世界は中国共産党解体の大きな流れの中で目覚める(一)
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文/艾普生

 【明慧日本2025年4月18日】驚くべき現象があります。1999年、中国共産党の二人の軍人が「超限戦」理論を提唱しました。同じ年、中共は法輪功(ファールンゴン)に対する残酷な弾圧を開始し、「天安門焼身自殺事件」と呼ばれる偽装事件を用いたキャンペーンを特徴としました。現在では、多くの人が法輪功に対するこの弾圧こそが「超限戦」の典型であると認識しています。しかし、この「超限戦」は中国国内の法輪功に対してだけでなく、世界中のあらゆる国や地域にまで拡張されているのです。

 2024年、中共は法輪功に対して新たな「超限戦」攻撃を開始しました。その特徴は、ニューヨークのある西側メディアを通じた一連の攻撃記事の掲載、さらにニューヨークでの法的闘争(訴訟戦)として現れています。中共体制内の良心ある人物の内部告発によれば、「中共は神韻(シェンユン)や法輪功だけを標的にしているのではなく、その陰謀はもっと深く、もっと広いのだ」と言います。

 中共はこの「超限戦」を非常に重視しており、しかも全世界に対して継続的に実行しています。「超限」とは「限界を超える」という意味であり、実際には人類の基本的認識の限界をも超えるもので、これは単なる「手段を選ばない」というレベルを超え、「非人道的」、「人権無視」、「良心の欠如」、「道徳的限界の喪失」、「目的のためには何でもする」という意味合いを持ちます。

 この「超限戦」は中共にとって新しいものではありません。この言葉や概念が登場する以前から、中共はすでに「統一戦線」や「大衆闘争」といった超限戦的な手法を巧みに使いこなしてきました。たとえば、蒋介石の中華民国政府に対する対抗と分断、さらには中共が政権を握った後に行った中国の伝統文化や国民の生活秩序、知識人層に対する攻撃つまり公私合営、土地改革、反右派運動、大躍進、四旧(旧思想・旧文化・旧風俗・旧習慣)の破壊、文化大革命など、いずれも中共の「超限戦」の恐るべき能力と悪魔のような破壊力を示すものでした。

 中共の支配層は、共産主義による世界制覇という最終目標を達成するために、アメリカに対して「超限戦」を仕掛けることで、「東昇西降」(共産中国が上昇し、アメリカが下降する)を実現できると考えています。その直接的な目標は、アメリカの与野党や社会、家庭をさらに分裂させることです。アメリカで神韻と法輪功に罪を着せることは、神と敵対する中共がアメリカを崩壊させ、世界を支配しようとする重要な戦略の一つなのです。ご存知の通り、法輪功は「真・善・忍」という原則に基づいた佛法修煉であり、アメリカでは宗教に分類されます。中共によって四半世紀にわたり集団虐殺と迫害を受けてきた宗教団体を、アメリカのメディアや裁判所を通じて有罪とすることは、アメリカを「神と敵対し、精神的信仰を否定する」落とし穴に突き落とす行為ではないでしょうか? そして、神に敵対する国家がどうして神の加護を受け続けられるでしょうか? この陰険な目的は、アメリカ国民の「アメリカを再び偉大にしよう」という運動とはまったく逆行するものなのです。

 中共の覇権野望

 2021年以降、中国共産党(中共)はこれまでの「韜光養晦(とうこうようかい)」、つまり力を蓄えて表には出さないという戦略を覆し、「東昇西降(中国が上昇し、西洋が没落する)」「中治西乱(中国が統治し、西洋は混乱する)」という流れはもはや逆転不能であり、アメリカの世界的リーダーとしての地位は崩壊し、中共がそれに取って代わると考えるようになりました。

 世界の多くの人々はそれを中共および習近平の誤算だと見ています。しかし長年にわたり、何度失敗しようとも、中共政権は相変わらず“戦狼”のような態度を取り、傲慢で何も恐れず、隠すことすらもはやしようとしません。自由世界の政府にとってこれは理解しがたいことです。なぜなら、たとえアメリカが中共と長年向き合ってきたとしても、中共の党文化やその本質を深く理解していないからです。

 実際のところ、中共の真の考えはこうです。中共が続ける猛烈な「超限戦」の攻撃の中で、世界はすぐに「中治西乱」「東昇西降」の様相を呈し、アメリカは内部崩壊し、中共が世界のリーダーとして君臨するだろう、と。

 なぜなら、中共の権力層自身もまた、党文化によって完全に洗脳されており、次のように信じているからです。つまり、極権体制を通じて、外部からの経済的プレッシャーは国民全体に転嫁できる。外部からの圧力は、国内の国民洗脳を強化する絶好の機会となる。それを「民主主義」と呼んで美化し、国民を団結させて外敵に立ち向かわせることができる。また、あらゆる危機を利用して共産党の支配と核心を強化することができる。こうした深く根付いた共産主義思想、闘争哲学、覇権理念、そして天を畏れぬ精神こそが、西側諸国には到底真似できない「超限戦」の“秘伝の技”なのです。これが中共の思い描く覇権のシナリオです。

