カナダ前司法省長官 孫茜さんの重刑判決について語る
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 【明慧日本2020年7月11日】(カナダ=明慧記者)カナダ国籍の孫茜さんが6月30日、北京市の朝陽法院(地裁)で懲役8年の実刑判決を言い渡された事件について、カナダの前司法省長官アーウィン・コトラー(Irwin Cotler)氏は、「無実の人を犯罪者にする中国共産党(以下、中共)による迫害事例であり、中国の法の支配に対する根本的な破壊だ。中国が加盟している国際条約を根本的に違反する行為」と述べた。コトラー氏は孫茜さんの法律顧問を務めている。

6月30日中国で実刑判決を受けた法輪功学習者・孫茜さんについて、記者会見を開いたアーウィンコトラー氏

 2017年カナダ国籍の孫茜さんが中国に里帰りした際、現地の警察に強制連行されて以来、コトラー氏は孫さんの案件に関心を寄せ、北京の弁護団の一員になってこの案件を担当している。

 コトラー氏「孫茜さん重刑は無実の罪で決められた」

 コトラー氏は、孫さんの案件は典型的なケースであり、一人の法輪功学習者が何かをした、誰であるのかで有罪判決を受けたのではなく、彼女が真・善・忍の価値観の信仰者で、この価値観が法輪功修煉者全体の中で現れているために、有罪になったという。

 同氏は、法輪功を修煉しているがために、孫さんは恣意的に逮捕され、拘留中に肉体的、精神的に拷問を受けた。弁護人依頼権と公正な裁判権を奪われ、彼女が依頼した弁護人は嫌がらせや脅迫を受けた。このような状況下で、彼女の基本的な自由——良心と信仰の自由、言論の自由、結社の自由と集会の自由、これらの自由がすべて犯罪だと決めつけられている。

 このことから見てもすでに結論が出でいる。これは中国の法の支配に対する根本的な破壊であり、中国が加盟している国際条約に対する根本的な違反をしていると言える。

 2017年2月、20人以上の警官が孫さんの住居に侵入し、野蛮にも孫さんを含めて4人を強制連行した。コトラー氏は、孫さんは残酷な虐待と拷問を受けて非常に悲惨である。同氏が言うには、拷問は一回のみならず、彼女本人の話によると、拘留された8カ月の間、すべての権利を奪われ、鉄の椅子に手錠で固定され、コショーをかけられ、洗脳を受けさせられたという。

 「今は、時が経つにつれ、彼女が刑務所の中でどのような拷問を受けているのかは、もう知る余地がなく、どれだけの傷を負わせられたのか? 家族と友人がどれほど嫌がらせと脅迫を受けているのかは分かっていない。これは中国の法律の残酷で非人道的な侵害である」とコトラー氏は語る。

 同氏が言うには、中国においては孫さんだけがこのような状況に置かれているのではなく、他の政治犯も同じように扱われ、この種の現象は中国では(普遍的)に存在する。

 「孫さんは勇敢に抵抗した。私は、彼女が心身ともに残酷な拷問を受け、それに長期にわたる強度の洗脳を・・・受けさせられていると疑っている。、私達はその残酷な非人道的な洗脳術を知っている。これが同様なケースの99パーセントを有罪にした原因であり、実際にはあらかじめ決められた有罪判決と刑罰だったのである。 孫さんの弁護団には11人の弁護士がいたが、嫌がらせや脅迫、または逮捕され、最後には弁護士がいなくなり、政府の見方をする弁護士一人をつけられた」とコトラー氏が話す。

 同氏は、このような案件は弁護士の弁護によって逆転無罪になることはない。最初から有罪の推定をしているため、私が話したように、被害者ははじめから無実であり、ただ法輪功学習者であることだ。これは中共政府が彼ら(司法関係者)に指標を決められ、それは法輪功学習者であれば有罪だということである。 中国において法輪功学習者になることは違法である。(編集者注:事実上、中共は法輪功に対して法律に基づいて実施したことがなく、ただ法律をかざして法輪功学習者を迫害している。中国の法律には法輪功を修煉して罪だという条文はない)これは信仰が罪だという取り決めであり、彼ら(法輪功学習者)が何かをしたからではないという。

 コトラー氏は、「中国において孫さんの弁護士が迫害をうけ起訴された、驚く事案が発生している。私は彼ら(弁護士)を称賛したい。孫さんの事案の弁護を引き受けたために嫌がらせや脅迫、一部の人は逮捕され、または弁護士免許をはく奪された」と補足して話した。

 孫さんは依然としてカナダの公民である

 中共は孫さんにカナダ国籍を放棄するように脅迫しているが、コトラー氏は「孫さんは依然としてカナダの公民である。彼女は自らカナダ公民の身分を放棄する行為は何も行なっていない、なぜならば、これは虚偽と強迫による自白の一部分だからである。カナダ政府は彼女をカナダの公民と見なすべきで、即時の釈放を求め、中共の中国人に対する一切の拷問と虐待を停止するよう要求すべきである」

 同氏は、中共が加盟している国際条約を尊重するよう促し、中国とカナダはともに『市民的及び政治的権利に関する国際規約』の加盟国であるという。だから中国は国際社会において義務を担うだけでなく、、カナダを含むこれらの規約の加盟国に対しても義務を負わなければならない。カナダには、これらの条約を支持する権利を有し、中国に対して、これらの条約の違反や拷問をやめるように要求する権利がある。かつ、これらの条約を守る義務があり、中共の条約違反行為の停止、拷問の停止、不当な逮捕と不公正な拘禁の停止を求めるべきであるという。

