【明慧日本2023年7月9日】(明慧記者・王英)ロサンゼルスの親中華僑リーダーである陳軍(John Chen)と林峰(Lin Feng)がFBIに逮捕された事件で、米国の雑誌『ナショナル・レビュー』は5月26日付でジャーナリストのジミー・クイン氏の記事を掲載した。記事によるとFBI捜査官は、中国共産党(以下、中共)の「610弁公室」の天津駐在の役人が裏で指揮していたと発表した。当該部署は、中共の法輪功学習者に対する弾圧キャンペーンを実行する部署で、法外な権力を有する。
記事によると、米司法省は5月26日に公表した刑事訴状で、中共政権公安部の代理人として働く2人の男が、法輪功学習者に対する中共の嫌がらせをさらに助長する目的で、国税庁の職員に賄賂を渡そうとしたことを明らかにしたという。
被告らは当日、未登録の外国代理人としての活動、マネーロンダリング、贈収賄などの容疑でカリフォルニア州で逮捕された。
メリック・ガーランド米司法長官は声明の中で、「中共政権はまたしても、ここ米国で中共を批判する人を標的にしようとしたが、失敗した。司法省は、中国政府による批判者を黙らせ、その政権の影響力を米国領土にまで拡大しようとする取り組みを引き続き調査し、くい止め、起訴していく」と述べた。
連邦検察当局が提出した刑事訴状には、被告の陳軍と林峰が国税庁捜査官にお金を支払い、国税庁に法輪功の非営利団体の免税資格を剥奪させようとした陰謀が記されている。2人ともロサンゼルス在住だが、前者は米国籍で、後者は中国籍である。
陳軍は1月からこの計画を練っており、中共政権が目指している法輪功の「打倒」をさらに推し進めることができると話していた。法輪功は、中共政権による容赦ない迫害を受けている気功団体である。フリーダム・ハウスは2017年の報告書で、「中国全土の法輪功学習者は広範な監視、恣意的な拘束、投獄、拷問を受けており、超法規的処刑に遭う可能性が高い」と指摘している。
法廷文書によると、陳軍と林峰はある中共政府高官と協力し、法輪功団体がその非営利資格を濫用しているとして、国税庁に内部告発を行った。
司法省はこの点について明言しなかったが、刑事告訴状を作成したFBI捜査官のクリストファー・エシック氏は、天津にある中共公安部610弁公室の役人がこの陰謀を裏で指揮したことを示唆した。
被告2人は5月初め、国税庁の内部告発プログラムに携わる国税庁職員を装った覆面捜査官と面会し、法輪功組織に対する監査調査を進める見返りとして、捜査官と思われる人物に5万ドルを支払うことを約束した。
国税庁の内部告発プログラムでは、誰かが国税庁に通報し、それが国税庁の行動(措置)につながった場合、国税庁は内部告発者に報酬を支払うことになっている。エシック氏は訴状の中で、陳軍と林峰が提出した報告書は法輪功組織の非営利資格の剥奪につながる可能性が低いと書いた。
5月、陳軍と林峰はそれぞれ中国に行き、賄賂に使う現金数千ドルを持ち帰った。逮捕前の5月18日、陳軍は覆面捜査官に、自分と林峰は今夏にも数回中国に行き、賄賂用のお金を持ってくる予定だと話した。
米司法省は現在、他にもいくつかの中共政府による国境を越えた弾圧事件を起訴しており、その大部分は米国内での中国の反体制派に対する尾行や嫌がらせに絡むものである。前月、検察当局は2人のニューヨーカーをマンハッタンで中共の警察署を違法に運営した容疑で起訴したと発表した。
中共の工作員が贈収賄によって米政府機関に潜入し、さらにその嫌がらせ計画を進めようとしたのは今回が初めてではない。連邦検察当局が2022年に起こした他の訴訟では、ファーウェイの起訴に関する米司法省の機密文書を賄賂で入手し、さらに米国の反体制派の個人情報を入手しようとするものもあった。
(編集責任者:李言)