【明慧日本2020年10月14日】今年75歳になった台湾で著名な医師である胡乃文さんは、医術に優れているだけでなく、患者にも親切で、評判のよい漢方医です。多くの患者はあちこちの病院を回って治療しても効果がなく、胡さんにより本当の病因が診断されました。長年にわたって、名を慕って診察を求める患者が遠くから続々とやって来ます。
病気そのものが問題ではなく、病気に対する心構えが鍵だと語る胡乃文さん |
胡さんは大学で生物学を学び、神経科学と内分泌学を専攻し、卒業後は薬理学に移り、アメリカのスタンフォード研究所に派遣され、生命科学分野の研究に専念しました。「アメリカの研究所にいる間、図書館で最新の研究情報や科学文献などを調べているうちに、中国医学の中の鍼灸という治療方法を知りました。私は神経科学を学んでいましたので、神経と鍼灸は必ず何か関連があると思いました」
台湾に戻ってから、胡さんは鍼灸の研究を始め、漢方について研究を深めました。鍼灸から黄帝内経まで、いろいろな古くからの経絡治療や診査方法を吸収し、まったく新しい世界に足を踏み入れ、5000年の神伝文化の謎を探究し続けました。長年の努力を重ねて40歳頃に漢方医の免許を手に入れました。
「実は、私は小さい頃から体調が悪く、最も活力があるはずの青年期でさえ、顔色が黄色く、体力もありませんでした。また、ストレスが原因で、常に胃腸の調子が悪く、とても苦しんでいました。 西洋医学を学んでいた時は、いつも栄養剤や健康食品を摂取していましたが、何の役にも立ちませんでした。漢方医になってからは、いろいろな漢方薬を服用して保養に気を付けていましたが、皆表面的な維持に過ぎず、実際のところ、自分の身体の状態は非常に良くないことがよく分かっていました」
西洋医学も漢方の治療方法も効果が得られなかったため、胡さんは各種各派の気功を試し、身体を鍛えて元気を取り戻そうとしました。「私はあちこちを回って探しましたが、50歳頃、ある気功教室で、『法輪功』という気功があると聞きました。しかし、ほとんどの人が法輪功のことを知らなかったのです。私が探し続けた結果、1996年に、法輪功を習ったことのある年配者に会いました」
良い人からスタートする
1997年の初め、胡さんは法輪大法の9日間セミナーに参加し、11月に初めて李洪志先生にお目にかかりました。「当時、李先生は台湾三興国立小学校で講義されていました。李先生は忙しく騒がしい環境の中でも、終始穏やかで優しかったのです。李先生は私たちに、生活の中でも仕事の中でも、どんな時でも『真・善・忍』の基準に従って良い人になり、まずはそこからスタートして、徐々に高い次元の法に従って修めれば、最後に圓満成就することができる」と教えてくださいました。李先生のお言葉をずっと心に刻み込み、それから、一人の修煉者として、日常の中で常に「真・善・忍」で自分を律するようになりました。
少しずつ、胡さんは長年の持病が治ったことに気付きました。特に緊張や、怒り、不安などにより引き起こされた胃腸疾患も消え、元気になっただけでなく、知恵も開かれたようになり、あれほど難しかった医学の古書をより深く理解できるようになりました。
「法輪功を学んでから、鍼灸や漢方などが皆、中華民族の古い文明の知恵の結晶であり、西洋医学よりずっと進んでいることが分かりました。しかし、法輪功はこれらのすべてを遥かに超えており、気功でも宗教でもなく、『修煉』そのものです」と語り、修煉は人類文明の中で、最も遠く奥深い領域であると言います。法輪功は人体、生命及び宇宙の奥深い法理を明らかに示しており、修煉の中で、命を修めることと心を修めること、それに道徳と健康の間の直接な関連性を悟りました。
病気は心により作られ、状況は心により変わる
胡さんは「修煉して間もない頃、ある老婦人が訪れました。その患者はキリスト教徒で、毎日神に懺悔して祈りをささげているそうです。私が『懺悔する時に何を言うのですか?』と聞くと、老婦人は『昨日は誰に怒ったとか、今日はまた誰と仲が悪くなったなどです』と答えてくれました。それを聞き、私はすぐに李先生の説法を思い出しました」
師父は「『そんな忍は実行するのが難しい。わたしはかんしゃく持ちだから』と言う人がいます。自分でかんしゃく持ちだと分かれば、改めればいいではありませんか」[1] と語られました。
病気を治そうとすれば、その前に心の問題を解決しなければなりません。「私は老婦人に、あなたは毎日懺悔をしていますが、悔いだけをして、改めてはいなかったようですね。そのような懺悔はゼロに等しいのではありませんか? と言いました。老婦人は私の話を聞き、心を打たれ、涙を流しました。次回の検診に来た時に婦人は、『あなたの話を聞いて、私は家に帰ってから、かんしゃくを起こすのを改めると、意外にも病気が完全に治りました』と言い、感謝として私に大きなプレゼントをしようとしました。この事例から、もし、法輪功の理に従って実践し、物事を法輪功の教えに則って考えることができれば、すべての病気は実は何物でもありません」
