「悪魔」との取引による代償
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文/章天佑   

 【明慧日本2025年2月16日】『ヨハネの黙示録』には、人類が終末を迎える時、サタンが降りてきて世を害する、といった予言がある。神と等しくなろうとする傲慢さゆえに大天使から堕天使となったサタンとは、何ものなのか。私はここで、この悪魔とは「共産主義」であると論じたい。

 共産主義と世界各国の国王、大統領、首相、そして各級各界の政治家や要人との取引には、一つの特徴がある。美しく望ましい言葉を選びながらも、全く無関係な、あるいは正反対の内容にすり替えるというものだ。その目標は、共産主義の世界を実現することである。

 例を挙げてみたい。

 「進歩」:伝統の否定と放棄

 「人種平等」:能力の認定よりも肌の色を強調する。多く働けば多く得られ、少なく働けば少なく得られ、働かなければ何も得られない、という公平さを廃止し、事実上多くの分野で逆差別と不平等を生み出している

 「女性の権利」:この名目で婚外関係やシングルペアレントを奨励し、学校は性別の問題において母親が子供を保護し教育する天賦の人権を奪っている

 「地球村」:グローバル化

 「高福祉」:共産、不労所得の奨励、富の再分配

 「エイズ」:乱れた性的関係の結果。当事者だけでなく新生児にも害を及ぼすにもかかわらず、エイズを美化し、大々的な支援を呼びかける

 これらの目的を達成するための手段として、高い税金、大きな政府、EU、国連、そして多くの「国際化」の名のもとに設立された機関やプロジェクトがある。これらは、納税者(労働者の労働収入)の資金を、少数の共産主義者やマルクス主義者の個人的な富の蓄積、および共産主義イデオロギーと共産主義経済モデルによって各国を支配するという世界戦略目標のために使用しているのである。

 1989年のベルリンの壁崩壊後、世界の共産主義国家はほぼ消滅した。しかし、赤禍を知らない西側諸国の善意につけ込んで、共産主義国は瞬く間に経済大国・軍事大国となった。2024年までのわずか35年の間に、共産主義のイデオロギーは、中国共産党を通じて、西側世界に広がった。王室、政府、教育、メディア、出版、医療、公衆衛生、環境保護、文化芸術、慈善事業など、あらゆる分野で、買収、洗脳、浸透を進めた。堂々と西側社会の日常の一部となり、最後に米国を打ち負かして、世界第一の強国となる日を待っている。

 その浸透工作の一例を挙げたい。1940年8月19日、「友軍との交友活動拡大に関する指示」という文書の中で、中国共産党は国民党軍内で200万人の「友人」を得ることを提案した。この文書の中で、中国共産党は「各党派、各階層、各友軍、各政権、各界団体の個々の代表的人物について、多方面から深く綿密な研究を行い、これらの人々の氏名、年齢、本籍、財産、生活、経歴、思想の変遷、政治的傾向、生活の嗜好、性格の特徴、社会関係、親族関係などを詳しく研究し、それぞれ伝記を作成する」よう求めた。獲得対象について「伝記を書く」程度まで研究し、「あらゆる関係」を利用して、贈り物や祝い事、困難な時の援助などの形で「友好関係を築いた」。その心機の深さは、すでにあらゆる人類の道徳倫理を超えていたことが窺える。

 これらの指図に従わない人々に対して、中国共産党はこの文書で「巧みに生活上の困難を拡大する方法を講じ、態度を変えざるを得ない状況に追い込み、連絡の糸口を開く」よう指示した。つまり、あらゆる手段を用いて相手に問題を作り出し、解決困難な問題を引き起こし、人の心をコントロールしようとしていた。

 1946年までに、蒋介石の国民政府において、上から下まで、最も中枢の部門にさえ、中国共産党の「友人」がいた。彼らはほぼすべての秘密をすぐさま中国共産党に伝えていた。

