来、過去20年間にわたって中共の臓器収奪行為に対する懸念が浮上してきた。2007年には、カナダの元国会議員デービッド・キルガー氏と人権弁護士のマタス氏が行った調査報告で、中国の蘇家屯地区の病院で学習者から大規模に非自発的な臓器収奪を行っていたことが明らかにされた。
中共の臓器収奪の惨烈な詳細を暴くマタス氏 |
インタビューの中で、スカイニュースのキャスターの質問に対し、マタス氏は中共の臓器収奪犯罪の深刻さとその背後にある原因を明らかにした。
彼は「この行為は金儲けの手段であると同時に、政治的異議者を圧迫する方法でもある」と述べ、中共は死刑囚からの臓器収奪を停止すると公表したものの、実際には臓器収奪の罪を続けていると示唆した。
「数は驚くべきもので、これは普遍的に存在しており、2000年代初頭から始まった」と説明し、「被害者の多くは良心の囚人であり、法輪功、ウイグル人、チベット人、家庭教会のキリスト教徒などが含まれています」
「最も需要が高い臓器は腎臓であり、人は腎臓を一つだけでも生存できるためです。しかし、マタス氏によれば、中国の医師は一度に複数の臓器を収奪することが多く、この過程で囚人は死亡します」
キャスターの質問の1つに「これらの手術は非常に残酷です。どのようにして調査を行ったのですか? 中国はジャーナリストに対して友好的ではないことは周知の事実です。これがあなたの調査に困難をもたらしましたか」というものがあった。
マタス氏は「この調査には非常に長い時間がかかりました。例えば、移植件数を調査する際には、各病院を調査し、彼らのウェブサイトに掲載されたデータを集計しました。約700の病院を調査しました。想像できるように、これには膨大な時間がかかります。しかし、概念的には難しくありません。中国の刑務所から釈放された人々にインタビューしました。彼らは学習者が血液検査と臓器検査を受けていたと証言しましたが、他の囚人は受けていませんでした」と述べた。
マタス氏は、700以上の病院を調査する過程で、中国各地の病院関係者が学習者の臓器を販売していることを認めた証拠を記録した。
マタス氏は、国連人権機関のこの問題に対する対応が「問題の深刻さに見合っていない」と考えている。「2021年6月か7月に、12人の国連人権特別報告者が共同声明を発表し、中国が良心の囚人から臓器を摘出しているという信頼できる証拠があると表明した。その中には法輪功の被害者も含まれています」と述べた。
「彼らは深刻な懸念を表明し、中国に独立調査に協力するよう要求しました。中国は回答しましたが、その内容は馬鹿げたものでした。したがって、彼らが全く声を上げていないわけではありませんが、問題の深刻さに見合っていないことは確かです」
6月18日、オーストラリアのセブンネットワーク・パース支局は、中共の首相の訪豪に関するニュース番組で、学習者による中共に迫害の停止を求める抗議の場面を何度も言及し、放映した |
『ニュースウィークリー』中共の臓器摘出は世界の恥
2024年6月19日に発行されたオーストラリアの『ニュースウィークリー』誌には、同誌の主要寄稿者の一人であり、オーストラリア全国市民協議会の元全豪議長パトリック・バーン氏が執筆した評論記事「中共の臓器摘出:世界の恥」が掲載された。
記事にはマタス氏の言葉が引用されており、中共が良心の囚人を大量に殺害して利益を上げる行為は「広がりつつある世界的な汚点」となっていると指摘されている。以下に一部内容の翻訳を抜粋する。
マタス氏によれば、1999年に学習者が天安門広場で静かな抗議を行った後、中国の臓器収奪行為が増加した。これらの学習者はタバコを吸わず、酒を飲まないため、他の囚人よりも健康な臓器を提供できた。なぜなら、刑務所では通常、肝炎ウイルスが流行しているからだ。
法輪功の良心の囚人の数が減少すると、新たなターゲットとしてチベット人、ウイグル人、その他の少数民族、家庭教会のメンバーが臓器収奪の対象となった。
マタス氏のチームは、臓器の市場価格に基づき、中共軍によって厳格に管理されているこの産業の年間収益が約89億ドルに達することを推定している。主要な顧客は韓国、日本、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプトだ。
マタス氏のチームは、この産業に関する大量の証拠を収集したが、その過程は困難だった。マタス氏は「良心の囚人が臓器を取られるために大量に殺害される行為は、他の多くの犯罪と違って目立たない。被害者は声を上げることができず、遺体は火葬され、検死も行われません。この犯罪は拘留センターや病院などの場所で行われ、目撃者はおらず、加害者と被害者だけです。少数の内部告発者も公開声明を出すことを望んでいません。これは自分や家族のリスクを避けるためだけでなく、自分の罪を認めたくないからです。中国の病院、刑務所、拘留記録は公開されていません」と述べている。
「中共は真実を組織的に隠蔽しており、データが引用されるとすぐに封鎖し、すべての虐待行為の証拠を否定します。彼らは偽の証拠を作成しますが、それは勤勉な調査者には簡単に見破られますが、警戒心のない者には騙される可能性があります」とマタス氏は述べている。
マタス氏は、中国で臓器移植を受けた人々にもインタビューした。これらの人々は、特定の日時や数日、数週間以内に肝臓、肺、心臓などの重要な臓器の移植手術を予約できることを明らかにした。世界の他の地域では、通常、移植手術の待機期間は数か月から数年かかる。これは「誰かがその移植のために命を落としている」ことを示唆している。
6月4日、マタスはオーストラリア国会議事堂前で行われた記者会見で発言し、オーストラリア連邦議会に対して中共の強制的な臓器収奪犯罪を取り締まる法案を制定するよう呼びかけた |
中国は世界最大の臓器移植国である。しかし、2010年まで中国は死亡者からの臓器提供システムを設けていなかった。今日もなお、そのシステムが生み出す提供数は非常に少ない。では、我々はこの現代社会の恐怖行為にどのように対処すべきか?
2015年、欧州理事会は人体臓器取引に関する条約を採択し、締約国に国外での臓器移植虐待行為に関与することを禁止した。現在、15か国がこの条約を批准している。
立法の面では、イスラエル、台湾、イタリア、韓国、イギリス、カナダなどがそれぞれ立法し、国民が国外で臓器移植虐待に関与することを禁止している。米国議会も、強制的な臓器摘出に関与した者のパスポートを取り消し、その行為を報告し、制裁を加えることを求める法案を準備しています(訳注:これは米国議会が最近可決した『法輪功保護法案』を指します)。
マタス氏は、オーストラリア政府も関連立法を実施し、迅速に行うべきだと指摘した。彼は医療従事者が移植状況を保健当局に報告する義務を持つべきだと提案した。これは医療過誤、性的虐待、児童虐待、無能、感染症などの報告と同様である。臓器移植ツーリストはその薬を継続的に使用する必要があるため、医療従事者は彼らを識別できる。
最後に、マタス氏は「世界中の多くの人権侵害行為の中で、無実の人々や良心の囚人を大量に殺害して臓器を収奪する行為と同程度の深刻なものはない」と述べた。
『ニュースウィークリー』誌の発行元であるオーストラリア全国市民協議会は、伝統的な価値観の回復を目的とする民間シンクタンク組織であり、80年以上の歴史を持っている。