文/明一
【明慧日本2021年12月13日】AI研究とAI製品はここ数年で大きなブレークスルーを遂げ、人間の仕事の目に見えない参加や部分的な参加から、突然、より注目度の高い、より包括的な社会的役割に変わりました。この変化は、インターネットが人間の日常生活や仕事にもたらした変化に匹敵する、いや、それ以上のものです。しかし、AIの普及はやがてAIが人間を支配することにつながるのでしょうか?
著者はそうなると思います。なぜなら、失わなければ得られないからです。AIが人間にもたらす利便性や満足感には必ず代償が伴います。一時的、局所的、短期的、表面的な利便性や満足感は、すぐに、あるいはゆっくりと、最終的には人間の能力の多くを失わせ、最終的には恐ろしい代償を払わせることになります。
一、科学と科学製品への過度の依存は、すでに人類に莫大な代償を支払わせた
AIを詳しく見る前に、他の科学分野の例を見てみましょう。
過去100年間、科学の目覚ましい発展は、すでに科学を多くの人々の信仰とし、彼らの心の中で神の位置に取って代わり、道徳的退廃に導き、憂慮すべき結果をもたらしました。例えば、西洋の薬の研究の発達と圧倒的な普及によって、一部の利権集団が国民の健康(さらには生命)を害することで自分たちを富ませることができましたが、それでも広告などの洗脳作用で、西洋の薬の副作用に関する研究情報が長年遮断され続けているため、圧倒的多数の人々は今だに西洋の薬を崇拝し続けています。
なかでもアヘンは、鎮静剤や止瀉薬から中毒者の生命を脅かす武器へと進化し、中国を豊かで強力な国家から野蛮な災いの国へと転落させました。
また、60年代に開発されたフェンタニルは、西洋医学の手術用の全身麻酔の新型薬として人類に希望と安心を与えました。90年代半ば、フェンタニルはパッチ、ロリポップ、溶解錠剤、舌下スプレーパッチ、などの形で、より広範囲に人類の日常生活に入り込むようになり、世界的に服用量の急増を招きました。その後、フェンタニルは「娯楽用麻薬」として使用されるようになり、2000年から2017年にかけて数千人の過剰摂取による死亡者が出ていました。米国疾病予防管理センターは、2016年だけでも2万人以上のアメリカ人がフェンタニルおよび類似構造化合物の乱用によって死亡したと推定しています。
米国財務省は2021年12月15日、中国、ブラジル、コロンビア、メキシコの4カ国の15団体と10人の個人に対し、フェンタニルをはじめとする乱用薬物の中毒問題と闘ったとして、ついに制裁を科しました。しかし、1960年代から現在までの64年間で、フェンタニルのおかげで金持ちになった人はどれくらいのお金を稼いでいるのでしょうか? そして、フェンタニルの乱用による世界の総死亡者数はどれくらいいるでしょうか? 入手可能でありながら、長い間固く閉ざされてきた事実と数字を掘り下げてみれば、人間の欲望、健康、そして生命にさえ及ぼす薬物の影響が、コントロールが不可能となり、合理的な使用もなくなりました。
二、AIへの過度の依存が人類にもたらす代償とは?
