文/何義
【明慧日本2025年4月12日】中国共産党(中共)は最近、アメリカの神韻芸術団や法輪功に対して集中的な攻撃を仕掛けており、外部から大きな注目を集めている。今回の中共による法輪功への攻撃は、1999年に江沢民が行ったものとは理由が異なる。江沢民の場合は、完全に個人的な嫉妬心からの弾圧だった。しかし、今回の中共の目的は、アメリカを破壊し、アメリカに取って代わって世界一の強国になることにある。そして、その過程で法輪功への迫害という歴史的な罪をアメリカに擦り付けようとしているのだ。つまり、これは中共の最終的な反米戦略の一環なのである。
(前文に続く)
前文での歴史的な振り返りは、清朝の時代から、アメリカがどのように中国人民を援助し、支えてきたかを簡潔にまとめたものである。もちろん、その中にはアメリカによる3度にわたる重大な対中共宥和(ゆうわ)政策も含まれている。1945年のヤルタ会談では、アメリカが中共に対して宥和的な態度をとった結果、中華民国の主権が損なわれ、ソ連(ソ共)が多くの利益を得た。その後の2年間、アメリカのトルーマン大統領はマーシャル将軍を派遣し、国共内戦の仲裁を試み、蒋介石に対して中共との協力を強要した。アメリカによる中共への甘さと幻想は、中共が中華民国の経済を疲弊させ、最終的にその政権を奪取する結果を招いた。1972年のニクソン訪中、1979年のカーター政権による中共との国交樹立と中華民国(台湾)との断交、1989年天安門事件後のブッシュ(父)政権による中共への宥和政策、そして1999年に中共が法輪功への迫害を開始した後、クリントン政権による中共への宥和と支援政策…。こうした流れを振り返ると、中共が生死の境に立たされるたびに、アメリカは常に善意と援助の手を差し伸べ、中共を危機から救い出し、むしろ中共をより巨大で強大な存在へと育て上げてきたと言っても過言ではない。
今日に至るまで、中共(中国共産党)はすでにアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国となっている。中共は、「百年に一度の大変革の時代において、『東昇西降』(東洋が盛んになり西洋が衰退する)は歴史の必然である」と宣伝し、天がアメリカに与えた世界的なリーダーシップの地位を公然と侮辱し、軽視している。
三、アメリカへの恨みと反米 恩を仇で返す中共
この80年間、アメリカは一貫して中共を助け、中共に対して平等・友好・民主という幻想を抱き続けてきました。では、そのアメリカに対して中共はどのように対応してきたのか?
実際には、中共は感謝するどころか、逆に中国国民に対してアメリカへの憎しみと敵対心を煽り続け、あらゆる手段でアメリカに浸透し、混乱させ、さらには「超限戦(ルール無用の戦争)」の最も非道徳的で非人道的な手段を使ってでもアメリカを破壊しようとしてきた。そうした事例は数えきれないほど存在する。
1945年、中共は国民党と戦う自らの立場にアメリカを取り込むため、延安の『新華日報』で7月4日(アメリカ独立記念日)に「民主の賛歌――アメリカ独立記念日に捧ぐ」という文章を掲載し、こう語った。「幼い頃から、我々はアメリカという国に特別な親しみを感じてきた。それは、アメリカが中国の土地を強奪したこともなく、中国に対して侵略戦争を仕掛けたこともないからだと信じている……」
しかし、中共はアメリカの宥和政策(融和的な態度)を巧みに利用し、中国の政権を奪取することに成功すると、1949年6月30日、毛沢東は『論人民民主專政』という演説を行い、「一方的親ソ政策」を宣言。ソ連共産党(スターリン)の全面的な指導と支援を受ける道を選んだ。毛沢東は1953年にスターリンが死去して初めて、自分の思い通りに行動できるようになった。
1950年には、中共は朝鮮戦争への出兵を利用し、大規模な政治運動を展開。「アメリカへの敵視・軽蔑・侮蔑」の「三視運動」を全国的に推進した。各地で『アメリカをどう認識するか』という小冊子が配布され、こう宣伝した。「アメリカを憎むべきは、それが中国人民の死敵だからである。軽蔑すべきは、それが腐敗した帝国主義国家だからである。侮蔑すべきは、それが紙の虎(張り子の虎=恐れるに足らない存在)であり、必ず打ち負かすことができるからである……」
『人民日報』は『抗米援朝特集』を設け、4年間で約200回も特集を出した。作家たちは映画・演劇・音楽・詩・小説・絵画など様々な形式で反米宣伝に動員され、各地の工場や農村でも黒板新聞・壁新聞・ポスター・報告会・座談会・糾弾集会・告発集会などを通じて「三視教育」が行われた。
この「三視教育」によって、中華民国時代以来、中国人の間に存在していたアメリカへの親近感は完全に覆され、数世代にわたる中国人の間にアメリカへの憎悪と敵対心、虚妄なナショナリズム(民族主義)が深く根付くこととなった。その結果、1972年にニクソン大統領が訪中し、毛沢東と握手したとき、多くの中国人は呆然とし、精神的ショックを受け、感情的に全く受け入れられなかったのである。