 言い換えれば、中共は最初からアメリカを単なる競争相手としてではなく、「共存できない敵」と見なしてきました。「韜光養晦」であれ、「傍若無人」であれ、最終的にはアメリカを打倒して取って代わるという目標なのです。これは中共内部で以前から共有されていた共通認識であり、その明確な戦略目標は2018年に始まり、今日まで一貫して貫かれています。ただ、アメリカ政府内には、いまだにその現実をはっきりと認識できていない人々が多く存在します。

 2017年、世界経済は2011年以来の最速成長を遂げ、2018年にも引き続き全面的な上昇が見込まれていました。中共も中国本土の経済が引き続き力強く成長し、やがてアメリカを超えて世界一の経済大国となり、覇権を握る日は近いと予測していました。このような状況の中、中共はもはや「韜光養晦」も、「ハニートラップ」も、「赤いカーペット外交」も必要ないと考え、仮面を外して袖をまくり、堂々と実力行使を始めたのです。こうして“戦狼外交”が登場したことは、今となっては不思議でも何でもありません。

 “戦狼外交”とは、習近平が2012年に中共中央総書記に就任して以降、中期から後期にかけて打ち出した挑発的かつ強硬な外交政策を指す言葉です。たとえば「9.11の教訓を忘れたのか」「目を突かれないように気をつけろ」といった、外交の場とは思えない過激な発言が特徴です。中共自身も「戦狼」という呼称を受け入れています。この戦狼外交の根本的な動機は、「中華民族の偉大な復興を使命とし、中国特色ある大国外交を推進する」という政策に基づいており、その重要なコンセプトの一つが「敢えて剣を抜け(=臆せず対立を恐れず戦え)」なのです。

 “秘伝の技” 超限戦

 『超限戦』という書籍は、中共の軍人である喬良(チョウ・リャン)と王湘穂(ワン・シャンホ)が1999年に出版したもので、翌年にはなんと10回も重版されており、中共がこの本をどれほど重視していたかがうかがえます。さらに2016年、この二人は続編として『超限戦と対超限戦:中国人が提唱する新たな戦争観にアメリカはどう対処するか』という本を出版しました。この書籍では「仮想敵」としてアメリカが名指しされていることは、誰の目にも明らかです。1999年から現在に至るまで、中共は「超限戦」をさらに細かく、深く応用し続けています。「仮想敵」と言いながらも、実際にこの「超限戦」は現実のものであり、本当に実行されているのです。

 超限戦はすべてを「武器化」する秘伝の技。超限戦とは、あらゆる分野の資源や技術を武器化し、「戦争」の目的を達成するために手段を選ばない戦略です。そこには「前線と後方」や「軍人と民間人」の区別がなく、国家や国境の区別すらもありません。道徳や倫理の制限もなく、誰であっても、どんな施設であっても攻撃対象になり得ます。しかし、常識ある人間は、普遍的な価値観を持ち、善悪や是非の判断、道徳的な一線があります。ゆえに、超限戦を実行するには、極端な専制支配と、全国民レベルでの洗脳が前提でなければ実現不可能なのです。だからこそ、ほぼ確実に言えることは「超限戦」の前では、正常な人間ほど常に予想外の展開に衝撃を受けるということです。

 インターネット上には、劉振志という名義の署名記事《超限戦の歴史的継承と覇権主義への警鐘》があります。この記事では、「アメリカや台湾が中共の手法を逆用して“その手で仕掛けた罠で仕返し”できるのか」という問いに対して、こう答えています。「《超限戦》は中共の“唯一無二”の秘伝の戦法であり、中国共産党という背景がなければ決して生まれ得ない戦略・戦術・戦法思想である。他国の者が真似しようとしても不可能である」

 ではなぜ、他国の者が真似しようとしてもできないのでしょうか?

 一つ例を挙げます。アメリカが2001年に「9.11」テロ事件を経験した直後、ある在米作家が中国本土から来た友人をもてなしていたときのことです。その友人は911事件について語る中で、率直かつ心から、事件の首謀者たちに対する称賛を述べました。「少数が多数に勝ち、弱者が強者を倒す──奇襲による典型例」として、13人の命と引き換えに2996人を殺害し、アメリカの金融業に壊滅的打撃を与えたこと、そしてなにより「アメリカが同じ手段で反撃できない」ことを高く評価していたのです。

 このエピソードの中の「友人」の発言とその考え方には、善悪や道徳の観念がまったくなく、完全に中共独裁の立場に立った視点で語っていたのです。しかもその人は普段、“改革”や“民主化”を支持しているように見える人物でした。このような簡単な例からでも、中国人が中共によっていかに深く洗脳され、しかもその「人格の分裂」に自覚がないかがよくわかります。中共の「党文化」による洗脳がいかに巧妙か、その効果の大きさがうかがえるのです。これこそが、中共が百年近くにわたり国民全体に対して行ってきた「思想改造」や「洗脳教育」の結果なのです。世界に、これほどまでに特殊な“党文化”を持つ政党が他にあるでしょうか?

 (続く)

 
翻訳原文(中国語):https://www.minghui.org/mh/articles/2025/1/15/488334.html
 
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