【明慧日本2025年3月29日】東京で3月26日、ドキュメンタリー映画『国家の臓器』の上映会と、カナダの国際人権弁護士デービッド・マタス氏による講演会が開催された。このイベントは、中国における生体臓器収奪の実態を明らかにし、国際社会に警鐘を鳴らすことを目的としている。
この映画は、中国政府が法輪功学習者(以下、学習者)に対して行っているとされる「臓器収奪」の実態を、約7年の歳月をかけて記録したものである。映画は、証言者たちの言葉とイメージ映像によって構成されており、中国の元医師・鄭治氏が自ら目撃した臓器収奪の衝撃的な証言から始まる。また、海外の人権活動家たちが中国の病院に患者を装って電話をかけ、臓器移植の迅速さや学習者の臓器について尋ねる場面も記録されている。これらの証言や記録は、中国における臓器収奪が組織的に行われている可能性を示唆している。
映画では、行方不明になった学習者の家族たちの苦悩も描かれている。子供を救おうと奔走する父親や、弟の死を覚悟した兄の姿は、観る者の心を深く打つ。
章勇進監督は、臓器収奪が単なる「売買」ではなく「法輪功ジェノサイド」の一環として行われていることを強調している。中共による全体主義体制が続く限り、人権侵害は隠蔽され犠牲者は増え続ける、と映画は強く訴えている。
デービッド・マタス氏の講演を聞く観客 |
マタス氏が観客からの質問を受け直接回答
『国家の臓器』を観賞した観客の多くが、「どのようにすれば学習者に対する強制臓器収奪を止められるのか?」という問題意識を持った。これに対してマタス氏は次のように語った。
「本来人々の健康や生活を向上させるために発展してきた医療技術が、中国において、大規模な人権侵害、大量殺戮の道具として悪用されています。この問題に対して、医療関係者や様々な人々が行動を起こしています」
「日本では、議会への働きかけや、臓器移植ツーリズムへの加担を避けるための活動が行われています。また、個人レベルでも、自身のスキルを活かして情報を拡散するなど、多くの人が貢献できます。重要なのは、この問題を『他人事』とせず、一人ひとりができることを行うことです」
「この活動の起源は、中国から国外に脱出した人々による告発です。彼らの証言を基に、調査や映画制作が行われてきました。臓器移植は証言者が少なく、証拠も得にくいという困難な状況ですが、それでもこの問題を風化させないために、多くの人々が尽力しています」
「この活動は、国際社会の意識を高め、中国政府に圧力をかけることを目的としています。そして、最終的には、臓器収奪を根絶し、人々の命と尊厳を守ることを目指しています」
講演を行うデービッド・マタス氏 |
中国における生体臓器収奪問題は、学習者を中心とする良心の囚人を標的とした、国家が関与する組織的な犯罪であり、国際社会から深刻な懸念が表明されている。
生体臓器収奪問題の解明には、学習者の証言が重要な役割を果たしている。証言からは、学習者が刑務所内で血液検査を受けていたこと、また、多くの学習者が失踪していることなどが明らかになっている。これらの証拠は、臓器移植のための適合性検査が行われ、臓器提供者となる可能性のある学習者が特定され、最終的に臓器収奪のために学習者が殺害されていることを示唆している。
ドキュメンタリー映画は、生体臓器収奪問題を広く社会に知らせる上で非常に有効な手段である。膨大な調査資料を読むよりも、映像を通して学習者の家族の苦しみや、臓器収奪の実態をより深く理解することができるからである。また、一人一人が生体臓器収奪問題に関心を持ち、情報発信や署名活動などを通して、解決に向けて行動することが重要である。
元衆議院議員「正義は必ず勝つ」
元衆議院議員・中津川ひろさと氏 |
中国における生体臓器収奪問題は、長年、日本ではほとんど知られていなかった。中津川氏は20年前から生体臓器収奪問題に取り組んでおり、当初は国会で中津川氏だけが一人で活動していた。その後、カナダの元国会議員であるデービッド・キルガー氏や人権弁護士のデービッド・マタス氏と協力し、調査と啓発活動を続けてきた。
日本は中国との経済関係から、生体臓器収奪問題を公にすることが難しく、メディアもほとんど報道しなかった。しかし、近年、産経新聞や一部のテレビ番組で取り上げられるようになり、ようやく一般の人々にも知られるようになってきた。
中津川氏は、渋谷や横浜で学習者と共に啓発活動を行い、生体臓器収奪問題の深刻さを訴えてきた。また、日本の医療機関で中国からの臓器移植が行われている可能性を指摘し、その臓器は正当な手段で入手されたものなのか、といった疑問を呈した。また、中国では子供の臓器も摘出されている可能性があり、今後、この問題がさらに深刻化するだろうと警告した。
中津川氏は日本政府に対し、中国への批判決議や法輪功保護法案の制定を求めている。そして、正義は必ず勝つと信じ、生体臓器収奪問題の解決に向けて活動を続ける決意を表明した。
江東区議会議員「団結して頑張りましょう」
江東区議会議員・二瓶(にへい)文隆氏 |
元環境大臣「勇気ある報道に感心しました」
元環境大臣・原田義昭氏 |
元環境大臣の原田氏は『国家の臓器』を観賞後に「ずいぶん勇気ある報道をやっておられるなということで感心しました」と映画の内容と報道姿勢に感銘を受けたことを表明した。また、原田氏は「映画を見まして、本当によく頑張られたなと思っています」と『国家の臓器』制作の困難さへの理解を示した。そして「こういう現実は日本人はあまり知りませんでしたからね」と語った。
映画監督「『真・善・忍』が世界に広がることで、平和な社会が実現すると信じています」
映画監督・古新舜氏 |
映画監督の古新舜(こにいしゅん)氏は「ドキュメンタリー映画『国家の臓器』は、中国における生体臓器収奪という、胸が痛くなるテーマを真正面から扱い、長年の取材に基づいて制作された素晴らしい作品だと思います。国家の闇に隠された真実を追求し、声を上げられない人々の苦しみを伝えることは、非常に勇気ある行為です」と話し、『国家の臓器』の作品としての素晴らしさと、その社会的意義を評価した。
また、古新氏は「この映画は、私たちに、人道的に、倫理的に許されないことに対して声を上げることの重要性を教えてくれます。私たちは、このような不正に対して、常に声を上げ続けなければなりません」と語った。
そして『真・善・忍』という価値観に対して、古新氏は「命に対する感謝や慈愛の精神は、万国共通の普遍的な価値観であり、このような精神が世界中に広がることで、平和な社会が実現すると信じています」と語った。
『国家の臓器』上映会主催者「中国政府に対して国民の人権を尊重するよう強く働きかける必要がある」
須田氏 |
『国家の臓器』上映会主催者である日本新唐人社長の須田氏は「臓器移植は、人間の体に直接触れる医療行為であり、高度な道徳的、倫理的配慮が求められます。特に医療倫理の観点からは、臓器提供者の尊厳と権利が最大限に尊重されなければなりません。しかし、中国政府は国民の体を国家の財産とみなし、臓器も国家の所有物であるという誤った認識を持っているようです。これは、国民の人権を完全に無視する、到底容認できない考え方です。私たちは、この問題を深く認識し、中国政府に対して、国民の人権を尊重するよう強く働きかける必要があります」と語った。