AIの具体的な分野に話を戻します。AIの計算を行うデータベースやコンピューター、略して「機器」と呼び、通常、ユーザーと別の場所に設置され、少数の人間の手に握られています。 人間が本来、学ぶべきもの、力を注ぐべき仕事を機器に委ねてしまうと、怠惰や手間のかからない方法をとり、利益への貪欲さといった人間の弱点から、必然的に人間はAIにどんどん仕事を任せるようになり、その結果、過度な依存によって自分で思考する力がなくなってしまいます。実際、AIが突然大発展したのはほんの数年前のことのように思えますが、研究者たちはすでに、AIを過度に使うユーザーは物事に対する認知度が低くなり、意思決定能力も著しく低いことを発見しています。しかし、AIに過度に依存することが人間の道徳性の低下につながっているという研究結果は現在、まだ出ていません。
以下は、AIへの過度の依存が引き起こす可能性について、人々がすでに見通ししていることです。
1、AIは人間の生活空間を圧迫し、人間の仕事を奪う
「AIはプログラムコードを自動生成し、人間のプログラマーから仕事を奪う」
「AIは自動的に文書を生成し、作家、ジャーナリスト、事務員の仕事を奪う」
「AIはデータ入力や管理の仕事を代替する」
「AIは人間のカスタマーサービスに取って代わる」
「AIは人間の製造業や組立配線作業の仕事を代替する」
「AIは小売店のレジ打ちに取って代わる」
「AIは翻訳業務を取って代わる」
「AIは、人類の写真撮影などの専門を取って代わる」
2、AIによって、人間は自分で思考力、判断力、決定する能力を失い、完全にAIに依存するようになる
AIの魅力は、大量のデータを処理し、人間の能力を超えた複雑なタスクをこなす能力にあります。当初、AIは私たちの生産性を高め、さまざまな分野で役立っていました。しかし、AIに依存し始めると、私たちは自分の判断よりもAIの判断を信頼し、その結果を受動的に受け入れるようになります。この頼ることから次第に依存へと変化し、AIが私たちの選択に大きな影響を与えるようになり、私たちは自らの意思決定能力を失ってしまいます。
3、AIが徐々に人間社会を支配する
AIは兵器化される可能性があります。例えば、薬品開発ツールが化学兵器の製造に使われたり、AIが生成した誤った情報が社会を不安定にしたり、政府の決定に影響を与えたりする可能性があります。AIの力はますます少数の人の手に集中するようになり、少数の人間が富や生活環境、生活習慣、さらには生死に至るまで支配するために、広範な監視や抑圧的な審査を通じて自分たちの価値観を強制することが可能になるかもしれません。
動物の本性は獣性であり、人間のような真の道徳的思考を持っていません。ロボットの本性は、真の人間の霊性や神性を持たずに、電子的指示を受け入れます。現在社会において、大多数の人間は、生存のために獣と戦う体力も技術も失っています。金属や人工素材でできたロボットの前では、人間の肉体は完全に脆弱であると言えます。
別の言い方をすれば、AIがさまざまな分野で発表された人間の各領域に関する既存のデータベースを利用して、数え切れないほどの再編成、分解、結合を行うようになれば、それに依存する人間は「ごみ箱」と化し、退化してしまいます。もはや、人間は霊性、創造的な力を持たなくなり、限られた既存の情報を利用するしかありません。これは人間の尊厳を剥奪するものです。
AIが人間の新たな成果をトレーニングデータとして使用するようになると、AIに依存する人間はAIとAIをコントロールする人の奴隷となります。AIをコントロールする人はさらに、自分たちの財産を増やし、より強力な武器になるようにAIを訓練して強化します。大多数の人々はプライバシーがなくなり、AIに制御されないことを選択する自由もなくなります。
冷静に考えてみてください。皆さんはこれと同じような見通しを持っているのでしょうか?
神の絶大な存在は事実であり、人間が神を認めるか否かで変わるものではありません。神は人間に対して慈悲を持っていますが、科学は違います。ですから、人間は自分と科学の関係を正しく認識しなければなりません。そうしないと、結果は深刻になり、後悔することになります。科学は冷酷で無慈悲です。科学が人間を冷酷にするというのは、センセーショナリズムではありません。科学と科学の産物は人間の道具に過ぎず、道具が人間の手に負えなくなったり、悪人の手に握られたりした場合、それらは人間に対して感情がないため、人間に危害を加えることを控えることはありません。
ナイフは日常生活用品ですが、同時に自殺や殺人に使われることもあります。銃は狩猟やレクリエーション、護身に使われる一方で、自殺や殺人に使われることもあります。薬物は命を救うこともあれば、人を殺すこともあります。AIはどうでしょうか? 永遠に、ただ床を掃除し、繁雑な仕事をこなし、「頭を使わなくてよい」だけなのでしょうか? 絶対違います。AIはすでに、若者やAIに重度に依存する人々の知性や想像力、創造力を奪っています。特殊な素材で作られたロボットと血肉の身の人間との直接対決を想像してほしいのですが、誰が簡単に勝つことができるでしょうか?