【明慧日本2025年3月12日】(デンマーク=明慧記者・舒慧、林達)ドイツの企業が2月初めから3月初めにかけて、デンマークの複数の都市で「人体標本展」を開催した。しかし、主催者は、この展示会に使われた標本の人体の出所に関する原本証明証明書を提供しなかったため、デンマークの各界から疑問の声が上がっている。特に、中国で法輪功学習者(以下学習者)や他の反体制派、一般市民が迫害され、さらには生体臓器収奪の証拠が存在する中で、このような展示が行われたことが問題視されている。
展示会が開催された地域の自治体関係者、議員、主流メディア、会場、さらには一般市民まで、人体標本の出所に関する背景について懸念の声を上がっている。多くの人々は、学習者への迫害に反対する正義の行動を支持すると表明している。
「法輪功への迫害追跡調査国際組織」による中国の人体標本業界に関する調査報告によれば、2008年、ニューヨーク州の検察総長の要求を受け、中国人の遺体を使って人体プラスティネーション標本を制作する会社「大連鴻峰」の会長・隋鴻錦のパートナーである、アメリカの「プレミア展示会社」は、公式ウェブサイトとニューヨークでの展示会場に「免責声明」を掲示した。それによると、「大連鴻峰」から提供された人体標本の出所が明らかになった。その声明には、「本展示会に展示されている中国の公民または居住民の遺体は、中国の警察から提供されたものである」と書かれていた。
アメリカの「プレミア展示会社」の免責声明の第一段の翻訳は以下の通り。「本展覧会に展示されている中国の市民または住民の遺体は、中国の警察から提供されたものであり、これらの遺体は中国の刑務所から得られた可能性がある。「プレミア展示会社」は、あなたが目にしている遺体が中国の刑務所に収容されていた人々のものでないことを独自に確認することができない」
デンマークの政治家、この展示会の人体標本の出所と背景に疑問視
デンマークの国会議員であり、人民党の党首であるモーテン・メッセシュミット氏は、このような展示に非常に衝撃を受けた。2月7日、同氏は健康大臣と文化大臣に対して、法律、倫理、そして中国での政治犯の臓器使用に関する問題について複数の質問を提出した。
モーテン・メッセシュミット氏が、健康大臣と文化大臣宛てに提出した質問状 |
質問第275号:「デンマークで人間の遺体を展示するために必要な許可証や法的手続きは何か、また、この人体展示が適用される法律に適合しているかどうかを説明していただけますか?」
質問第276号:「展示において人体を使用する際には、故人またはその親族の同意を得る必要がありますが、大臣はこの規定をどのように解釈し実施するかについて説明していただけますか?」
質問第277号:「大臣は、『人体』などの展示における人体の商業利用に関する倫理的問題についてコメントできますか? 現在の規則が十分であるかどうか、またデンマークはこのような展示に対してより厳格な規則を定めるべきかどうかについても説明していただけますか?」
質問第278号:「大臣は、国際的に類似する展示において、人体が同意の欠如や違法な取引と関連していることを、知っているかどうか調査する予定はありますか? また、大臣はこの分野における人体の取り扱いについて調査を行う予定ですか? この背景下で、大臣は中国における政治犯の臓器使用状況について知っていますか?」
また、デンマーク民主党ベテラン議員であり、宗教委員会の委員長であるソーレン・エスボーセン(Søren Espersen)氏は、2月19日に文化大臣に対して次のような質問を提出した。「すべての遺体と身体の部位が本人の自発的な寄付によるものであり、独裁国家の死刑囚や違法な臓器提供者から来ていないことを確認できますか?」
ソーレン・エスボーセン氏より文化大臣宛てに送った質問状 |
市の管理職「これらの遺体のすべてが、個人の自発的な寄付によるものではないと思われる」
ランダース市の健康・文化・福祉部長のトーマス・クラルプ氏は、政府部門への報告書で次のように記述している。「この展示は、いくつかの場所で批判を受けています。その理由は、展示されている遺体がすべて本人の自発的な寄付によるものではない可能性や、寄付の目的が不明瞭であることが疑われているからです」
展示会場の貸主による賃借の中止
2月28日、展示会社が合法的な書面証明を提示しなかったため、多くの市民から問い合わせや疑問が寄せられた。このため、ランダース市の展示会場を管理するアリーナ・ランダースは、臨時に会場の貸し出しを中止し、その結果、同日に予定されていた「人体標本展」が¥中止となった。
デンマークの主要メディア「人体標本展の人体の出所不明」と報道
2月28日、デンマークの大手新聞「キリスト教日報」は、「『人体標本展』はデンマークの自治体で展示され、その人体がどこから来たのか答えられる人はいない」と題して報道した。この記事では、遺体の出所の背景や関連情報についてのデンマーク側の各方面から質問について報じている。