 中国共産党はまた、「友好関係を築く」方式で海外の友人に対して統一戦線工作を開始した。中国共産党の特務トップである李克農は、繰り返し検討を重ね、この対象者は「共産主義ソ連」のものでもなく、米国の明らかな親共産主義者でもなく、中立で評判の良い人物でなければならないと考えた。白羽の矢が立ったのは、エドガー・スノー(訳註:親中共の米ジャーナリスト)だった。

 間もなく、李克農は自ら一個連隊の兵を率いて延安の外でスノーを出迎えた。延安では、すでにすべてが周到に整えられた。最も良い部屋が用意され、最も勤勉で手際の良い「紅小鬼」(給仕の少年兵)が召し使いとして選ばれていた。李克農は、これらの「小鬼」たちに、お茶の入れ方、衣服の掛け方、机の拭き方、掃除の仕方まで、手取り足取り教え、少しでも行き届かないところがあってはならないと考えていた。

 彼はスノーに、毛沢東が住む窑洞(やおどん:洞窟住居)が、スノーのために用意された窑洞よりもずっと質素であることを見せた。このことで、スノーは深く感動させられた。

 中国共産党のこうした工作によって、見返りを得た。スノーが著した『中国の赤い星』は西側のジャーナリズム界に衝撃を与え、米国全土に中国共産党への好感を生み出した。後に、アメリカは調査団を延安に派遣したが、彼らが見聞きしたものは、スノーと同様に、すべて中国共産党が入念に準備した演出だった。今日でもこの手法は続いており、ただしスノーはすでに亡く、対象は中国から莫大な利益を得ることを望むアメリカの政界、財界、科学技術、教育、法律、金融、情報などあらゆる分野の人々(「黙示録」でいう「地上の商人たち」)に変わっている。

 当時すでに中国共産党に好感を持っていた米国は、中国共産党に内戦用の武器装備を提供しただけでなく、抗日戦争が終わったばかりの1945年8月25日、アメリカ軍は飛行機で鄧小平、林彪、劉伯承、陳毅、聶栄臻などの中国共産党の将軍たちを、緊急に延安から東北・華北の前線指揮部へと空輸した。これは米国が国民党の先遣隊を空輸するよりも一日早いものであった。米国政府の当時のこの過ちは、蒋介石の国民党が中国内戦で中国共産党(毛沢東)に敗れる伏線となった。

 1949年、蒋介石は余儀なく中国本土を離れ台湾へと退いた。台湾で蒋介石は過去を静かに振り返り、人間世界における共産主義の現れが、まさに「黙示録」の預言を実証していることを見出した。「サタンは必ず牢から解き放たれ、出てきて地上の諸国を惑わすだろう」と。蒋公は人類に警告した。「共産主義は神が宇宙を創造して以来、人類が直面している最大の災禍である」

 1993年から2009年、ソ連と東欧が崩壊し、2001年には中国がWTO(世界貿易機関)に加盟した。マルクスの「共産党宣言」が宣言したように、共産主義は幽霊である。幽霊は標識を掲げて堂々と現れることはなく、気付かれにくい場所に取り憑くものだ。中国共産党(鄧小平政権)は「改革開放」を掲げ、韜光養晦(とうこうようかい、訳註:実力を隠して時機を待つ)、世界に中国共産党がすでにイデオロギーを放棄したと誤解させ、世界との融合の中で民主と自由の道を歩むだろうと誤解させた。これがその時期に幽霊が人を通じて行動した方式であった。

 近年、経済発展に伴い、中国共産党(習近平政権)は韜光養晦を止めた。今度は「一帯一路」「人類運命共同体」の旗印を掲げ、グローバルに統一戦線工作を展開し、世界への浸透を進めている。

 2018年のアメリカ議会の「米中経済安全保障調査委員会」(US-China Economic and Security Review Commission, USCC)が公開した『中国共産党の海外統一戦線工作』報告は、統一戦線は世界各国に対する「最も破壊的で最も反民主的な中国共産党の浸透活動」であり、「(中国共産党の統一戦線の)目的はアメリカ人を変質させ、アメリカ政府の利益に反対し、アメリカ社会の利益に反対させることにある」と指摘している。報告によると、ここ数年で中国共産党は約4万人の統一戦線工作幹部を増員したという。

