文/韓国の大法弟子
【明慧日本2024年7月12日】韓国・大邱市にある城山書道研究院の院長を務める65歳の書家・金煜漢さんは、筆の運びが流れる水や雲のように滞りがなく、一気呵成できます。しかし、若い頃の彼は、大いに注目を受ける科学者でした。34歳の時、彼は直腸癌を患い、科学者としてのキャリアを断念せざるを得なくなり、死の淵で書道を選び、書家になりました。そして今、彼は法輪功学習者として、真新しい人生を描き出しているのです。
『轉法輪』を読んでいる金煜漢さん |
お先真っ暗な科学者
科学者として、一日中実験に没頭するのが金さんの日課で、残業後にお酒を飲み、タバコを吸うのが彼の生活におけるすべての楽しみでした。しかし、突然襲ってきた癌によって、彼のそれまでの生活が打ち砕かれ、彼は研究活動を断念し、未知の未来のために過酷な抗がん剤治療に耐えざるを得なくなりました。
治療は予想の通り、厳しいものでした。消化器系の末端にあるがん細胞が切除された後、その部分は人工修復手術を行いました。2回の抗がん剤治療の後、金さんはもう、治療を受け続けることを望んでいませんでした。これ以上続けてもがんは治らず、体は衰えていくばかりだと感じたからです。精神的な平穏を取り戻し、それまでの無秩序な生活に終止符を打てば、自然と健康を取り戻すことができると彼は考えました。
「そうだ。書道を学んでみよう」と彼は思いつきました。書道を一生涯愛してやまなかった父親の影響か、金さんは軍隊に入る前のしばらくの間、書道を習っていました。短い期間でしたが、書道は彼の心に残りました。そこで、書道をやってみようと思い立った金さんはすぐに抗がん剤治療の中止を宣言し、書道で心を養いながら余生を送ることを決意しました。
しかし、独学だけで実力をつけるのはなかなか難しいものでした。弟子入りするために、金さんは韓国の大邱にある八公山に行って5年間の修行生活を送り、体も少しよくなりました。その後、健康回復と修養のために彼は書道院を開き、書家としての生活を送り始めました。その後、彼は韓国書道協会主催の大邱書道展と嶺南書道展の主席書家に任命されました。
金さんは、「生活が少しずつ軌道に乗ってから、人生の師と巡り会いたいという願望が生まれ、多くの宗教家を訪ねましたが、何かが足りないと感じ、気に入る師を見つけることができませんでした」と振り返りました。
師を探しつつ、彼は経典を書き写し始めました。体調が悪かったとき、金さんは老子の『道経』を読んだことがあり、その時に受けた感動がずっと記憶に残ったため、経典を書き写すことにしたそうです。しかし、彼が本当に切望していたのは、修行を指導してくれる本物の師を見つけ、彼に従い修煉することだったのです。
人生の羅針盤との出会い
2009年のある日、金さんは高校時代の同級生2人と偶然再会し、それが人生の転機となりました。
散歩の途中に、高校の教師をしている同級生が別の友人に1冊の本を手渡したのを見て、金さんは何の本かと尋ねました。同級生は「『法輪功』です」と言い、彼にも1冊を渡しました。
金さんは「同級生のおかげで、法輪功の『9日間セミナー』に参加し、師父の説法を聞いたとき、胸が熱くなりました。人生が明るくなり、ポジティブなエネルギーと感動が波のように押し寄せてくるのを感じました。私はついに生涯探し求めていた疑問の答えを見つけました」と感慨深げに言いました。
妻と一緒に「9日間セミナー」に参加した金さんはその後、法輪功の5式の功法を学び、深く惹かれて、法輪大法を修煉を始めました。
初めて健康を実感する
その後、金さんはもう1人の新しい法輪功学習者と一緒に、毎日5:30からの煉功を始めました。以前より2~3時間も早く起きて睡眠時間が減りましたが、金さんは以前よりも体が軽やかになったと感じ、煉功を始めて3カ月後には肩こりがなくなり、3階の事務室まで息切れせずに上がることができました。また、書道を始めて昼寝や休憩が必要だった弱い体力も改善され、子供の頃からあった口内炎もきれいに消えました。このすべてが金さんに法輪功の不思議さを感じさせました。
第5式の功法を行う金煜漢さん |
ガンを克服したとはいえ、金さんは自分の健康に対する不安を払拭することはできませんでした。家族も、彼が少しでも具合が悪くなると、すぐに心配してしまいます。しかし、法輪大法を修煉してから、彼は心の平安を取り戻し、健康面も心配しなくなりました。
心身の健康を取り戻した金さんの性格も大きく変わり、家族にキレることはなくなりました。ある日、娘さんが「お父さんは修煉してから怒らなくなって、本当に素晴らしいことです」と言ったそうです。
金さんは、「修煉する前は、いつも自分の考えを相手に押し付けようとしていて、受け入れてもらえないと腹が立ち、よくキレていました。修煉してから、キレる回数がだんだん減り、徐々に怒らなくなりました。これは法輪大法を修煉してから、内に向けて探すことを学んだからです。怒りたくなったら、自分自身の問題を探し、その執着心を手放すことにしました。最も重要なことは、怒ることは問題解決に少しも役立たないことが分かったからです」と言いました。
奥さんとの衝突があった際、金さんは口数を減らして我慢し、双方の心が落ち着いてきたら、自然と対話を通じて問題を解決できると言い、その結果、夫婦喧嘩もほとんどなくなりました。そのおかげで、自分たちの子供だけでなく、多くの知人も法輪功の「9日間セミナー」に参加しました。
90歳を超える書家も毎週末、金さんと一緒に煉功し、法輪功の主著である『轉法輪』を読んでいます。今、彼の妻も修煉し始めました。
書家としての一里塚
書家として名を知られるようになってから、彼はある悩みを抱くようになりました。それは、いわゆる現代書道の流れに乗るか、それとも伝統書道の道を貫くかのことです。長い間、彼は悩んでいました。しかし、修煉後、法輪功の書物を読むことで、彼は徐々に自分の進むべき方向が見え、現代社会では時代遅れとされる伝統的価値観の大切さにも気づき、伝統を作品に取り入れるように努力しました。さらに、『轉法輪』という本の中で、彼は「人間はなぜ、生きている間に苦痛を経験しなければならないのか」という長い間自分を悩ませてきた疑問に対する答えを見つけました。
書家・金煜漢さん |
毎日朝早くから煉功を始める金さんは、早朝に書道院に行き、生徒を指導しながら作品の制作にも励んでいます。週末には、田舎に住む両親を訪ねるほか、韓国の人々に「法輪大法」を紹介しています。
金さんは最近、法輪功の「9日間セミナー」のボランティアとして、新しい学習者に煉功の動作を教えています。彼は、法輪大法がすでに自分の人生の一部になったと述べました。
金さんは穏やかな笑みを浮かべながらこう言いました。「何をするにも、一番大切なのは心の安定だと思います。法輪功を修煉してから、私は心が穏やかになり、家庭も日増しに和やかになりました。私の創作活動も自然と良くなってきました」