八仙人の伝説:人の救い済度ができない呂洞賓氏
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朱月明 編集

 【明慧日本2024年1月6日】呂洞賓は、かつて漢鐘離(中国の代表的な仙人で、八仙の一人)に誓いを立て、天下の衆生を救い済度すると決意しました。しかし今まで一人も済度できておらず、彼は岳陽の地に向かいました。

 呂洞賓は油売りの服装をして、油を売る名目で人々を済度しようとしました。油を買う際に多くを求めない人がいれば、その人を救い済度するつもりでした。数年間、彼は油を売り歩きましたが、出会った客はみな過分な要求をする利己主義者でした。ただ一人、年配の婦人が油を買いに来たとき、買う分だけを求めました。呂洞賓は、この世には済度できる人がいるのだと驚きました。彼が老婦人に「油を買う人は、みんな多めに欲しがるものですが、あなたはなぜ多めに欲しがらないのですか?」と聞くと、老婦人は「私は一壺の油があれば十分です。あなたが油を売るのも容易ではありませんね。多めに求めてはいけません」と答え、老婦人は呂洞賓に酒を与えました。

 呂洞賓は、この老婦人を救いたいと考えました。彼女の庭に井戸があることに気付き、井戸にいくつかの米を投げ込みました。そして「この井戸の水を売れば、大金持ちになれますよ」と言いました。老婦人はもう少し座っているように誘いましたが、呂洞賓は何も答えず、去って行きました。老婦人は振り返ると、井戸の水はすべて酒に変わっていました。彼女は呂洞賓の言葉に従って一年間、井戸の酒を売り続け、本当に大金持ちになりました。

 ある日、呂洞賓が老婦人の家を訪れました。しかし偶然にも、老婦人は不在でした。家には息子だけがいました。呂洞賓が「この数年、酒はどれくらい売れましたか?」と聞くと、息子は「酒は良いのですが、豚の餌になるような酒かすがありません」と答えました。 その言葉を聞いた呂洞賓は「人の心の飽くなき欲は、こんな状態になってしまった」と嘆いて、井戸の中の米を取り戻し、老婦人の家を去りました。その後、しばらくして老婦人が帰宅すると、息子が起こったことを話しました。老婦人が井戸をのぞくと、井戸の中の酒がすべて水に戻っていました。老婦人は慌てて外に出て追いかけましたが呂洞賓の姿は見えませんでした。

 呂洞賓は、岳陽から洞庭という地域にやってきて、漢鐘離と一緒に韓湘子を済度しに行きました。呂洞賓は詩を残し、「三度岳陽、人は知らず、詩を吟ずると洞庭湖を飛越した」と嘆きました。

 (出典:『東遊記』(東方見聞録))

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2003/2/18/44767.html)