労働教養所の刑務官 『轉法輪』を探し求める
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文/中国の大法弟子

 【明慧日本2025年4月9日】私は毎年、神韻芸術団の公演を観ており、心から応援しています。そして、神韻が伝える「人を救う精神」が中国国内でも広まることを願っています。その中のある演目にとても感動しました。それは、大法弟子たちが人々に真相を伝え、「法輪大法は素晴らしい」と書かれた横断幕を掲げている場面でした。1人の警官がそれを見て、弟子たちを捕まえようとして階段を飛び降りてきたところ、足を滑らせて骨折をしてしまいました。その時、大法弟子は自分の身の危険も顧みずに駆け寄り、警官を助け起こし、背負って歩きました。途中で休む時にも、弟子は警官に真相を語りかけました。その慈悲と善意に心を打たれた警官は、心の奥から目覚め、大法弟子の仲間になり、救われたのです。

 神韻のこの感動的な演目を観て、私は労働教養所でのある出来事を思い出しました。

 当時、労働教養所に女性の警官Aさん(以下、Aさん)がいました。他の刑務官のように残忍で凶暴ではなく、話し方も穏やかでした。ある日、作業中に彼女が私のところに来て、私の家族のことをいくつか尋ねたあとでこう言いました。「あなたはいい仕事に就いていたし、余計なことを言わず、礼儀正しくて落ち着いている。そんな人がどうしてここに入れられたの? 気をつけてね、いじめられたり、悪い人に殴られたりしないようにね」

 彼女はまるで私のことを心配してくれているように見えました。しかし、当時の私は刑務官らに対して警戒心が強く、彼女を救うとか、何かをしようとは思いもしませんでした。それでも、彼女はよく私に近づいて話しかけてくれました。そのおかげで私は少しだけ緊張を和らげることができました。

 ある日Aさんが夜勤のとき、私を当直室に呼んで話をしました。彼女は言いました。「あなたは落ち着きがあり信頼できる人だと信じて、ひとつ聞きたいことがあるの。法輪功って、本当に病気を治したり健康によい効果があるの? そんなに不思議な力があるの?」

 私は答えました。「法輪功は宇宙の大法で、人々に善を教えるものです。『真・善・忍』の原則に従って良い人、道徳的に高潔な人になることを学びます。だから、病気を治す効果があるだけでなく、道徳心も高められるのです。これは『高徳の大法』なのです」

 彼女はポケットから一枚の紙を取り出して、私に見せました。それは師父の詩集『洪吟』のいくつかの詩でした。「これは、以前ここを出て行ったある法輪功学習者が私にくれたものよ。『毎日この詩を読めば、きっと良いことがある』って言われたの。実は、私の家系は代々、肝臓がんで亡くなっていて、私もいつか同じ運命を辿るのではないかと不安なの。だから、私は法輪功の力を信じてみたいと思ってるの。あなたも、洪吟の詩を何首か書いてくれない?」

 私は言いました。「『轉法輪』という本があります。これは宝の書であり、天書です。本当にあなたの運命を変え、『本来の自分に立ち還る』道を教えてくれるのです。とても貴重なものです」。彼女は「そんな本、どこで手に入れるの?」と聞きました。

 それから数カ月後、ある同修が不当に科された労働教養の期間を終えて、家に帰れることになりました。私はその同修に頼みました。「ある隊長(Aさんのこと)が『轉法輪』の本を読みたいと言っているので、あなたのご主人があなたを迎えに来る時に、一冊持ってきてもらえないかしら?」

 彼女は快く引き受けてくれて、Aさんを通じてご主人に電話で連絡をしました。「迎えに来る時は、労働教養所の一つ手前のバス停で降りてください。そこで誰かが待っていますので、その人に本を渡してください。その後、タクシーで労働養教所まで来てください」

 当日、受け取り人に無事に会えたが、残念ながらご主人は怖くなって『轉法輪』を持ってきていませんでした。これを聞いたAさんは、とてもがっかりしていました。そこで、私は彼女に「そんなに落ち込まないで。あと半年で私も家に戻れます。その時、私の家族にお願いして、必ずあなたに一冊届けてもらいます」と言いました。

 ある日、Aさんが偶然、大隊長のオフィスで一冊の『轉法輪』を見つけたのです。それは、没収されたものの中にあったのです。もしかすると、師父がAさんの本心を見て、その願いを叶えてくださったのかもしれません。

 Aさんは大隊長にこう言いました。「その本を少し読ませていただけませんか? 内容を知ることで、今後の仕事にも役立つと思います」。すると、大隊長は意外にも「いいよ」と許可してくれました。Aさんはとても喜び、この嬉しいニュースを私に伝えてくれました。あのような邪悪な場所で、Aさんが大法に出会えたことは、まさに奇跡であり、本当に素晴らしいことだと思いました。

 こうして、しばらく経ったある日、Aさんは夜勤でした。彼女が私たちの監房を巡回していたので、「きっと私に用があるのだろう」と思い、「トイレに行ってきます」と言って外に出ました。戻る時に当直室の前を通りかかったところ、彼女に呼び止められました。

 Aさんはこう話しました。「以前、私に『洪吟』の詩を書いてくれた法輪功学習者が、最近うちに来たの。その人がこう言ってたのよ、以前、監房のベッドの脚のところに100元を隠しておいた。このお金を、ある大法弟子に渡してほしいと言っていた」

 「その大法弟子はとても信念が強くて、労働教養所はその人に面会もお金や物資の差し入れもさせていない。生活用品も不足している。ベッドの脚は鉄パイプでできていて、私も探してみたけどお金は見つからなかったの。あなた、手伝ってもらえない?」

 私はこう言いました。「きっと奥の方に入り込んでしまったのですね。明日、木の棒を見つけて、昼食の時間に探してみます。あなたが周囲を見張ってくれれば助かります」。次の日の昼、私はベッドを持ち上げて、小さな木の棒で奥をつついてみました。すると、ぽろっとお金が出てきたのです。それをAさんに渡しました。その後のことは、私は聞いていません。

 この出来事は、すでに20年以上も前のことですが、今日ようやく書くことができました。師父は、私たちに世間の縁ある人々を救うようにと教えてくださいました。刑務官も救われるべき存在です。大法弟子は、どこにいても、どのような状況でも、常に慈悲をもって人を救い、それこそが、私たちの使命なのです。

 (編集責任者:洪揚)

 
翻訳原文(中国語):https://www.minghui.org/mh/articles/2025/4/3/491802.html
 
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