身を修め色欲を拒み 志を成し遂げる
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 【明慧日本2019年7月11日】世間で志を成し遂げた人の殆どは、徳を重んじて善を行なう人でした。中で、色欲淫行を拒むことが特に重要だと考えられています。

 古代の山東省に林長康と言う「秀才」(科挙制度の前段階の一つ院試に及第した者)がいました。40歳になってもまだ「挙人」(郷試に合格した者)に受かっていない彼は、ある日、もう官吏になる夢を諦めようと考えました。すると、傍から「諦めないで!」という声が聞こえ、「何者か?」と聞くと、「あの世の霊魂です。この数年来ずっとあなたの傍にいて、あなたを見守って差し上げています」とその声が言いました。

 林秀才は霊魂に正体を顕してほしいと求めましたが、聞き入れてくれませんでした。彼は続いて4回もお願いをすると、「本当に私に会いたいならば、それは結構ですが、私を見てくれぐれも怖がらないようにしでくださいね」と霊魂が言いました。秀才は頷きました。すると、霊魂はすぐさま林秀才の前に跪きました。血を流していましたが、顔は見えませんでした。「私は藍城県の平民です。掖県の張と言う人に殺されました。死体は東の城門の外の碾き臼の下に埋まっています、あなたはこれから掖県の長官に昇進するでしょう。私はずっとあなたの周りで仕えており、私のために冤罪を晴らしてほしいとお願いしたいのです」と言いました。

 霊魂はまた林秀才がどの年に郷試の「挙人」に合格し、どの年に「進士」に及第すると告げ、消えていなくなりました。その年になると、林秀才は本当に「挙人」に受かりました。しかし、「進士」に合格する年には、予言通りになりませんでした。「挙人」になった林は、「この世の功名等は、霊魂にも分からないことがあるのだ」と嘆いた途端、空中に突然、「あなたは素行のよくない事をしたでしょう。私は間違ったわけではありません。あなたは某年某月に某未亡人と浮気をしました。幸い、彼女が妊娠していないため、誰も知らないのですが、しかし、地獄の閻魔はすでにあなたの悪行を記録しました。ただ、あなたの罪はすでに赦され、あなたの合格日だけが延期になりました」と言いました。

 林は大変驚き、世の中のすべてが神霊に記録されていることを知りました。それからと言うもの、彼は心から過ちを悔い改め、言行を慎み、色欲淫行を拒み、常に身を修めました。その後、予言通り落第した試験に合格し、進士に登第し、掖県の長官になりました。就任後、彼はすぐに城を巡回し、東の城門の外に碾き臼を見つけて、部下にそれを移動させ、その下から死体を発見しました。林長官は直ちに張を召喚して審問し、張が人殺しの経緯を白状したため、法律によって処罰されました。

 世間の人は好色をすれば福禄が消え、過ちを悔い改めれば、事業での成功が可能になります。一方、修行者は好色になれば、功力が影響され、弱くなります。

 晋太康元年(280年)、旌陽(せいよう)の長・許遜(きょそん)は道教の浄明道(じょうみょうどう)、闾山派の祖師で、かつて大洞真君・呉猛(ごもう)(『列仙伝』に登場する仙人)の弟子でした。当時、長江下流地域には多く蛇の災いに見舞われました。呉猛はそれらを一掃しようとして、100人の弟子を選んで現場に向かいました。高安と言う町に来た時、呉猛は50キロの炭を準備するようと命じ、そして、尺で計り、炭を均等に短冊に切り、その短冊を道壇の上に置きました。

 夜になると、これらの炭の短冊は全て白衣の女性に変身し、次から次へと弟子たちの前に顕れ、彼らを誘惑しました。翌朝、呉猛が弟子達を調べると、許遜以外、全員の服に炭がついていました。そのため、呉猛は許遜だけを連れて遼江に来て、大蛇が出るのを待ち伏せしました。呉猛はすでに高齢だったため、大蛇が出て来た時、許遜は北斗七星の足つぎで、鋭い刀を手に持ち、蛇の頭を踏みつけ、剣を振るって蛇を殺しました。

 他の弟子達は女色を貪り、魔を一掃する力はありませんでした。

 出典:

 中国の清代の文言小説集 『子不語(しふご)』(著者 袁枚)

 中国の唐代の書物 『酉陽雑俎(ゆうようざっそ)』(撰者 段成式)

 
(中国語:http://www.minghui.org/mh/articles/2019/6/23/389070.html)