学生の犯罪率が世界で最も高い中国共産党の党校
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文/麓彬 

 【明慧日本2020年11月12日】「遠くから見るとお寺のよう、近くで見ると共産党の党校だ。よく見てみると、そこは腐敗官僚の養成場」という童謡が党校内で流行していたと、十数年前にその学校に通っていた人から聞いた。

 中国は現在、2500以上の大学があるが、中国共産党(以下、中共)の官僚だけを生徒にし、高級幹部を養成するという特殊な学校が全国で6000校以上あることは、あまり知られていない。その名は「党校」という。党校のトップとされているのは北京に設置している「中央党校」で、下記のいくつかの特徴を備えている。例えば、学部生を取らず修士・博士課程の学生のみを入学させる、一般向けに公開しない、「イデオロギー教育」を重視する反面、専門知識の勉強を疎かにするなど。表向きは人民に奉仕するための国家高級幹部を育成するというが、実際には独裁を維持するための各地方の腐敗官僚を輩出している。

 1930年代に設立されて以来、中央党校は中堅幹部と「マルクス主義理論」を熟知する中堅党員を養成するための最高教育機関となっている。今も昔と同じように、入学した学生に「赤い初心を忘れず、共産主義の使命を忘れずに」と教えている。設立以来、数え切れないほどの腐敗官僚を輩出したため、「卒業生の犯罪率が世界一高い学校」と呼ばれ、中国共産党中央委員会委員の犯罪率は一般人の22倍であるとメディアが報道した。

 卒業生の犯罪率が世界一高い学校

 中共の規定によると、省、庁、局、県レベルの現職幹部は5年ごとに党校で勉強と訓練を受けなければならず、若年予備幹部も昇進する前に党校で訓練を受け、高級幹部に昇進する場合、さらに北京に設置している中央党校で訓練を受けなければならない。

 2018年3月の中共の組織改革後、国家行政学院は中央党校に統合され、国家公務員の研修も中央党校で行なうことになった。中共はもともと「党」と「国家」の概念を混同しているが、両校の合併で国家公務員も与党である共産党のシステムに編入されることになった。

 2019年9月7日付の共産党公式メディア「経済日報」の記事によると、第18回中国共産党全国大会以降、省と部レベル以上の役人187人が失脚し、187人の大半は中央党校を卒業しており、その中に各地方の党校の校長を兼務する役人もいる。例えば、公安部党委員会の元委員で政治部主任の夏春源、内蒙古自治区元常務委員の王水義、安徽省元副知事の倪発科はいずれも中央党校を卒業し、法律理論を専攻していた。元四川省副知事の郭永祥、元貴州省常任委員会委員の廖紹華は中央党校の大学院経済管理コースを卒業した人物。元甘粛省党書記の王三運は中央党校の大学院を卒業しており、以前、四川省と福建省に勤務していた際には、それぞれの党校の校長も兼務していた。

 このほか、中央党校の卒業生には失脚した政治家がたくさんおり、例えば悪名高い令計画、徐才厚元軍事委員会副委員長、郭伯雄、季建業元南京市長、譚栖偉元重慶市人民代表大会常務委員会副委員長、陽宝華元湖南省政治協議大会副主席、白恩培元雲南省党委員会書記、萬慶良元広東省党委員会委員、朱明国元広東省政治協議大会主席、聂春玉元山西省党委員会委員、童名謙元湖南省政治協議大会副主席、韓先聡元安徽省政治協議大会副主席などである。

 また、中央党校は薄熙来、周永康、孫正才、蘇栄など多くの悪質な人権凶悪犯を育成した。海外メディアの報道によると、中央党校が共産党の汚職官僚の訓練基地になったのは、「最上級の汚職総監督」と呼ばれる江沢民と大いに関係がある。法輪功に対する迫害に積極的に参加する代わりに、江沢民は各等級の役人に汚職の便宜を提供した。2012年第18回共産党全国代表大会の後に罷免された省と閣僚レベルの高官のほとんどは、法輪功学習者(以下、学習者)の血を手に染めている人物である。

