中国医薬品サプライチェーンの危険性を憂慮
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 【明慧日本2020年4月7日】(米国=明慧記者・英梓)目下、中国共産党(以下、中共)の隠蔽により中共ウイルス(COVID-19)は全世界を恐怖にさらしている。多くの国は中国の医療品を採用しているため、品質が劣る医療防護用品と検査キットを使うことで、さらに状況は苦境に陥っている。西洋社会の多くの人々はこの事をすでに認識している。中国の「世界工場」で製造された医療品に対する過度の依存によってもたされた災難を無くすためには、中共に対する依頼心を放棄することである。そのようにすれば、この前代未聞の災難から逃れることができるのである。

 中共の「援助」、イタリア上院議員は「危険」と話す

 中国外務省の副大臣・羅朝輝は3月26日、「北京はすでに83カ国に、検査キットとマスクを、緊急『援助物資』として送ったと発言した。

 中共はイタリアに31トンの医療物資を送ったと宣伝している。イタリアの著名記者・ジュリア・ポンピリ氏は、皮肉たっぷりに「外務省や防衛省の情報によると、中国から送られた物資で無償のものは一つもない」と話す。

 イタリア上院議員・ガスパリ氏は3月17日のビデオ談話の中で、「中国政府から我々に無償で送られたものは何一つない。送られた物資のすべては我々が購入したものだ。中国は地球上で最もひどい国だ。彼らは不正な手段を用いて競争を行ない、ほかの国の経済を危機に陥れている。我々はこの事に勇敢に立ち向かい、限られた経済の手段の中で、中共に対抗しなければならない。中共は地球にとって物資供給国ではなく、危険にしかすぎない」と述べた。

 品質不合格の中国製マスク、オランダ政府は60万枚を回収

 先日、中国で生産された医療用防護マスクと検査キットの品質が基準に達しておらず、回収された情報が広く伝わった。

 3月21日付ユーロニュース報道によると、オランダ政府は中国から送られた130万枚のマスクを受け取り、一部は中共ウイルスの治療に携わる医療関係者に渡したが、オランダ国家ラジオNOSの報道によると、28日までに60万枚のマスクを回収したという。

 オランダ衛生部からユーロニュースに送られた声明は「(医療機関から)通知を受け、即時に検査した結果、送られたマスクの品質は基準に達していなかった」、「再検査をしたが、やはり不合格だった。現在はすべてのマスクの使用を停止させている。このマスクはKN95(中国の基準では防護能力はN95)と印刷され、微粒子を95パーセントカットできるとあるが、結果としてその基準に達していなかった」と書かれている。

 フォックスニュースによると、オランダ政府は、一部のマスクは口部に合わず、ほかのマスクは基準に達してないという。

 オランダ政府の発表では3月30日までに、中共ウイルスに感染したのは1万1750人で、864人が死亡したという。

 情報によると、中国で生産されたマスクは世界生産量の50パーセントを占めている。中国政府によると3月29日の中国でのマスクの一日生産量は1億1600万枚に達し、2月1日の生産量の12倍だという。


 中国製検査キットの品質合格率、わずか20パーセント

 マスクの品質が悪いだけでなく、中国で生産された検査キットも品質の基準に達したのはわずか20〜30パーセントである。

 3月26日付プラハ・モーニング・ポストの報道によると、衛生学者の話として、チェコ共和国は30万個の検査キットを(中国から)輸入したが、80パーセントは使えないという。5万4000万チェココルナ(183万ユーロ相当)を支払い、正確な検査結果が出ない検査キットを購入したことになる。高速検査キットと言いながら、検査の初歩段階でウイルスの感染を検査できなかった。

 オストラヴァ地区の衛生部官員・パブラスヴルチノヴァ氏は、「検査キットの誤検査の確率は高い」と話した。

  フォックスニュースとユーロニュースの報道によると、先週、スペイン衛生長官・パブラスヴリノフ氏の発言として、スペイン政府は中国から4.67億米ドルの医療用品を購入した。その中には950台の人工呼吸器、550万個の検査キット、1100万組の手袋と5億枚のマスクが含まれるという。