半世紀以上にわたり、中国人は中共の反米プロパガンダに欺かれ続け、アメリカの「邪悪さ」や「腐敗ぶり」は誰もが知っている常識となり、話題にされるほどになった。中米間で起きた軍用機衝突事件、南スラブ諸国の中国大使館爆撃、4度の台湾海峡危機などの国際的大事件に際して、中共は中国国民のナショナリズム感情を巧みに利用し、反米感情を煽り、国内の問題から目を逸らし、アメリカに圧力をかけるという汚い政治的目的を達成してきた。さらに中共は「海外の反中勢力」というレッテルを作り出し、国内の治安維持や民衆弾圧の口実として利用している。
中共はWTO加盟後、貿易経済に関する6大分野74の約束事項を掲げたものの、いまだに一つとして履行していない。むしろ、グローバル化の波を利用して巨額の利益を得て、わずか10年で世界第2位の経済大国となった。中共は輸出補助金、知的財産の盗用、技術移転の強要など不公正な貿易手段を通じて、アメリカから大きな利益を奪い取った。2000年から2016年の間だけでも、アメリカの工業生産はわずか9%しか成長せず、製造業は空洞化し、17年間で約500万件の製造業の雇用が失われた。年間約3000億ドルの貿易赤字が中共に容易に奪われている。
2020年、中共が新型コロナウイルスの発生を隠蔽したことで、ウイルスは瞬く間に全世界に広がった。パンデミックの期間中、アメリカでは110万人以上が死亡し、1918年のスペイン風邪の死亡者数を超え、南北戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦の3つの戦争によるアメリカの死者数の合計に匹敵するものとなった。同時に、アメリカ経済も大きな打撃を受け、2020年の実質GDPは3.5%縮小し、1946年以来最大の年間下落幅を記録した。中共は責任転嫁のため、逆にウイルスは米軍が武漢に持ち込んだと中傷し、再び中国国内でアメリカへの憎悪を煽った。
過去10数年間、中共はグローバル戦略を強化し、アメリカに対して「無音の超限戦」を仕掛け、「一帯一路」への投資はアメリカの欧州援助「マーシャルプラン」の数倍に達し、世界各国を取り込んでアメリカに対抗している。また、「孔子学院」「千人計画」「長江学者」などのプロジェクトを通じて、政治・経済・軍事・文化・教育・外交などあらゆる分野でアメリカへの浸透を進めている。さらに、重要鉱物、AI、量子技術、クリーンエネルギー、バイオ工学、半導体、宇宙産業など国家安全保障に関わる分野でアメリカと世界的な競争を繰り広げている。
中共はすでに世論戦、情報戦、法律戦、サイバー戦など非伝統的な戦争形態によるアメリカへの攻撃を開始している。TikTok、YouTube、Facebook(Meta)などのSNSプラットフォームを操り、アメリカに対する認知戦を展開し、アメリカを内側から崩壊させようとしている。かつて蒋介石に対抗し、中国の愛国青年を共産化した「言論の自由」という看板を用いた手法と同様に、中共は自由世界の民衆に対して中共のイデオロギーを輸出し「中国の物語を語る」と宣伝しながら、一方でアメリカの言論の自由を利用して中共の世論を広め、アメリカ国内の分裂を助長する。そして、アメリカ国内の親中勢力を支援・育成している。
今日では、中国人やアメリカ在住の華僑が「アメリカ」と「中国」という国名を聞けば、ほとんどの人がこの二つの国が敵対関係にあることを知っている。中国人のアメリカ人に対する敵意は骨の髄まで浸透しており、その意識形態の基盤は中共が築いたものである。中共による中国人へのイデオロギー教育は、幼稚園、小学校、中学校、大学、就職、中年、老年、死に至るまで途切れることなく、絶えず注入と強化が行われている。たとえ中国を脱出し、アメリカに移住しても、YouTube、Facebook、TikTokなどに触れざるを得ない。たとえSNSを使わなくても、アメリカの主流メディア(イギリスのBBCを含む)の中国語メディアを通じて、中共のイデオロギーや観点が引き続き発信され続けている。
同時に、中共はさらに、国連、BRICS(ブリックス)、世界銀行、国際通貨基金(IMF)などの国際機関や連盟を操り、中共のために奉仕させており、世界における中共の影響力を拡大し続け、アメリカが国際社会において持つ主導的地位と発言権を弱め続けている。多くのヨーロッパ人が中国市場に対して親近感を抱き、同時にアメリカやアメリカ人に対して軽蔑や反感を持っているという現象は、決して独立した偶然の出来事ではない。
このような全面的かつ徹底的な恩知らずの行為、恩を仇で返す悪行は、中共にしかできないことであり、しかもそれを実行する際に、あたかも堂々とした正義の行為のように飾り立てることまでしている。「人類運命共同体(人類の運命は一つである)」という一言で、すべてを覆い隠し、責任逃れをしているのである。恐ろしいのは、ここ数年の中国経済の発展に伴い、世界中で中共に媚びへつらう者がますます増えていることである。こういった人々は、最終的には自らが中共によって深く害されるだけでなく、自分たちの親中発言や行動が、自国社会にもたらす深刻な悪影響を目の当たりにすることになるだろう。
(続く)