【明慧日本2020年11月15日】(米国=明慧記者・李静菲)在中国米国大使館は2020年10月26日、ウェブサイトで中国語版の『2020年人権報告』を発表した。この年次報告書には、中国共産党(以下、中共)による法輪功学習者(以下、学習者)と彼らを弁護する弁護士への迫害情況についての言及が多数含まれている。報告書によると、多くの人権活動家は、中共当局が良心の囚人、特に学習者から強制臓器収奪を行なっていることを告発し続けている。
米国大使館が発表した中国語版『2020年人権報告書』 |
報告書は「法治教育センター」で学習者を迫害する手段を暴く
報告書は、「拘禁者に対しての虐待に用いる手段は、独房での長期監禁、睡眠の剥奪、殴打、不快な姿勢で数時間にわたり立ったり座ったりすることを余儀なくされることなどが含まれる」
「数多くの元受刑者や拘禁者が、次のように報告している。彼らは殴打、強姦、(高圧スタンガンによる)電撃、強制的にベンチに数時間座らせる、両手首をロープで縛り付けて吊るし上げる、睡眠の剥奪、強制的に灌食される、本人の意思に反して強制的に服薬させられる、その他の身体的・心理的な虐待を受けている。刑務所当局は一般の受刑者も虐待しているが、報道によると、彼らは政治と宗教に異議を唱える者に、特に悪劣な手段で対処している」
報告書は、当局(中共)は行政拘留の手段を用い、政治と宗教に異議を唱える者を脅迫し、公での示威を阻止している。行政拘留の方式は薬物中毒の治療(薬物中毒者対象)、拘留育成(未成年犯罪者対象)、および政治活動家と宗教信者、特に学習者を「法制教育センター」に拘留している。強制薬物リハビリテーションセンターでの滞在期間は最大2年で、その内6カ月間は通常、薬物治療センターで過ごす、と指摘している。
人権団体は、中共が臓器を強制収奪し、臓器提供データの改ざんを告発し続けている
報告書は「一部の活動家と団体は、政府が良心の囚人、特に学習者から強制的に臓器収奪を行なっていることを告発し続けている」
オーストラリア国立大学の中国における臓器提供に関する公式統計調査によると、統計の根拠では、データが改ざんされた「有力な証拠」があるという。このほか、研究論文では、政府の臓器移植プログラムには「市民ドナーと呼ばれる非自発的なドナーからの提供」が含まれていることにも言及している。
2019年6月、国際非政府組織の「中国の良心の囚人からの強制臓器収奪に関する民衆法廷」は報告書を発表し、「強制臓器収奪の直接証拠と状況証拠を持っている。理由として、(臓器移植)を待つ時間は非常に短いこと、大規模な医療施設の建設や移植手術者を育成している」と指摘した。
拘束された学習者を弁護する弁護士は、弁護士免許を取り消される
人権報告書は、中共当局は逮捕、拘束された学習者を弁護した弁護士は、弁護士免許を取り消されている。
「2019年10月、広西省の秘密警察は『国家政権の転覆扇動罪』で覃永沛(タン・ヨンペイ)氏を拘束し、覃氏は12月に逮捕された。年末になっても、覃氏は弁護士との面会ができないまま、南寧第一留置場に拘束されていた。覃氏は「709人権弁護士会」に所属し、学習者を含む数多くの人権案件を弁護し、多くの貧困層や弱者を助け、政府や共産党幹部の不正行為を公にしている」
「敏感な事件を受け入れる一部の弁護士の営業免許、または弁護士免許が政府により一時停止または取り消されている。敏感な事件とは、民主的な反体制派、家庭教会関係者、法輪功学習者、あるいは政府を批評する者が含まれる。当局(中共)は、全国弁護士会の年次免許審査システムを利用して、弁護士免許の発行を拒否したり、遅らせたりしている。2020年1月、広東省司法局は、広東省の弁護士・劉正慶氏の弁護士免許を取り消した。劉氏は人権活動家と学習者を弁護することで知られている」
報告書には、2019年の年末、多くの政治犯や良心の囚人が刑務所や留置場に拘束されており、その中に学習者の卞麗潮氏と馬振宇氏、人権弁護士の王全璋氏、高智晟氏、江天勇氏などが含まれていた。
報告書はさらに、中国当局は反体制派、学習者などの入国を拒否していると指摘。「中共当局は、海外に移住した反体制派の帰国は認めているが、しかし、医療行為により仮釈放された反体制派は、往々にして海外に追放されたに等しく、海外への亡命を余儀なくされている」
在中国米国大使館のウェブサイトに掲載されている、『2020年人権報告書』の 「宗教の自由 」の節では、2016年から2019年までの4年間を収録した米国務省の「国際宗教自由報告書」に直接繋がっている。この報告書は、中国での学習者への迫害、死亡、臓器収奪などの事例を詳しく述べており、学習者の迫害事例のほとんどは、明慧のウェブサイトに掲載されている事例を引用している。