【明慧日本2025年4月24日】河北省廊坊市永清県の法輪功学習者・楊桂娟さんは、浙江省嘉興市で不当に連行、拘禁された。同市桐郷市検察庁は楊さんが罪を犯していないにもかかわらず訴追し、4月8日に桐郷市裁判所で裁判が開廷した。
裁判中、楊さんは裁判官から何度も発言を遮られた。身体が弱っていた楊さんだったが、法廷において自分にも自己弁護の権利があることを主張し、その機会を勝ちとった。
そして、論じた内容は以下のとおりである。
なぜ法輪功を修煉するのか、どのように法輪功から恩恵を受けたか、法輪功がどのように人を善に導くのか、そして自分が法輪功の要求に従って良い人になるようどのように努力してきたか、修煉は違法なことではなく、資料を配布することも違法な行為ではない。また、留置場での経験についても語り、最初は他の受刑者からいじめられたが、後に広く尊敬されるようになった。
しかし、楊さんの最終陳述は途中で強制的に打ち切られ、彼女は法廷から強引に連れ出された。
楊さんは河北省廊坊市の出身で、浙江省嘉興市で働いていた。2024年10月12日、地元派出所の十数人によって連行された。海塩県留置場は女性収容者が少ないという理由で、嘉興市留置場に拘禁されることになった。桐郷市検察庁は楊さんを桐郷市裁判所に提訴した。
2025年4月8日午後2時30分、桐郷市裁判所で不当な裁判が開かれた。
拘禁中の楊さんは体調が悪く、何度か意識を失い、腹痛に悩まされ、公安病院で20日以上治療を受けた。入院中、彼女は手足を鎖で繋がれた状態でベッドに寝せられた。
裁判の前日、楊さんは公安病院から留置場に戻されたが、裁判所は裁判の日程を彼女に通知していなかった。
裁判当日、裁判所は20人以上の若い社会人を傍聴人として招いた。裁判所の外には非常線が張られ、門前には特殊警察車両と一般警察車両を配置し、3人の警官があたりを巡回していた。法廷の入口にはテーブルが設置され、司法警官が傍聴人に対してセキュリティチェックを行い、身分証明書の登録を求めた。
庭前会議(公判前会議※1のこと)において、楊さんの親族・友人・弁護人は、裁判官に複数の(正当な)要求を提出した。検察側の証人の証言や有罪の根拠となる重要証拠を法廷に提示すること、楊さん側からの無罪証拠を提出させること、違法証拠を排除すること、などである。
開廷時、裁判官は庭前会議の結論の要旨を読み上げた。検察側の証人の出廷は不要、『国家新聞出版署第50号令』を無罪証拠※2として裁判で採用することの不許可、違法証拠の排除も拒否。弁護人が庭前会議で要求した事項のすべてを拒否した裁判所の判断はいわゆる「認定意見※3」に基づくもので、「両高司法解釈※4」を根拠とするものだとされた。
【訳注】
※1 庭前会議(公判前会議)とは、公判開始前に裁判長が検察官、当事者、弁護人、訴訟代理人を招集し、情勢を把握し、欠格事由、出廷証人リスト、違法証拠の排除などの公判関連事項について意見を聴取する会議。名称は似ているが、日本における事件の争点や証拠を整理し審理計画を立てる手続きである公判前手続とは異なる。
※2 『国家新聞出版署第50号令』を無罪証拠とする、という意味。当該法令によって法輪功書籍出版禁止令は廃止されている、つまり当該法令が法輪功書籍の所持が違法ではないという証拠となる。
※3 「認定意見」とは、中国の裁判における裁判所の判断(事実認定)や意見を指す。具体的には、証拠に基づいて裁判所が事件に関する事実を判断し、その判断を理由に法律を適用して判決を下す際に、その判断の根拠となる意見や理由を指す。「認定意見」は本来、当事者にその内容を理解させ、裁判の結果に納得できるようすることが目的であり、裁判所は詳細な理由を説明することが求められている。
※4 「両高司法解釈」、すなわち「最高人民法院と最高人民検察院の司法解釈」は、特に「刑法第300条(邪教組織を利用して法律の実施を妨害する罪)」の適用に関して重要な意味を持つ。「刑法第300条」は、法律の実施を妨害する目的で邪教組織を利用する行為を犯罪とし、3年以上7年以下の懲役刑を定めているが、その「法律の実施を妨害する」という具体的な行為内容は明示されていない。このような状況下で、1999年10月、最高人民法院は法輪功を「邪教」とする司法解釈を発表した。この司法解釈により、大法弟子の行為が実際に刑法に触れているかどうかに関わらず、検察官が「大法弟子の行為が法律の実施を妨害した」と判断した場合、その行為は犯罪と見なされる可能性が生じた。国務院が定めた「14の邪教組織」の中に法輪功は含まれていない。法輪功は本来「邪教組織」ではないため、「刑法第300条」は適用されないはずである。「最高人民法院と最高人民検察院の司法解釈」は、厳密な意味での「法律」ではない。この法輪功を「邪教」とする司法解釈は、法輪功への迫害を正当化するために行われたものであり、「法的な効力がないもの」とされている。
物的証拠も法廷で検証されず、楊桂娟さんの親族や友人、弁護人が物的証拠を一文ずつ読み上げるべきだと求めたが、裁判官はさまざまな形でこれを忌避した。
裁判中、楊さん側の弁護人が楊さんに法輪功を修煉する理由を尋ねると、楊さんは修煉によって得た恩恵について語った。だが、その発言は何度も裁判官に遮られ、発言を終えて次の段階に進むよう促された。
裁判官は楊さんの最終陳述も最後までさせず、「時間ぎれ」を理由に裁判を強制終了した。楊さんが最後まで話させてほしいと求めたが、強引に法廷から引きずり出された。
検察官は裁判中に、楊さんに法輪功の資料を配布したことを認めさせ、配布した量や資料の入手先などを証言させようと誘導尋問を繰り返した。
楊さんは、裁判官、検察官、留置場の収容者に対して憐憫の情を表し、「もし誰もが法輪功の真実を知り、誰もが『真・善・忍』に従って良い人になれば、あなたたちは私を裁くためにここにいる必要はなく、留置場に拘束されている若い人たちも法を犯すことなく、人間らしく生きるにはどのように振舞えばよいのかを知るでしょう」と述べた。
楊さんとその弁護人は協力し合い、裁判中にできる限り真実を伝え、善を勧める努力をした。
ふたりは何度も裁判官や検察官の発言を遮り、疑問を投げかけることで、裁判官と検察官を途方に暮れさせ言葉に詰まらせ、時には手も足も出せない状況に追い込んだ。弁護人は「法輪功の修煉は合法であり、法輪功への迫害が罪なのだ」という真実を最後まで伝えきった。
(注:法輪功学習者を迫害している主要な責任者らの情報は、中国語のページを参照)