 これらの商品を受け取って間もなく、スペイン政府は中国政府に64万個の検査キットを返品すると申し入れた。その理由は検査した結果、商品が基準に達していなかったのである。さらに厳密に言えば中国製の検査キットの感度はわずか30パーセントで、総数の80パーセントに相当するという。

  スペインは欧州でイタリアに次ぐ被害国 

 フォックスニュースの報道によると、オランダ、スペイン、トルコ、グルジアとチェコ共和国などの国は中国製のマスクと検査キットの品質を憂慮しているという。

 中国駐マドリード大使は責任から逃れるために、「この検査キットの製造企業『深センバイオイージー』は中国政府の医療品生産の許可を得ていない」と話した。

 医療品の約80パーセントは中国とインドで製造されている

 米国の企業ヴァリシュアはインターネットで非ジェネリック医薬品を販売している。この会社は消費者が注意すべき価値ある情報を提供した。それはヴァリシュア社が販売している薬品はパッチテストが行なわれているということである。

 なぜそうしなければならないのか? この会社によると、米国市場で販売されている、この類の薬品は約80パーセントが中国とインドで生産されているという。しかし米国の食品と薬品を監督している管理局(FDA)の検査能力が低いため、販売されている医療品には欠陥が多いという。

 ヴァリシュア社は、「推測ではあるが、(海外の)約1000社がFDAの検査を受けていない。そしてFDAでは薬に対するテストはほとんど行われていない」とコメントした。

 2019年、米国上院財政委員会主席でアイオワ州連邦上院議員・チャック・グラスリー氏が、米国衛生部公共サービス長官あてに送った書簡の中で、「医薬品の有効成分の80パーセントは、中国とインドで生産されている。しかし、FDAでは昨年(2018年)は5分の1の生産施設しか検査が行われていない」と指摘した。 

 中共は社説で「医薬品サプライチェーンでコントロールする」と米国を脅迫

 中共の宣伝媒体・新華社通信は3月4日に発表した社説の中で、「もし中国が米国に対して報復するとしたら、米国への旅行の禁止令のほか、医療品を戦略的にコントロールする。米国への(医薬品の)輸出を禁止にした場合、米国は新型コロナウイルスの海に陥るだろう」と米国を脅迫した。この社説は中国マスメディアの間で繰り返し報道されている。

 目下、米国など多くの国は中共医薬品のサプライチェーン(※)に依存している。米国商務省のデーターによると、米国は昨年輸入した頭痛薬イブプロフェンの95パーセント、パナドールの70パーセント、ペニシリンの40パーセント、ヘパリンの45パーセントが中国からの輸入だという。

 ウォール街の主要企業「ヴェルトハイム&カンパニー」の元共同経営者・リズ・ピーク氏は、キャピトルヒルで発表した評論で、「中共政権に過度に依存することは、受け入れられない。中共の米国に対する脅迫からみて、中共に左右されるリスクは明らかである。よって中共が話したことは納得できる」と語った。

 リズ・ピーク氏がさらに指摘したことは、「(中共の)敵対行動の可能性に対して、我々は時間を費やしてでも、この問題を解決しなければならない。中共ウイルスがアメリカに与える影響は大きい。サーズ(SARS)が発生した時は、米国はこれほど中共のサプライチェーンに依存していなかったので、米国経済に与えた影響は小規模だった

 3月20日付『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』の報道では、「中国薬品の輸出は貿易戦争の最大の武器になっている」と語った。 

 米国衛生保健の最高顧問は米国国会に、「(中共は)薬品を対米貿易戦争の武器にするだろう」と警鐘を鳴らした。

 米国生物倫理研究所機構ヘイスティングスセンター衛生保健の最高顧問ローズマリー・ギブソン氏は、2018年に出版した著書『米国が中国の医薬品に依存する危険性を暴露』の中で、米国が中国の医薬品のサプライチェーンに重要な薬品を依存したことにより、米国に与えた深刻な影響について議論している。

 中国から供給された薬品が米国に与える最大の影響は、米国国民の家庭においてある数千種類の薬品の基本成分は中国から輸入しており、入院している重傷患者の看護や手術にも使われている。ギブソン氏はこの状況には少なくとも二つの問題が存在していると確信しているという。

