文/中国の大法弟子
【明慧日本2012年6月24日】善には全く異なる二種類の善があります。一つは真の善で、もう一つは偽善です。
表面上、人々がこの違いを見抜くことはとても難しく、時には偽善が本当の善よりも、より善であるかのように見え、人を感動させます。両者の根本的な違いは、本当の善は何の功利的な目的もなく、何かの目的のための手段ではありません。それは善を行う者の善良な本性から発せられるもので、完全に相手の身になって物事を考え、相手の意志を尊重することを前提としています。そのため、たとえ相手から理解されず、相手が受け入れてくれなくとも、その善が変化することはありません。
しかし、偽善は違います。それは人の善良な本性から発せられるものではなく、わざと装って人に見せたもので、本当に相手のことを考えているのではありません。見せかけの善意、善行で人を惑わし、相手を騙して利用するのが目的です。はっきり言えば、それは善を行う者が、個人またはある集団の目的のために使う手段に過ぎず、典型的な「真綿に針を包む」ものです。ですから、一旦期待した目的に達することができなければ、ただちに顔色が変わり、豹変して善意が無くなり、殺気がみなぎる場合さえあります。実は、これこそが偽善者達の本来の姿で、彼らの偽りの善は表面上の偽装に過ぎません。人々の言う「羊の皮をかぶったオオカミ」とは、まさにこのような人なのです。
更にわかりやすく言うと、偽善は善良を装った邪悪に過ぎず、偽善者は赤裸々な邪悪にはない紛らわしさを備えているため、時に人に対する危害はさらに大きいのです。古今東西の歴史を見ても、多くの悪事を働いた者達は、みな明らかに二つの異なる面構えを持っていました。一つは赤裸々な暴虐、もう一つは偽りの温情による偽善です。中国共産党はまさにこの二面性を身につけ、うまく硬軟両面の手段を使いこなす典型です。そして江沢民集団が引き起こした法輪功への迫害では、この二面性が極限まで利用されました。人類の歴史上、その迫害の残虐さは空前絶後であるばかりでなく、その偽善(中国共産党は聞こえのよい名称で「春風化雨(気持ちのよい気候のこと、転じて、良い教育が行われていることを意味する)」と言っている)と使われている手段は、空前絶後であると言えます。
まさに、騙され、洗脳され、利用された法輪功修煉者・王博さんが、洗脳から目覚めてから暴露したように「今になってやっと分かったのですが、最も恐ろしいのは、彼らが笑いながら人を騙すことです。もし悪魔や邪神のような態度であれば、本来の姿を簡単に見抜くことができますが、彼らはいつも、にこにこしながら、私に接してきました。しかし用いた手段はみな、とても陰険な手段でした」
筆者が自ら経験したことと、知りうる限りの状況によると、江沢民集団と中国共産党が法輪功への迫害で使っている偽善や騙しの主な手段は、以下のようなパターンがあります。
一 生活面における気遣い
通常、彼らはある特定の時期に、不当に判決を下され労働教養を強いられている一部の法輪功修煉者達に対して、普通の受刑者よりも生活上の条件を優遇してきます。例えば、筆者がいた労働教養所では一度、法輪功修煉者向けに専門の「教育転向基地」が設立され、当時、すでに強制的に「転向」させられた人達を、すべて集めると同時に、労働教養所の内で意志が強く屈服しない法輪功修煉者達をグループに分け、定期的にそこへ転入させました。すでに強制的に「転向」させられた人達の感情を籠絡して「転向成果」を固めさせると同時に、意志が強く屈服しない法輪功修煉者達の心を攻めて、彼らの意志を麻痺させるため、労働教養所では一度「教育転向基地」に監禁されている法輪功修煉者達の食事と買い物などを含む、生活上の待遇を故意に改善したことがあります。
二 感情面における気遣い
中国共産党の「党文化」の根強い影響によって変異した観念、および政府メディアが流し続けた厖大なデマによって、中国大陸の多くの人達は、法輪功の修煉を堅持する自分の家族を理解せず、支持しませんでした。これによって現れた様々な家庭問題と危機は、逆境に置かれ自由を失った法輪功修煉者達を苦境に立たせ、感情と心理面において、彼らは巨大な圧力にさらされました。
中共はこの点を大いに利用して隙に乗じ、修煉者に対して積極的に好意を寄せ、暖かく接することで、法輪功修煉者達に大きな同情を示しました。明らかに江沢民集団と中共の迫害によって、元々正常だった法輪功修煉者達の家庭に、さまざまな問題を引き起こされたのであり、まさに江沢民集団と中共および配下の悪人こそが元凶です。しかし、迫害を引き起こした張本人である彼らは、かえって是非を転倒して法輪功に無実の罪を着せ、法輪功修煉者達の家庭問題の解決を進んで助ける大いなる善人を装ったのです。
往々にして人が何かを心配すると、彼らはそれに合わせて関心を寄せてきます。配偶者が自分を理解せず、離婚しようとしているのではないかと心配すると、彼らはとても“親しげ”に説得してきます。「もし、これ以上法輪功の修煉を堅持すれば、あなたの家庭は終わりになります。あなた達夫婦の感情は元々とても良かったのに、あなたはこのまま自分の家庭を台無しにしてしまうのですか? あなたは耐えられても、私達は耐えられません。あなたは自分のためでなく、あなたの配偶者と子供のためを考えるべきです」
自分の親が不安や恐怖で恐れおおのき、病気になって起き上がれなくなるのではないかと心配していると、彼らは寄って来て“親しげ”にあなたが転向するよう働きかけます。「あなたのご両親はずいぶん高齢で、今はさらに病気までかかっており、あなたがこれ以上法輪功を続けて、ご両親にもしものことがあれば、誰が責任を持つのですか? あなたはご両親のために考えるべきです」
筆者の知るある法輪功修煉者は修煉を堅持し、真相資料を配ったために不当な労働教養を強いられました。彼の婚約者は当時、彼のことをあまりにも理解できず、彼と別れようとしました。警察側はこの情報を得て、この修煉者を転向させる突破口であると考えました。彼らは婚約者に何度も電話をかけさせ、この修煉者に温情攻勢を行ったばかりでなく、警察も自らこの修煉者と交流し、“真心”でこの修煉者を説得しました。「あなたの婚約者は、あなたを今も愛しています。あなたも彼女を愛しており、あなたは男としてこの感情を大事にすべきです。彼女のためを考えるべきです」
筆者の知る他の法輪功修煉者は、修煉を放棄しなかったために夫から離婚されました。夫は子供を連れて行き、子供が母親に会うことさえ禁じました。その修煉者はとても悲しみました。彼女が不当に洗脳班に監禁されている間、「610弁公室」の悪人は偽善的に「このすべてはあなたが法輪功をやっているからです。見てご覧、家庭が破綻したばかりでなく、お腹を痛めた息子にさえ会えなくなりました。わざわざ面倒事を背負い込まなくてもいいじゃありませんか? もしあなたが転向すれば、私達は必ず、この問題を解決し、あなたと息子を引き合わせてあげます」と言いました。
(続く)