 中央党校は権力と金銭の取引をする犯罪現場と化す

 中央党校は、官僚が学歴を騙し取るための学校だけでなく、権力と金銭の取引の犯罪現場にまでなった。

 湖南省湘潭市の朱紹中元副市長は、2006年9月に中央党校でセミナーに参加する時、2回にわたり9万元の賄賂を受け取り、山東省東営市の陳興らん元副市長は、在学中の2003年と2007年に賄賂を受け取り、遼源市の王洪啓元副市長は、在学中に校内の喫茶店で賄賂を受け取り、安徽省滁州市の張伝権宣伝部長は中央党校で30回以上も賄賂を受け取り、広東省肇東市の趙勝利元共産党書記は2015年3月下旬、中央党校で「勉強」をしている期間に近くのレストランで実業家から1万ユーロ(2015年3月の為替レートで人民元6万8000元相当)の賄賂を受け取っていた。

 曾慶紅と蘇栄がそれぞれ中央党校の指導権を握る頃、中央党校は民間企業の経営者向けの研修クラスを開いて、2006年には1万人近い経営者が入学しピークを迎えた。1回の研修費用は約5000元で、2015年になると、なんと7日間の研修費用は7000元に及んだ。蘇栄は1999年から2001年まで吉林省党委員会副書記を務めていた間、江沢民の法輪功に対する迫害政策を積極的に実行し、2004年、海外の学習者に告訴されて法廷の召喚状を受け取った初めての高官となった。

 中央党校は汚職官僚が犯罪体験を交流する場と化す

 2012年12月、日本の産経新聞は、中央党校が汚職の源であり、多くの党員が五つ星ホテルのような党校で勉強し、汚職の手段を交換していると報じた。

 報道によると、地元で五つ星の豪華施設を備えた「汚職官邸」と呼ばれる江西省党校は、24時間の警備下に置かれており、通行人が学校に近づくとすぐに追い払われる。地元の住民によると、毎日官僚が出入りしているのを見るだけで、中で何をしているのかは誰も知らない。

 頻繁に出入りしている官僚は40~50代で、地方や中央政府での昇進を目指している官僚やエリートばかりだ。党校での研修期間は数日~数カ月で、共産党理論を学ぶ時、赤軍の制服まで着て、「革命」という大義名分で悪事を働く時の感覚をリアルに感じ取ることもあった。創設7年間で、3万人以上の学生を卒業させたと党校は誇らしげに紹介した。

 官僚の間では、「亡くなった親戚の口座を使って金を隠せば、中央規律検査委員会でさえ調査しても見つからない」という「経験」まで交流されており、この党校は、各地から集まった官僚が研修の名の下に豪邸で酒を飲み、犯罪体験を交換している、と地元の人々から常に悪評を浴びている。

 共産党幹部の腐敗は止まらない

 2020年9月17日、中央党校の李君如元副校長はメディアに、「ここ数年、高官の汚職金額は驚くほど大きい」と語った。中央党校で6回も訓練を受けた湖北省の郭有明元副知事の横領金額は、なんと14億元近い。実際には、閣僚レベルの高官だけでなく、地方の低官職の役人でも金を貪っており、北京市豊台区辛荘村の役人・石鳳剛の家からは金の延べ棒31キロ、現金720万元、キャビネットいっぱいのブランド酒、20台の高級車を発見した。中共が崩壊しないかぎり、汚職腐敗事件は止まらない。

 2016年、「山東省警察学院ジャーナル」は、役人の汚職の特徴を下記のようにまとめた。1、ほとんどの主犯は最高責任者である。2、後任者の犯罪は逮捕された前任者よりも深刻。例えば、元河南省交通庁長官だった曾錦城の収賄金額は40万元、後任者・張昆桐の収賄金額は100万元におよび、張の後任者である石発亮の収賄金額は2000万元に上り、石の後任者である董永安の収賄金額は2500万元に及んだ。3、汚職犯罪者はほとんど高い権力を握る部門に勤めていること。4、汚職や贈収賄事件に「暗数」が多いこと。「暗数」とは、「隠れ犯罪数」や「犯罪潜伏件数」とも呼ばれ、発生しても、様々な理由で公的な犯罪統計にはカウントされていない隠れ犯罪や潜伏犯罪を指す。

