文/中国の大法弟子
【明慧日本2025年5月2日】2019年7月のある日、午前中、私は外へ出て真相を伝えていました。正午ごろ帰宅すると、妻が「さっき公安局の警官が2人、あなたを訪ねて来て『出かけている』と伝えたら、『少し待つ』と言って、11時半までいたけど帰ってこなかったから、『午後2時にまた来る』と言って帰っていったよ」と言いました。それを聞いて、強い恐怖は感じませんでしたが、やはり心は少し落ち着きませんでした。
私は心を静め、自分に問いかけました。「長年、師父に導かれて修煉してきた。法理に対する理解を深めてきたではないか。師父の教えは真実であり、法の力の具体的な表れだ。弟子が正念正行すれば、師父が必ず守ってくださる」と正しい一念を持ちました。
「それなら、なぜ心が不安なのか?」そう思ったとき、自分の中にある「恐怖心」に気づきました。そこでさらに考えました。「この状況こそ、恐怖心を修めて取り除く絶好の機会ではないか」。そう思った瞬間、心が晴れ、覚悟が固まりました。「正念正行で臨もう」と。
午後2時頃、彼らは再びやって来ました。私は丁寧に彼らを家に迎え入れました。彼らは名乗りを上げました。以前から名前を聞いたことのある人物で、1人は国保の大隊長、もう1人は政治委員でした。私が「どのようなご用件でしょうか?」と尋ねると、「煉功に関することと、その他いくつかの件について話がある」と言いました。これを聞いた私は「こうしてお2人のような幹部の方と、落ち着いて話せる機会はなかなかありません。少し伺いたいことがあります」と先に話し始めました。
「お二人は法を執行する立場にある方です。であれば、中国憲法に明記されている『信仰の自由』についてもご存じのはずです。私たちが法輪功を信仰するのは、まさに憲法によって保障された権利です。そして、私たちは大法の真・善・忍の原則に従って、善良な人間として生きるよう努めています。例えば、売春、賭博、麻薬といった社会の悪には、煉功者は一切関わりません。詐欺、盗み、人を騙すこともしません。私たちの師父は、寛容と忍耐を大切にするよう教えています。親を敬い、家族と仲良くし、近隣とも和やかに接し、口論も暴力も避けます。どんな環境にあっても善良な人間であるよう、私たちは努力しています。大法のどこが悪いのでしょうか? 私のどこが間違っているのでしょうか?」彼らはしばらく沈黙し、複雑な表情を浮かべました。そこには善意も感じられましたが、言葉にできない葛藤のようなものも見えました。やがて、一人が「その点については、私たちも理解している」と言いました。
しかし彼らは続けてこう言いました。「それでも話さなければならないことがある。それが私たちの仕事だ」と。私は「話すのは構いませんが、ここでお話しましょう」と答えました。すると彼らは「この場所ではなく、局で話す必要がある」と言いました。私はきっぱりと拒否し、「私は行きません。ここで話してください」と伝えました。しばらく説得が続きましたが、私の態度が変わらないのを見て、彼らは電話で若い警官を4人呼び出し、私を強制的に公安局へ連行しました。
取調室では、彼らが椅子に座るようにと促し、「これはあなたが書いたものですね?」と一通の書類を見せてきました。見てみると、それは2015年に私が手書きした「江沢民を訴える訴状」でした。「はい、私が書きました」と私は答えました。すると彼らは、「国家としては、このような行為を『国家指導者に対する濫訴(らんそ。無法な訴訟)』と定義している」と言いました。私はこう答えました。「憲法には公民の信仰の自由が保障されています。江沢民は何の法的根拠もないまま、その権利を奪いました。権力を利用して法を曲げ、信仰を弾圧したのです。私たちは法に基づき、事実をもとに訴えたまでです。これを『濫訴』と呼ぶのは筋が通りません」。国保の大隊長は「あなたたちの立場では、そういう見方もあるかもしれない」と言いながら、「だが、今日はあなたが協力的ではないということで、上層部が怒っており、行政拘留10日間の処分を下すよう命じてきた」と告げました。そのうえで、供述調書への署名を求められましたが、私は署名をしませんでした。
午後6時頃、公安局での取り調べも一段落しましたので、私は担当の政治委員の方に「トイレをお借りしたいのですが」と伝えました。担当者は快く案内してくれたので、私は軽く合図をして「一緒に来ていただけますか」と声をかけ、トイレへ向かいました。中に入ってから、私は静かに語りかけました。「政治委員さん、あなたのような方なら、きっと物事の本質が見えているはずです。今の共産党のやっていることは、まさに道理に反し、天意に逆らう行いです。天はすでに中共を滅ぼそうとしています。中共に入った人は、その一部と見なされ、一緒に滅びることになってしまいます。仮名で構いませんから、今ここで党を脱退しましょう。そうすれば、未来に希望が生まれますよ」と。彼はためらうことなく、すぐに「分かりました」と快く応じてくれました。その後、私たちは私的な会話の中で、現代社会に蔓延する様々な乱れた現象についても意見を交わしました。彼は私の話に深く共感し、さらに「習近平は、これからどうなると思いますか?」と尋ねてきました。私は、「誰であっても関係ありません。共産党を見限り、手放せば未来があります。逆に、しがみついている限り、そこに未来はありません」と答えました。彼は大法弟子に対して好意的な印象を持っているようで、思わず自分に言い聞かせるように「本当に、民間には優れた人がたくさんいるんですね」とつぶやいていました。