2月28日、デンマークの大手新聞「キリスト教日報」が報道した記事 |
記事の中では、中国の信仰団体である法輪大法(法輪功ともいう)が、25年間にわたって中国で迫害されてきたことが言及されている。法輪大法団体は、大量の証拠を提出しており、信仰を貫いたために何千人もの学習者が中共の刑務所に拘束され、過酷な拷問を受けているとしている。さらに、2006年からは多くの学習者が生きたまま臓器が摘出され、臓器が売買されている事実が明らかになったと伝えている。デンマークの多くの市民は、「私たちはとても心配しています。展示されている人体標本は、中国の良心の囚人から来ているのではないか?」と話しているという。
多くの都市で、中共による法輪功への迫害と生体臓器収奪に反対する署名を行う
中共による法輪功への迫害と生体臓器収奪に反対し署名する人々 |
2月22日、ホルセンス市での署名活動で、ある女性が次のように話した。「とても不快に感じます。これらの死者には一切の尊厳がありません。彼らはまるで動物のように屠殺されたように扱われています。彼らには身分の身分も年齢もなく、遺体が展示されることに同意していたかどうかもわかりません。生前の意向も証明もありません」
ある若い男性が「強制臓器摘出に反対する医師団(DAFOH)」の署名活動に自ら参加した。彼はこう語った。「母が先ほど展示を見て、あなたたちの資料を持ち帰りました。資料をよく読んだ後、非常にショックを受けて、私に署名を頼んできました。法輪功の反迫害と強制臓器収奪に反対する正義の行動を支持するために、少しでも力になりたいと思います」
3月2日、港湾都市のフレデリクスハウン市で、2人の女性医師が、自分たちの専門知識を通じてこの「人体標本展」の問題轉を見抜いた。そのうちの1人はこのように話した。「医師として、人体の組織構造について理解しています。いくつかの人体標本を見て、骨に傷痕があることに気づきました。これは亡くなった方が生前、拷問を受けた可能性が高いことを示しています。それに加えて、これらの遺体には出所や年齢、死因、提供者の意向などの詳細な情報が一切記載されていません」
「私が見たこの2つの疑問から、あなたたちが言っていることが真実だと分かります。これらの人体標本には疑いの余地があります」
2人の医師は「人体標本展」の会場に足を運び、中国で起きている人権迫害の事実を市民に伝えている学習者に対して、「私たちはあなたたちの懸念を理解していますし、あなたたちの正義の行動を支持します」と言った。そして、DAFOHによる署名活動に署名し、生体臓器収奪に反対する姿勢を示した。
正午頃、4人の中年男性が「人体標本展」を訪れた。学習者が彼らに「展示側は一切の原本証明を提示していません。現在、中共は法輪功やその他の異議を唱える人々を迫害し、生きたまま臓器を収奪して巨額の利益を得ています。ここに展示されている標本は、見たところすべてアジア人の体型をしています。彼らは恐らく、中国で残虐な迫害を受けた良心の囚人たちでしょう」と伝えた。
話を聞いた彼らは、学習者から渡された資料を受け取り、展示会場に入っていた。しかし、ほどなくしてすぐに外へ出てきた。
「私たちは計画を変更し、チケットを購入せずに展示会を観ないことに決めました。このような展示には賛同できません」と話す彼らは、「署名します。真実を教えてくれてありがとうございます。私たちはあなたたちを支持します」と話した。
ある夫婦が展示会場から出てきて、車に乗ろうとした。学習者は彼らに、「これらの人体標本は、中国の良心の囚人の可能性があり、彼らは生きたまま臓器を収奪された可能性があります」と伝えた。それを聞いた夫婦は非常にショックを受け、女性は涙をこらえて目が赤くなった。そして2人とも署名し、迫害に反対する意思を示した。
多くの人が展示会を見終えた後、自発的に署名し、「あなたたちの言っていることは事実です。私は迫害と生体臓器収奪に反対し、あなたたちを支持します」と話した。
多くの人が「私にできることはありますか?」と尋ねた。学習者は「あなたが署名してくださったこと自体が、私たちへの大きな支援です。そして、もし可能であれば、もっと多くの友人や家族に伝えてください。中共の独裁政権は、法輪功学習者やその他の正義ある人々を迫害し、大規模かつ組織的に生体臓器収奪を行い、巨額の利益を得ています。この展示会の人体標本も、中国で迫害された良心の囚人のものである可能性があります。このことをより多くの人に知ってもらうことで、中国で今も続くこの残虐な迫害を、一日でも早く終わらせることができます」と答えた。
人々は、この残酷な人権侵害の実態に深く心を動かされた。ある市民は、「デンマークで法整備を進めるべきです。そうすれば、今後このような物議を醸す展示がデンマークで開催されるのを防ぐことができます」と提案した。