【明慧日本2021年4月24日】(香港=明慧記者・李慧)香港は人権を抑圧するため「香港版国家安全法」を強行に実施し、多くの香港人は希望を見出だせずにいる。 実際、香港が中国共産党(以下、中共)の手に戻って以来、19年前の香港警察による人権の抑圧が始まった。 香港の「楊美雲事件」について、楊さん本人は当時の忘れ難い体験を振り返り「一人一人が心の中で大丈夫だ、行けると言って頑張れば、自由と光は必ず示され、暗闇は過ぎ去ります」と語った。
中共が香港で厳しく迫害を始めたのは、2002年が初めてである。「楊美雲事件」は「阻街事件(通行妨害)とも呼ばれてる」が発生した当時、一時的に世間を騒がせた。この事件の中で楊美雲さん、そして楊さんと関わった法輪功学習者(以下、学習者)は香港政府によって虚偽の告発をされた。その後、学習者は弛むことなく各界にその事件の真相を伝え続けると同時に、一審の判決を不服として控訴した。高裁は一審の判決を覆し「阻街事件」の罪名は成立しないとの結審に至った。この事件は後に香港の人権保護事件となった。
また「楊美雲事件」の判決は、これまで香港の自由のための闘争において、非常に重要な判決であると考えられており、香港大学法学部の必修科目のカリキュラムの一つに入れられている。この事件の当事者・楊美雲さんは学習者であり、長年にわたりセントラルとアドミラルティで新聞を配布し、法輪功迫害の実態を伝えて20年になる。 彼女のこの経歴は、中共による20年以上の法輪功への弾圧にもかかわらず、無数の香港の学習者が弛まず法輪功迫害の実態を伝え続けてきたことを反映している。
最近の楊美雲さん |
楊美雲さんは教師で、香港の伝統的な大家族の中で育てられた。楊さんの叔母は、香港で女性として初めて直接選挙で市議会議員に選ばれた楊励賢氏で、正直で高潔な人柄であった。楊さんは幼い頃から家族の影響を受けて、良い人になりたいと思ったという。
体が弱くて病弱で、小柄な体は痩せているがゆえに、楊美雲さんは人との付き合いにおいては慎重で、自分の気持ちを表現することが出来なかったという。 1998年、オーストラリアの叔母から法輪功を紹介された楊さんは「法輪功を学び始めた後、私は本当に体が良くなりました。以前の私には力がありませんでしたが、 法輪功を修煉してからは、重い物を持つことができるようになりました」と語った。
しかし小柄な楊さんは、いつも人に心配をかけていた。ある日、楊さんは派出所に新聞を配りに行くと、警官の1人が彼女を見て「楊美雲さん、リヤカーになぜそんなに多く新聞を載せているのか、見てごらんなさい、この新聞の高さは、背の低いあなたと同じぐらいの高さになっているが、こんなに重いのに引っ張っていけるのか」と言った。楊さんがリヤカーを軽々と引っ張っているのを見て、警官は「素晴らしい!」と褒め称えた。楊さんは「私のようになりたいのであれば、法輪功を修煉しましょう!」と言葉を返した。
江沢民の「容赦なく殺せ」の秘密命令に16人の勇士が抗議
2002年3月5日午後8時、吉林省長春市で、世界を震撼させたテレビの電波ジャックが発生した。 長春ケーブルテレビ網の8つのチャンネルに、法輪功迫害の真実を伝えるテレビ映画「焼身自殺? それともやらせ?」と「法輪大法が世界に広く伝わる」を同時に放送した。
この電波ジャックによる迫害の実態をテレビで放送した後、当時、中共の頭目・江沢民はひどく怯え、学習者を「恩赦なく殺せ」との秘密命令を出した。 長春市全体に戒厳令が敷かれ、学習者に対して大規模な逮捕を行なった。5000人以上の学習者が拘禁され、少なくとも7人が殴り殺され、15人が4年~20年の禁固刑を宣告された。
中共の迫害がエスカレートし、人命に関わる重大な局面に直面して、香港を含む世界中の学習者は、自発的に中央政府駐香港連絡弁公室(以下、中共弁公室)の前で抗議活動を行った。
2002年3月14日、スイスの学習者4人が北京に陳情に行くことを決めたのだが、中共によってビザが不当に取り消されたため、中共弁公室の前で 楊美雲さんを含む12人の香港の学習者は平和的に抗議活動を行った。
中共弁公室前でスイスの学習者と香港の学習者は平和的に請願を行った |
2002年3月14日、楊さんは忘れられない経験をした。中共弁公室の圧力を受けた香港警察は、およそ70人の警官を出動させ、暴力で坐禅をしていた学習者を強制連行した。この過程で頭を抑えたり、首を絞めたり、指で学習者の耳の後ろにあるツボを押したり、腕をねじるなどの方法を使った。スイスの学習を含めた8人の学習者が負傷した。彼らはめまい、吐き気、全身の痛みを感じて呼吸ができない状態に陥た。
小柄な楊さんは最初にパトカーに乗せられた学習者である。この時、十数人の学習者は連行されないように互いに手をつないでいた。しかし、警官は最も小柄だった楊さんから連行し始め、1人を連行すれば、後はやりやすくなると考えたようだ。
楊さんはこのように回想した。「私はおかしいと思い、なぜ、あなたたち警官は、私から連行するのですか? と言うと、彼らは『あなたは小柄で扱いやすいからだ』と答えました。私は彼らに『あなたたちの行為は間違っている。私たちの活動は合法なので、私たちは平和的に請願を行なっただけです』」と話した。