 中共と中国人を区別して接する

 コトラー氏は、「私は常に中共当局と中国人を区別して接している。中国国民は不幸にも迫害と処罰の標的にされ、特に法輪功学習者が、他にはウイグル人、チベット人もそうだが、今では香港人も窮境に陥っている。近い将来台湾も標的になるのではなかと思う人がいるかもしれない」

 「中国人は偉大な文明の継承者であり、人々が鑑賞する偉大なる文明の継承者でもある。この文明の豊かな知識は海外に居住する華人によって、カナダや他国に伝わり、これらの国が偉大なる中華文化の受益者になった。残念ながら、中共政権はあらゆる面で法の支配を破壊し、国際条約に違反し、法治主義の価値を失い、中国の偉大な文明と文化を裏切ったのである」

 そのため、コトラー氏は心から中国の偉大なる文化を大切にするように、世界と分かち合う偉大なる価値観を大切にするように、すべての人に受益が出来る偉大なる文明遺産を大切にするように中共に呼びかけた。そして迫害を停止して無実者への逮捕を止めて、国際社会で責任を負えるメンバーになろう。思いのままに普遍的な価値観や規範に違反するのではなく、普遍的な価値観の擁護者になりなさい、と呼びかけた。

 孫さんの案件は中共による法輪功に対する大規模な弾圧のモデルである

 コトラー氏が強調したことは、孫さんの案件は一つのモデルとして、中共が法輪功学習者に対して大規模な迫害と処罰が行なわれていることを反映している。この案件に関心を持つのは、孫さん自身の権利だけに関心をもっのではなく、迫害に遭わされている法輪功学習者の事例に対する研究でもあり、これは大規模な迫害の一つにしか過ぎない。

 コトラー氏が担当した最初の政治犯(良心の囚人)の一人は、著名な画家である張昆侖教授であった。張教授は元マギル大学の教授だった。親族訪問で中国に戻った張教授は坐禅の煉功の最中に連行された。

 コトラー氏は張教授の救出について、「彼の釈放を確実にするために大規模な救出作戦を開始した 。しかし、それは2001年のできことで、その当時、私達は今日のような広範囲な迫害や監禁について話が及んでいなかった」

 一部の文章によると、孫さんが重刑の処されたのは、孟晚舟(ファーウェイの副会長で最高財務責任者、カナダに拘束されたことがある)事件と関わっており、(中共)の報復だという。中共政府に拘束された、カミングさんとスパボさんのように、彼らは非常に悪劣な人質外交の被害者になった。孫さんの案件は孟晚舟事件の以前に起きており、彼女は不当に拘留され、拷問と監禁を受けている。

 コトラー氏はこのことについて、「孟晚舟事件が発生して以来、中共はあらゆる手段でカナダに報復し、これは一種の報復性のあるパータンである。孫さんの案件も報復パータンの一部分であり、私達は大規模に弾圧されている法輪功学習者をもっとこの一環だと見るべき」と語った。

 中共は弾圧の手段を広めている

 コトラー氏は、中共は自国民に対する大規模で恐ろしい弾圧を取る可能性があると認識しているという。

 同氏は、「中共はすでに国家安全法を香港市民の同意なしに香港市民に押し付けた。この法律は(中共の)立法機関で成立し、香港政府が実施することなっている。この法律は中国から来ており、香港人が基本的な自由を守ることが刑事犯罪だと位置づけをしている。これだけに留まらず、香港で起訴された公民を中国国内で裁判を受けさせことができ、その結果は私達には分かっている。この国家安全法の実施は中英条約に違反するだけでなく、1997年の宣言は国際条約の地位を持ち、言論の自由と良心の自由を保障した香港の基本法にも違反している」

 「10日前の報道のよると、新疆の100万人のウイグル人は強制収容に直面し、強制避妊手術を受けさせられるという。ある意味ではこの行為が一つの民族の全部、あるいは一部を消滅することである。種族ジェノサイドの犯罪である。このことから、中共当局は恐るべき具体的な形式で大規模な弾圧を行なっている」と述べた。

 「私達を消滅するのは妄想だ! 私達は一体である」

 コトラーさんは、「全世界が手を取りあって中共に対抗しなければならない。全世界の議会がすでに一体になろうとしている。3週間前、中国問題に関する国際議会連盟が設立され、加入する民主国家の議会議員は相次ぎ、今のところ15カ国にのぼる。連盟議会の目的は中共の人間の価値観を遵守させ、もしできなければ責任を負わせる。私達は信じている、これらの議会と政府は一致団結して、継続して自由と独立を守る。民主国家の政府は連盟議会に加入した議員を支持し、世界各地の公民社会を支持し、中国で勇敢に立ち上がる市民を支持し、彼らは生活設計を立てながら、中共と向き合い、第一線に立ちこれらの価値観を守っている」

 「中国は経済大国になり、国際相互コミュニケーションにおいて大きな影響力を持ち、独立した国家に対しても大きな影響力を持っている。カナダのような国家にとって言えば、一国で中共に対抗するのはとても難しく、オーストラリアのように独自に中共に対抗するのは非常に困難である。しかし、民主国家とその他の国が一緒になって、一つの共同体が形成ができれば、私達は『もうたくさんだ! 私達を消滅しようとするのは妄想だ! 私達は一体になっている』と中共に言える」と話す。

 コトラー氏は、私達は物資をほかの場所(国)に移転し、サプライチェーンを新たに構築して貿易関係を作り上げ、こうなれば集団的な関係の定義を新たに作ることができるという。

 同氏は状況は必ず変わると確信している。もしかすると、これは中国と国際社会、民主国家と中国との関係正常化の始まりであるかもしれないという。

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2020/7/8/408645.html)
 
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