 多くのアメリカのジャーナリスト、学者、政治および軍事指導者が、いわゆる「交流」のために中国本土を訪問している。中国共産党の「友好関係構築」(つまり統一戦線工作と浸透)の手法において、中国共産党は心理戦、美人計、金銭計、苦肉計、罠の策などあらゆる術策を用い、何らかの利益を求め、幻想を抱く人に対して、ほとんど例外なく術中にはめている。中国共産党から見れば、あなたに欲しいものがあれば、「陥落させる」のは時間の問題に過ぎないのである。

 現在、共産主義の表と裏の流れがアメリカの体制に充満し、伝統メディア(legacy media)、専門家・学者から政府官僚まで、中国共産党の擁護者となり、中国共産党から利益を得ている者が至る所に存在している。

 すでに1960年代に、蒋介石は『共産党は人類最大の敵』という文章で指摘している。「共産主義の拡張の速さは、人々を驚かせるものである。8億5千万人をキリスト教に帰依させるのに1900年以上かかったが、わずか40年の間に、世界の人口の半分が『鉄のカーテン』の中に閉じ込められた。第二次世界大戦終結後の15年間で、すでに8億の人口が共産主義の奴隷的暴政の下で生活している。その侵略の歩みは、時とともにますます速度を増している」と。

 蒋介石が言及したその40年は、共産主義が自国民に対して暴力的専制を行いながら、韜光養晦し、台頭の機会を窺っていた過程であった。

 しかし2004年、奇書『九評共産党』がアメリカで発表され、中国共産党の悪魔的な術策が、歴史上初めて包括的かつ体系的に暴露されたのである。

 2017年、『共産主義の最終目的』という書籍がアメリカで発表された。

 2018年、『悪魔が世界を統治している』という書籍がアメリカで発表された。上記の三冊の書籍は、共産党、共産主義、悪魔による世界支配のいきさつを体系的に説明し、現状を明らかにすると同時に、悪魔と友となり、「悪魔」と取引をすることの重大な代償を人々に示し、アメリカと世界に警鐘を鳴らしているのである。

 アメリカの建国の父ジョージ・ワシントンはかつてこう言った。「自由が放縦によって失われる時、専制の魔が最も容易に虚に乗じて入り込む」と。

 2025年、この世界は共産主義が実現しようとする究極の目的まであと一歩のところにある。頭脳を冷静に保ち、中国共産党を代表とする共産主義の悪魔の様々な仮面(「微笑み」「ビジネス」「戦狼」その他の形態を問わず)を見破り、もはや中国共産党に輸血せず(金銭と市場を提供せず)、中国共産党にさらなる発展と生存の機会を与えないことによってのみ、共産主義というこの神を冒涜し人類を破壊する最大の悪魔は完全に消滅し、各国は新たに神の恩寵を得て、真の自由と尊厳を回復し、真の博愛、民主を享受することができるのである。

 冒頭で述べたように、『ヨハネの黙示録』には「また私は、御使いが天から降りて来るのを見た。彼は底知れぬ所の鍵と大きな鎖とを手に持っていた。彼は、悪魔でありサタンである竜、すなわち、古い蛇を捕らえ、これを千年の間縛り」(黙示録20:1-2)とある。

 その解は現在になり、あきらかになった。神とその大天使たちを核とする正、そして中国共産党の赤龍を核とする邪の決戦は1999年の夏にすでに始まり、最後の戦いのファンファーレも2024年に吹き鳴らされたのだ。

 最後の大審判が下される時、造物主は私たちの人生をどのように評価するであろうか。天国への帰還、永遠の生命を得る結末は、各人が人生、国家、人類の重大な問題において、自身の正しい選択によって勝ち取るものだ。

 
翻訳原文(中国語):https://www.minghui.org/mh/articles/2025/2/14/490713.html
 
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