病気は心により作られたものですが、状況も心により変えることができます。人間として、苦しみの中で良くない心を取り除けば、病気の苦しみから抜け出すことができます。胡さんは「ガンを含むたくさんの病気は、漢方の理論によると、過度の喜怒哀楽や恐怖などのストレスが病因の可能性がありますが、それらの心の変動、名、利、情を放下できず、ストレスを生じた結果が病気を引き起こしたのです。ですから、患者と病状について話す時、浅いところでは生活習慣や養生法が正しくないと教えます。しかし、高い次元から患者たちに、心の中の欲望や執着を捨てるように伝えると、病気はかえって治るのです」
病気そのものが問題ではなく、病気に対する心構えが鍵だと、胡さんは自ら「病業」の関を乗り越えた体験を語りました。「ある日の朝、目が覚めると、片方の手と足が動かなくなり、しびれて力が入らないことに気付きました。医学の常識から判断すると、かなり良くない状態です。最初はとても怖かったのですが、私はできるだけこれらの気持ちを排除しながら、『借りがあれば、返さなければいけないのですから、修煉の途中で危険に出会うことはあります。しかし、そういうことが起こった時でも、あなたを恐怖に陥れ、あるいは本当の危険に遭遇させるようなことはありません』[1]。という李先生の言葉を思い出し、『大丈夫、大丈夫だ!』と思いました。すると、この状況を無事に乗り越えることができました」と言いました。
信念を持ち、自分に向けて探す
厳しい関を乗り越える時、試されるのは修煉者の正しい信念です。それに対して、不安や恐怖は常人のもので、修煉者にあるべきではないものです。どんなに表面から見て良くない状況でも、常人のように医師や親に助けを求めるのではなく、第一の念は李先生を思い、法輪功の教えに基づいて考えるべきです。修煉の過程で、信じるか信じないか、それは少しの虚偽も許さず、心性を高め、正念をもってすべての物事に対応すべきだと、胡さんは悟りました。
「修煉して初めの頃、ある若い患者が週に1回か2回治療に来ていました。ある日、私はその患者に『あなたの今の状態を、私は薬で治すことはできません。できれば法輪功を習ってみてください』と勧めました。以前、この若者は家中の窓をテープで密封しなければならないほど、寒さに弱かったのですが、法輪功の9日間セミナーに参加して2日目で、なんと汗をかくことができました。それから完全に回復し、二度と私の診療所に来ることはありませんでした」
「また、ある紅斑性狼瘡(エリテマトーデス)の患者が毎週、台南から飛行機で台北にある私の診療所に来て、治療を受けていました。ある時、私はその患者に『台北に数日間滞在することはできませんか?』と尋ね、法輪功の9日間セミナーを紹介しました。患者はすぐに了承して、セミナーに参加しました。その後、病院に来たことはありません。一方で、一部の患者は固有の宗教や観念を放下できず、法輪功を信じて試みようとしなかった結果、依然として病の苦しみから解脱することができませんでした」
異なる人心によって、異なる状況が現れると同時に、異なる結果をもたらします。師父は「もし第三者が彼ら二人のトラブルをみたら、その第三者も偶然にそれを見たのではないと私は思います。『どうして彼らのトラブルが私に見えたのか? 私自身にも不足しているところがあるのではないか?』」[2]と語られました。胡さんは「私は診療の過程でも、こう考えるようになりました。『なぜこの患者はこの病気になったのか? 彼にはどんな放下できない心があるのか? 私には同じような執着心がないのか?』と、私は毎日このように、自分に向けて探します。5人の患者がいれば、5人の心に放下できないものを考えてみます。50人の患者がいれば、私も50回自分に向けて探し、100人いれば、100回内に向けて探します。患者を診療する過程は、私自身の修煉の過程でもあります」
人生の大半が過ぎましたが、「現在、私の考えはとてもシンプルになっています。修煉者にとって、すべての事は原因があり、それに直面し、しっかり行い、しっかり修煉するだけです」と胡さんは話します。
医療の現場で35年以上頑張ってきた胡さんは、診療のほかにも医学関連の動画に出たり、本を出版したりしています。75歳となった今でも精力的に活動していますが、心の中には一つの願いしかありません。「若い時は名声や利益のために奮闘しましたが、修煉してから、それらの執着心はなくなりました。現在の私は、名利のためでなく、衆生のためにあります。私は自分の行っているすべての事を通じて、多くの人に『法輪大法は素晴らしい』と分かって欲しいのです。これが私の唯一の望みです」
注:
[1] 李洪志師父の著作:『轉法輪』
[2] 李洪志師父の経文:『米国西部法会での説法』