楊さんは補足して「請願するとき、私たちはとても平和的で理性的に行っていました。私たち学習者は如何なる場合でも平和的に理性をもって活動しています」と話した。
楊さんは警察署に拘束され、言い分があれば言うように警官に言われた。楊さんは香港の行政長官・董建華に書簡を送った。「学習者は平和的に請願を行っただけで、法律に違反しておらず、なぜ学習者を無理やり連行するのですか、同時に学習者は無罪です」と強調した。
警察や裁判所に真相を伝え 真実を明確にする
香港において平和的に請願して強制連行された学習者は、楊さんが初めてである。楊美雲さんは、最初は私に理由も言わず、1人で警察署に連行されたことにとても恐怖を感じ、不当な扱いを受けたと言う。特に楊さんは教師なので、以前は生徒たちに「警官は治安を維持し、公平的に職を遂行している警官を尊敬しなければならず、皆さんが自己規律出来るように」と学生に教えていた。しかし今の楊さんはそうは思わなくなり、警官は理由もなく私を連行し、犯罪を犯していない私は警察署にいるべきではないと思ったという。
「阻街事件」が発生した後、中共弁公室は玄関の周りに花壇を造り、抗議の空間を狭くした。
2002年8月15日、スイスの学習者を含む16人の学習者は「阻街」など7件の罪で、それぞれ罰金1300香港ドルまたは3800香港ドルと判決を言い渡された。これは学習者が平和的に陳情しただけで、執拗に刑事犯罪の有罪判決を受けたのは初めてのことである。 この事件は、香港社会の各界および国際社会の注目を集め、香港における表現や集会の自由にも影響を与えた。
「阻街事件」の審理中に裁判所の前で平和的に請願する学習者たち |
不当な判決に対して、楊さんはと学習者は18地区の警察署と関連部門に真相を伝え続けた。楊さんは毎日裁判所の前で、真相パネルを展示して往来する人々や法曹界関係者に真相を伝えていた。そして関係各部門や警官に手紙を出し、このように学習者に対処しないように求めた。「私たちに罪はなく、私たちに「阻街」という罪の判決を下すべきではありません。私たちは正々堂々と煉功しており、体にとっても、社会にとっても、人々にとっても良いことです。体が元気になれば病院に行く必要がなくなり、政府のためにも医療費の節約となり、煉功することの何が問題なのでしょうか? また、多くの人は煉功してから心が穏やかになり、体が健康になって爽快になり、性格が悪かったのがよくなりました」と手紙の中で述べた。
3年間の上告を経て、2005年5月、高裁は学習者は無罪であると確定した。判決文には「一般道路利用者は、抗議の自由を行使する抗議者を受け入れることが法律で定められている」とはっきりと記した。同時に 検挙者は『基本法』及び『香港事件法案』で保障された市民集会や抗議の自由を考慮しなければならないと強調した。この判決は、香港人を不当な訴追から守り、香港の言論の自由を守るための重要な防衛線であると各方面から評価された。
「阻街事件」が勝訴した後、今は亡き香港市民愛国民主運動支援連合会の会長・司徒華氏は「アップルデイリー」にコラムを書き「法輪功はすべての香港市民のデモの権利を守るために善戦し、大きな勝利を収めました」。「彼らは確かに『真・善・忍』に基づいてに実行してきました」と称賛した。
3年の抗争の道のりを振り返り、楊さんに取って最も大きな挑戦となった。中共の虚言に騙された人々に法輪功の真実を知ってもらい、法輪功を修煉する人は良い人であり「真・善・忍」を修めていることを理解してほしいと話した。
香港人「学習者から希望が見えている」
楊さんは、その当時どのように乗り越えたかを回顧した。彼女は「その当時私は恐れていて、乗り越えることができるかどうか自信がなく、もし、この裁判に負けてしまえば、私たちは請願することができなくなり、発言できなくなります。人権の憲法は最も重要であり、もし1人の人間の人権がなく、人生の権利がなく、言論の自由がなくなれば、どうすればいいのでしょうか?」と率直に話した。彼女は良く行ない必ず勝利すると自分に言い聞かせた。「一人一人が心の中で大丈夫だ、行けると言って頑張れば、自由と光は必ず示され、暗闇は過ぎ去ります」と語った。
楊さんは、学習者は正々堂々としていて、まったく心配していなかった。最も重要なのは自分の良心に背かないように、自分の責任を負うことだという。「あなたの生命はあなた自身でコントロールするべきで、他人にコントロールされ、操られてはなりません。あなたが行ったすべてはあなた自身が責任を負わなければなりません」と話した。
香港のせせこましい生活環境の中で、学習者は常に香港人の身近にいる。楊さんは「香港市民は私たち学習者が迫害される中で、依然として横断幕を掲げて真相を伝えているのを見て、香港人は『学習者の決意の強さを目の当たりにして、何かに守られているようで、安心感と希望を感じていた』と話していました」と最後に話した。
中共の抑圧を恐れず、人々が素晴らしい未来を迎えられるように法輪功迫害の実態を伝え続ける香港の学習者 |