 記事によると、中共体制内の汚職・贈収賄犯罪の「暗数」は他の刑事事件の「暗数」よりはるかに多い。

 約半数の汚職犯罪は発見されず、内部告発や偶発的な事件によって発見された汚職犯罪の約半数は証拠不十分のため特定されず、証拠が得られた汚職犯罪の約半数は、当事者が処罰を受けていない。この三つの半数(つまり50%)を掛け合わせた結果、汚職罪を犯した役人の中、実際に処罰を受けたのは約12.5%に過ぎない。言い換えれば、汚職犯罪者の「暗数」は87.5%にも上っている。

 今日に至るまで、中共幹部の汚職腐敗は「前任を真似る」に留まらず、「前任を圧倒する」勢いで発生し続けている。

 失脚高官の日記は中国共産党官僚の邪悪さを暴く

 2015年10月16日、周永康の部下、河北省党委員会書記の周本順が逮捕され、当局は日記を押収した。日記には周本順の40年間の役人としての「感銘」を記録し、そこに記された政治闘争の内幕と暗黒さは読む人を驚かすものである。

 日記の中で、中共官僚の弱肉強食の法則を明らかにし、例えば、「上司の考え方に従うこと」と綴っている。部下を、使いやすい人、使い道のある人、使い道のない人の3種類に分け、それぞれ違う仕事を振り分けて、従順な人には仕事以外に私事、悪事もやらせ、また、「人材」を使ってはならず、平凡な人を使えと綴っている。人材の才能に嫉妬するため、自分より無能な部下しか抜擢しない現象は中国各地の官僚の間に存在している。その結果、共産党の公家(くげ)は悪党にとって天国のようで、正直者にとっては居づらい場所となっている。

 周本順は、役人は売春婦と同じで、嘘をつくことを学ばなければならないという。日記に「役人は売春婦と似たような職業で、役人が売っているのは口だけだ。 役人になってから、何を喋るかは、当時のシチュエーションを観察した上で発言する」と綴っている。

 日記に「公家の八つの暗黙の掟」を作って、「真実を追求するな、物事の本質を探究するな」、「学歴は必要だが、知識を知らないほうが良い。知識を知れば逆に不利だ」、「知識を知れば、きっと自分の頭で物事を考える。それこそ政治家になるための妨げになる」と恥知らずなことを書いた。

 日記に綴られたずる賢さと恥知らずのおかげで周本順は高官に登りつめた。周永康に追随して学習者を迫害し、最終的に因果応報を受けて、「腐敗汚職」の罪名で懲役15年の刑に服する羽目になった。

 中央党校の教師は一斉に脱党

 中国当局は、党員の犯罪を「中国古来の封建王朝の思想に毒害された」と責任をなすり付けた。しかし伝統的な古代社会は、皇帝から庶民まで神々を敬い、天を敬い民を守るという神伝文化を信じてきて、共産党の言う「思想の毒害」は全くのでたらめである。

 河南省廬県の役所敷地内に発掘された記念碑があり、「爾俸爾禄 民膏民脂 下民易虐 上天難欺」と刻まれている。意味は、「なんじがもらう俸、なんじがもらう禄は、民の膏(こう)、民の脂なり。下民は虐げ易(しいたげやす)きも、上天は欺き難し」である。それは、宋の初代皇帝が頒布した『戒石銘』で、役人が汚職腐敗して民を害すると、きっと神々に懲罰を受けると戒めている。

 中共は1949年に政権を奪ってから、延べ8000万人の中国人を殺害した。今は法輪功を迫害し、その罪は極悪非道で許すことはできない。

 中共はとっくに民心を失い、体制内の人々も共産党からの脱党を図っている。2005年5月には早くも、中央党校の一部の幹部はエポックタイムズ紙に脱党声明を送り、声明文に「実際、私たちの知る限りでは、中央党校の2万人余りの職員の中で、機会があれば90%の人は脱党したがっていると思います」と綴った。

 現在、エポックタイムズのサイトの「三退」人数は3億6600万人に達した。中央党校の元教授で共産党高官2世で、中共の体制に不満を持ちアメリカに移住した蔡霞が放った「中共の体制は生きる屍になっている」の一言は、世界に大きな影響を与え、中共の体制が完全に破綻し、最終的に崩壊の結末を逃れないことを示した。

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2020/10/26/414235.html)
 
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