英メディア 中共の残虐な生体臓器収奪を報道
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 【明慧日本2022年6月23日】(明慧記者・王英)『デーリー・テレグラフ』紙は5月27日、「英国の科学は中国の臓器売買を支援しているのか?」とする記事を掲載した。ベテランジャーナリスト・ヘンリー・ボドキン氏が執筆したもので、それによると2000年初頭に中国は移植技術の後進国から先進国に躍進し、心臓移植件数は4年間で1100%増加した。

 記事によると、アニー・ヤンさんは法輪功を修煉していることを理由として、北京郊外の労働教養所で2005年3月から2006年9月まで、1日最大20時間の拷問を受けていたという。

 しかし不可解なことに、彼女と同房の囚人たちは、数週間ごとにカーテンで遮られた刑務所バスで近くの警察病院に連れて行かれた。そしてそこでCTスキャンや血液検査、レントゲンなどの一連の健康診断を受けさせられていた。女性たちは拷問で傷だらけだったが、このことに困惑せずにはいられなかった。

 なぜ、彼女たちをしたい放題に拷問した政権が、健康状態に気を遣うのか? アニーさんは労働教養所から一時的に釈放された隙にイギリスに逃げ、そこでぞっとさせられる事実を知った。

 彼女は『デイリー・テレグラフ』紙にこう語っている。「臓器収奪の報道を見て、それが健康診断を受けさせられていた理由だと気づき、全身が震えました。もう少しで、私もその(生きたまま臓器を収奪される)1人になるところでした」

 現在59歳でロンドンで翻訳の仕事をしているアニーさんは、同房だった仲間が何人生きているのか分からないと言う。彼女が生まれた中国には、政府が後押しする強制的な臓器移植のシステムがあるからだ。

 2年前、アニーさんは首席検察官のジェフリー・ニース卿が議長を務めた中国(臓器収奪)民衆法廷で証言した。その法廷は、中国共産党(以下、中共)による生体臓器狩りの主な供給源が法輪功学習者(以下、学習者)だと結論づけた。

 多くの証人の中には、現在ロンドンでウーバーの運転手をしている元外科医のアンワール・トッティさんも含まれている。彼は、政治犯がまだ生きているうちに「深く切り込み、素早く」臓器を摘出するように命じられたと証言した。

 1年後、少なくとも8人の国連特別報告員がこの所見を確認し、「強制的な臓器摘出の確実な兆候がある」とした。

 簡単に言えば、需要に応じて殺害された被害者の体は切開され、肝臓、心臓、腎臓と肺、さらには角膜まで取り出される。そして、利益率の高い国際市場で販売される。例えば腎臓で5万〜12万ドル、膵臓は11万〜14万ドル。

 中共は、政治犯への科学実験を許可するという傾向が強まっており、ナチスの強制収容所での暗黒の行為と変わらないと専門家は見ている。

 一方で、人々も目覚めてきている。例えば先月(訳注 2022年4月)には、イギリス国民が海外で臓器を購入することを禁止する法案が可決された。

 このような認識の高まりとともに、欧米の学術界で不安が広がっている。著名な医療従事者たちは、中国の医療機関との数十年にわたる「建設的な関係」、中国の駆け出し外科医を教えるための高額な報酬が得られる旅行、欧米での彼らの一部を対象とした高額な研修などを振り返り始め、不安を感じている。

 昨年10月、オーストラリアの名高い移植外科医のラッセル・ストロング教授は、中国の全ての外科医が臓器収奪市場で学んだ技術を使うのを防ぐため、欧米の病院への出入りを禁止するよう呼びかけた。

 目下、ある人権団体が医療機器メーカーに対し、彼らのキットが中国の違法な臓器移植取引に使用されたと判明すれば、起訴される可能性があると警告した。

 こうしたすべては、ある厄介な問題を示唆している。欧米は中国の臓器摘出産業を幇助し、助長させたのではないか?

 もっと分かりやすく言えば、アニーさんが北京にいたとして、彼女が生きたまま心臓を摘出された場合、手術した外科医はイギリスの大学あるいはイギリスの国民保健サービスで、その分野のトレーニングを受けていたのではないだろうか?