その後、私は別の機会を見計らい、国保の大隊長にも「大隊長、あなたも党から退いて、平安を手にしましょう」と声をかけました。彼は一瞬考えてから、「今はまだ退くわけにはいかない」と言いました。私はすかさず、「これは組織に届けるような話ではありません。天に向かって、心の中で退けばいいのです」と伝えると、彼は「それなら問題ない」と答えました。私は心から祝福の言葉を伝えました。こうして、二つの尊い生命が救われたことに、私は深い喜びを感じました。
その後、私は病院で健康診断を受けたあと、留置所へ送られることになりました。移動の車内には私を含めて5人が同乗しており、その途中、車に乗り込んできた若い警察官2人に対して、私は真相を語り、「三退」を勧めました。そのうちの1人は三退に応じてくれました。この間、大隊長も政治委員も何も言わず、私の行動を黙って見守っていました。まさに、衆生が目覚めつつあり、大法の救いを待ち望んでいるのだと実感しました。
留置所に到着し、引き渡しの手続きが行われました。その際、留置所の所長が「お2人さん、また動き出したんですか?」と冗談まじりに言いました。すると国保の大隊長は苦笑しながら、「いやぁ、上からの圧力には逆らえなくてね。でなきゃ、こんな人たちを捕まえる理由なんてないですよ」と答えていました。引き渡しが完了すると、彼らはそのまま留置所を後にしました。
留置所の環境は、どこか陰鬱で不気味さを感じさせるものでした。監視カメラが隅々に設置され、灯りは常に点いており、部屋の天井には対角線上に監視カメラが2つ設置され、何をしていても見られている状況でした。環境は変わっても、新しい場所に来たからといって、大法弟子としての姿勢は決して変わってはなりません。心を修めること、そして衆生を救うという信念は変えてはならないのです。
留置所の部屋に入った時、さっそくある人から「どうして入ってきたの?」と聞かれました。私は率直に、「法輪功の修煉をしているからです」と答えました。それからの日々、私は大法の基準に従って行動し続けました。部屋の掃除はいつも私が真っ先に行い、食事も他の人が取り終えてから自分が受け取りました。困っている人がいればできる限り手助けをし、人との関わりを通して、互いに理解し合えるよう心がけました。しだいに周囲の人々も私のことを理解し、認めてくれるようになりました。年齢的にも私が最年長であったこともあり、若い人たちが興味を持って「法輪功ってどうやって煉功するの?」と尋ねてきました。私はこう説明しました。「法輪功は修煉です。『修』は心を正し、善に向かうこと。どこにいても良い人間であることが求められます。『煉』には動功と静功があります。煉功によって身体が健康になり、全身の気の流れが整います。私は十数年間、薬を一錠も飲まずに健康を保っています」。その会話を、他の人たちもじっと耳を傾けて聞いていました。
若者の1人がこう言いました。「あなたを見てると本当に元気そうで、顔色もよく、まさに修煉してる人って感じですね。法輪功っていいんじゃないですか」。これを聞いて、私は「法輪功はもともと良いものであり、最も正しいものです。それを迫害しているのは、江沢民と中国共産党の陰謀です」と答え、そして続けて話しました。共産党がなぜ法輪功を受け入れられないのか、どうして一党独裁を守ろうとし、どのようにして法輪功に濡れ衣を着せてきたのか、そして彼らが天に背き道に反して、数々の悪事を働いてきたかについて。さらに、善良に大法と接することが自らの命を大切にすることにつながるということ、そして「天が中国共産党を滅ぼす」と言われる理由を話し、「人はなぜ三退すべきか」についても伝えました。「共産党の組織に加入しているということは、その一部であるということ。天がその組織を滅ぼすとき、その中にいる人も共に滅びてしまうのです。自らの命を守るためにも、三退してそれらの組織を離れるべきなのです」
それ以後毎日、私は留置所の人たちに一人ひとり丁寧に三退を勧め、同時に留置所の職員たちにも真相を語りました。「大法に善意をもって接すれば、きっと福報がありますよ」と。あっという間に十日が過ぎ、留置の最終日。朝8時の始業後すぐに、所長が私の名前を呼び、「荷物をまとめて出る準備をしなさい」と言いました。手続きを終え、最後に皆へ軽く会釈しながら挨拶をし、所長が私を正門まで見送りました。私は合掌しながらこう言いました。「あなたに必ず福報がありますように」。すると所長は「私は法輪功を修煉してはいないけど、良い人間になりたいと思ってるよ」と笑いました。門の外に出ると、家族がすでに車で待っていて、そのまま無事に帰宅しました。
帰宅すると、妻があることを話してくれました。「あなたが連れて行かれた夜の9時過ぎに、誰かがドアをノックしてきました。誰ですかと聞くと『公安局です』と答えました。私がドアを開けて中に入ってもらったら、留置証を手渡されて、『今日一日、この件で私たちはずっと動き回っていて、夕飯もまだなんです。でもご高齢ですから、心配して直接お届けしました。あまり気に病まないでください。大したことじゃありませんから。それに、あなたたちは人として恥ずかしいことなんてしてないじゃないですか。だから、何も恥じることなんてないんです』と、優しく声をかけてくれたのです。ありがたいことに、しばらく言葉を交わしてから帰っていきました」
私はそれを聞いて、胸がいっぱいになりました。師父は、天上でも人間界でも法を正しておられ、すべての歪んだものを正してくださっているのだと、深く実感しました。大法弟子は20年以上にわたり、師父を助けて法を実証し、真相を明かし、数えきれない衆生を目覚めさせてきました。そして人々の大法に対する認識も変わり、大法と大法弟子に善意を持つようになりました。これはまさに、衆生にとっての福なのです。