 その一つは、米国が重要な薬品を他国に依存にしていることは、一定のリスクがあり、特にその国の政治状況の不確定性を考慮する必要がある。例えば、中国の南部にある海(南沙諸島)を巡って争いが起きれば、(米国)軍人が負傷した時、その治療に使われる薬品は中国製ということになる。

 もう一つは、中国で製造された薬品は安全基準と品質に対するコントロールを失えば、それは一種のリスクになる。ギブソン氏はFDAの官僚と製薬業界内部の人の憂慮を引用して、薬品によって引き起こされた疾病と死亡の記録からみて、米国に根本からの改革を促した。

 ギブソン氏は去年米国国会に次のように警告した。「(中共は)薬品を反米戦争の武器にすることができ、医薬品の供給を止める可能性がある。甚だしき至っては致命的な汚染物が含まれる、あるいは期限切れの偽薬を我々は手にすることになるだろう。(ポリティコ報道より)」

 フォックスニュースコラムニスト「外国に薬品や医療設備の提供を依存してはならない」

 フォックスニュースコラムニスト・アドリアナコーエン氏は、3月28日のフォックスニュース社説の中で、「中共ウイルスの危機は私達の生命と生活方式を破壊した。伝染病は私達への警鐘である。米国政府は外国の処方薬、医療機器、サプライチェーンによって供給された薬品、あるいは成分への依存を止めなければならない。私たちの生存にとって重要だからである」と述べた。

 さらにコーエン氏は、「これは国家安全問題である。もし米国軍の軍人と、私達の武装部隊を支持してくれている人々が、ウイルスが大流行の中で防護する装備(PPE)、命を救う薬品とその他の必需品を得ることができずに、疫病の中で倒れたとすれば、私達の国家安全が脆弱なものとなり、外敵はこの状況を利用して、私達を侵攻することができる」

 「米国は中国から輸入した大量の薬品に依存し、例えば、抗生物質、イブプロフェン、ペニシリン、アセトアミノフェンに対する依存は、すでに知られている」


		
 「人々が承知したように、中共はウイルスを隠蔽し、自分らの不利にならないようにコントロールしたため、ウイルスの拡散は米国、欧州ならびに全世界に及んでいる。これからも私達のサプライチェーンを中共に握らせて良いのか? 絶対にそうしてはならない」と指摘した。

 さらにコーエン氏は米国政府に対して、薬品製造施設への予告なしの検査を行なうよう強く求め、規定で定められた薬品の活生成分の含有量、品質と安全基準の確保、生産記録データーの確認をして、偽薬の製造防止に努力するよう求めた。

 「私たちの生死に関わる薬品と医療品、例えばマスク、手袋、呼吸器などは外国の医薬品に依存してはならない」

 コーエン氏は文書の最後に、「要するに、トランプ政権と国会は個人の企業と協力して、以上の問題を解決するために国内で薬品の生産能力を大幅に高めることである。米国の未来は風前の灯火にあり、すでに時間を浪費する余裕はない」と締めくくった。

 トランプ政府は法律の原案を作成し 医薬品サプライチェーンをアメリカに戻す

 トランプ政権はすでに医療品を外国に依存しすぎていることに気づき、サプライチェーンを米国に戻すための法律の作成を始めているという。

 3月16日、ホワイトハウス貿易顧問ピーター・ナバロ氏は、CNBCのインタビューで、「彼(トランプ大統領)は大統領令の作成を始めており、医療品のサプライチェーンを海外から米国に戻すよう要求した」

 「70パーセントに相当する薬品成分は外国からの輸入である。中共ウイルスの蔓延によって引き起されたマスクに対する需要から、米国は外国のサプライチェーンの依存に突出していることは明らかである」

 「この政令(大統領令)は、すべての物(医薬品)を我が国に戻し、こうすれば私達は安心することができる」

 3月19日、共和党議員・トム・コット氏と、マイク・ギャラガー氏は「我々の薬品のサプライチェーンを中国の侵害から保護する」法を提出し、法律で中国製医薬品への依存を終わらせることを希望している。


中国で製造された薬

 国際社会はすでに、中国の「世界工場」で作られた医薬品の依存によってもたらされた、破滅的な結果を認識している。中共に対する依存を必ず放棄することで、風前の灯火から抜け出すことができる。

 (※)サプライチェーン:製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費までの全体の供給連鎖をいう。

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2020/3/31/403218.html)