 絶対的な需要

 このすべての原動力を理解するには、ある単純な事実だけを理解すればよいのだ。それは、臓器に対する世界的な需要が、合法的な供給をはるかに上回っていることだ。

 ロンドンのグレート・オーモンド・ストリート病院で10年間移植チームを率いてきたマーティン・エリオット教授は、率直にこう述べた。「購入者側に絶対的なニーズがあります。『移植待ち』の約25〜30%の人が待機中に亡くなってしまうことを覚えておいてください」

 「彼らが臓器を探し回るのは当たり前のことで、見つければ何でも掴んでしまうでしょう。彼らを責めるのは難しいと思います」

 その結果、年間17億ドル規模の臓器ツーリズム市場が生まれている。極端な例だが、ある日本人女性が肝臓一つに500万ドルもの大金を支払ったという。

 多くの国には移植の「エージェント」がいて、彼らに手数料を払えば、通常の待機時間と比べれば、ほんのわずかな時間で適合者を見つけてくれるようだ。

 一時期、イスラエルの健康保険会社は、顧客が中国でこのようなエージェントを見つけることの支援を提供したことさえあった。

 その動機は明白であろう。しかし、どのようにして中国がわずか数十年で臓器移植の世界的な中心地となったのか、その経緯は不明である。

 中国での心臓移植は4年間で1100%増加

 ウェイン・ジョルダッシュ勅選弁護士は、国際人道主義および刑法の研究に特化した非営利団体「グローバル・ライツ・コンプライアンス」の創設者である。

  彼は4月に発表したぞっとさせられる法律諮問の説明で、中国の急速な進展についてこうコメントした。「2000年初め、中国は移植技術の後進国から先進国へと躍進した」

 「自由意志による臓器提供制度がないにもかかわらず、中国の臓器移植病院は4年間で3倍に増え、以前はほとんど腎臓だけだった移植が、心臓、肺、肝臓にも急速に拡大した」

 「腎臓移植は510%、肝臓移植は1820%、心臓移植は1100%、肺移植は2450%増加した」

 「臓器移植のために中国を訪れた人と中国人は、数週間から数カ月で適合する臓器を得ることができると報じられている。一方で、他の国では臓器提供制度が整っているにもかかわらず、患者は数年も待たされる可能性がある」

 「(中国での)移植は前もって計画し、臓器が入手できる具体的な日時を事前にレシピエントに知らせることさえ可能になっている」

 「死亡したドナーとレシピエントの間の通常の臓器マッチングプロセスにおいて、移植はドナーが死亡したと判断された後に行わなければならず、ドナーが死亡する前に計画することはできない。この事前計画は、明らかにそれとは対照的である」

 数十万人の学習者から生きたまま臓器を摘出

 では、こうした臓器の不思議な供給はどこからだろうか?

 2009年、北京政府は移植に使われた臓器の2/3が死刑囚から摘出されたものであると述べ、死刑執行前に彼らが臓器提供に同意したとしている。

 しかし、この数字は全く実態と合っていない。2000年以降、死刑判決により処刑された人数は減少しているが、移植件数は指数関数的に増加している。

 欧米はすぐに、中共による学習者への残酷な弾圧に由来する臓器ではないかと疑った。この法輪功という修煉法は中国の伝統文化に根付いており、1990年代から盛んになっていた。

 1999年に法輪功が迫害され、その後大規模な逮捕が行われた。その時から、生きたまま臓器を摘出された学習者の数は、控えめに見積もっても数十万人にのぼる。

 ジェフリー・ニース卿の中国法廷の調査によれば、2000年から2014年の間に毎年6万から10万件の移植が実施されており、学習者がこれらの臓器の主な供給源となっている。

 2010年に中国当局が発表したところでは、中国は2015年から死刑囚からの臓器提供を停止し、自由意志による提供とするという。しかし、専門家はこれを信じていない。というのも、彼らは中国での移植に使われる臓器の数が、自発的な提供で得られる数をはるかに上回っていると指摘している。

 何をすればいいのか?

 イギリス医師会(BMA)は世界保健機関(WHO)に対し、中共による生体臓器収奪の残虐行為について独立した調査を行うよう公式に要請した。

 イギリス医師会の倫理と人権特別顧問であるジュリアン・シェザー博士は、「これらの活動(生体臓器収奪)が医療倫理を愚弄していることに疑いの余地もない」と述べている。

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2022/6/10/444731.html)
 
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