【明慧日本2023年4月3日】米国下院は3月27日、413票対2票で「2023年強制臓器摘出停止法案」(Stop Forced Organ Harvesting Act of 2023)を可決し、生体臓器収奪の犯罪を罰することになった。
これは、アメリカが初めて(象徴的なものではなく)立法によって、中国共産党(以下、中共)による良心的な囚人への臓器狩りに対応したものであり、この法案は圧倒的な賛成票数で可決された。
「2023年強制臓器摘出停止法案」 |
https://www.congress.gov/bill/118th-congress/house-bill/1154/text
法案の原文
最高刑罰:20年の懲役刑および100万ドルの罰金
「2023年強制臓器摘出停止法案」の全文の要約抜粋は以下の通りである。
この法案は、臓器販売に関与する個人および法人に制裁を科し、(アメリカ)国務省に対して臓器販売犯罪者のパスポートの取り消しを許可する。
具体的には、(アメリカ)大統領は、(1)臓器摘出を手助けし、(2)臓器摘出のために人身売買を行う人々に関する人員名簿を議会に報告する必要がある。リストに名前のある人について、大統領は資産凍結およびアメリカへの入国制限を課す必要がある。
さらに、(アメリカ)国務省は、次の人々の個人パスポートを拒否または取り消す必要がある。1. 利益追求のための目的により意図的に人体の臓器を移植した人で、連邦裁判所で有罪判決を受けたもの。2. 犯罪を犯した際にパスポートを使用したか、または国境を越えた人。
法案によると、臓器摘出に関与した者への罰則には、最高25万ドルの民事罰金と、最高100万ドル、20年の禁固が含まれる。
この法案の主要な提案者であるニュージャージー州の共和党下院議員クリス・スミス氏はメディアに対し、臓器摘出は残酷な行為であり、人道に反する犯罪で、戦争犯罪でもあると述べたうえで、「これは中国の罪のない人々に対する戦争行為です。(中共の指導者)習近平は直接的な責任を負うべきですが、この行為に従事する人々も非難されるべきです」と語った。
報道によると、共和党の連邦上院議員トム・コットン氏や民主党の上院議員クリス・クーンズ氏など、十数人の上院議員もこの法案を提出したという。
中国共産党による臓器摘出は悪魔の行為
共和党下院議員クリス・スミス氏 |
スミス議員は、中共による人権侵害に関する国会の聴聞会や法案審議を85回主催してきた。その中には、昨年開催された恐ろしい中共の臓器狩りに関する聴聞会も含まれている。
2022年4月、スミス議員は声明を発表し、現在でも法輪功の学習者が中共によって逮捕、拘束、拷問、虐待され、最も残忍な手段で迫害されていることを明らかにした。その中には、生きたまま臓器を摘出された人も含まれる。彼らの臓器は医療市場で売買されているが、迫害を受けたのは、ただ単に基本的人権や信仰の自由、言論の自由、集会の自由を信じていたためにこのような非道な扱いを受けたと話した。
スミス議員は「彼らがこのような迫害に直面したときに示した勇気と信念に敬意を感じずにはいられません」
「米議会は、私が提出した人身売買や臓器狩りに関する法案に、直ちに行動をとり、この非人道的で野蛮な行為に加担または黙認する国家を罰するための法案をすぐに可決すべきです」と述べた。
2012年9月12日、米国議会は中国当局による臓器狩り問題に関する初の公聴会を開催した。公聴会を主催した米国下院外交委員会の監督・調査小委員会委員長のダナ・ローラバッカー議員は、「生きたままの臓器摘出は悪魔の行為であり、信仰や政治犯であるために拘束された人々から臓器を奪い取ることは、深刻な人類に対する犯罪であり、このような犯罪に関与したすべての人々を法で裁く最大限の努力をしなければならない」と述べた。
また、元議員クリス・スミス氏、ナンシー・ペロシ氏、フランク・ウォルフ氏などが出席した公聴会では、中国の医師である周維彰(音訳:Weizhang Zhou)さんと錢曉江(音訳:Xiaojiang Qian)さんが証言を行った。彼らは、臓器の所有者が直接殺害される場合もあるし、手術が行われる場合もあることを、公聴会で証言した。
共和党下院議員クリス・スミス氏 |
スミス議員は、証人の証言、多数の移植手術、短い待ち時間がすべて、中国では生きたままで臓器が摘出されていることをを明らかにしている。迫害を受けている人は家畜のように扱われていると話した。
またスミス議員は、「皮肉なことに、健康的な生活を送る法輪功学習者が、より良い臓器提供者になっています。『中国法廷』報告書に登場する監獄警備員の証言によれば、病気や不健康な体が法輪功学習者の唯一の救済策であると書かれています。この学習者には、24~25人のより健康な友人がおり、彼らは全員殺害され臓器が取り出されました」と述べた。
2022年12月14日、カナダ国会は、臓器狩りや臓器売買に対する処罰を目的とした「S-223法案」を全会一致で可決し、イスラエル、台湾、イタリア、スペインでも臓器移植旅行が禁止されている。
父親が受けた臓器狩りの迫害に娘が真相を暴露
ニューヨーク在住で37歳の韓雨さんは2022年12月13日、アメリカの有名なトークショーの司会者であるリック・ジェンセン氏が主催する最新の番組に招待され、自身の体験談を語った。
その回のテーマは、「生存者が語る、共産党政府が無実の市民を奴隷化し、臓器摘出で利益を得る」と題されたもの。韓雨さんは「父親の遺体を見たとき、まだ信じられなかったです。父は非常にやせており、全身傷だらけで、顔には大きな傷があり、多くの傷痕がありました」と回想した。
「アメリカで最も影響力のあるトークショー司会者100人」の1人に選ばれたジェンセンさんは、過去20年以上にわたり法輪功に対する中共の迫害を追跡報道してきた。
また、2022年6月には、首都ワシントンで開催された国際宗教自由サミットでも、韓雨さんは父親が中共に迫害された経験について語った。
韓雨さん |
韓雨さんの父親の韓俊清さんは法輪功学習者で、北京市房山区突店鎮突店村出身である。1997年に法輪功を学ぶ前は心臓病と高血圧を患っていたが、法輪功を学んだ後、体が回復するだけでなく、たばこを吸わなくなり、飲酒もしなくなり、怒りっぽい性格なども改善された。
2004年2月、韓俊清さんは法輪功を学んだとして中共に逮捕され、わずか3カ月後の5月4日に迫害により死亡した。中共当局は、数百人の警官を動員し、遺体を強制的に焼却し、生きたまま臓器を摘出した罪を隠そうとした疑いがある。
韓俊清さん |
韓雨さんは回想した。「父の喉から胸の前まで、とても長いナイフで切られた傷跡があり、黒い糸で縫われていました。父の服の上からは見えませんでしたが、私は父のシャツをめくって、傷跡がどこまで延びているか見ようと試みましたが、警察に阻止され、強制的に退去させられました」
また韓雨さんは、「警察がほかのことに集中していたとき、父親のシャツを引き裂くと、喉から腹部まで切り傷があるのを発見しました。父の腹部を押さえてみると、中に硬い氷の塊が詰まっていることがわかりました」と話した。
韓俊清さんが亡くなった2年後の2006年、中共が良心犯から、生きたままで臓器を摘出するという秘密の犯罪を大規模に行っていることが明らかになり、「この星において、これほど邪悪な行為はこれまでになかった」と称されるこの迫害は現在も続いている。