文/中国の大法弟子
【明慧日本2024年11月8日】私は2022年、明慧ネットの中国総合欄で見かけたニュースで、ある同修が年金を人力資源社会保障部に差し押さえられたと訴え、その裁判が○月○日の午前9時に開廷されるという情報を得ました。私はこの知らせに大変驚きました。なぜなら、これまでネット上で目にしてきた多くの報道は、大法弟子が不当に裁判にかけられたという内容ばかりだったからです。しかし今回は、大法弟子が原告となって人力資源社会保障部を訴え、中国共産党(以下、中共)による経済的な迫害を否定し、裁判所がすでに大法弟子の訴え受理し、公開裁判を行うという、地元では初めての事例でした。
開廷の日、私は別の同修と一緒に裁判所へ向かいました。場所が少し分かりにくいところだったので、多くの人に尋ねても誰も知らず、とても焦りました。心の中で師父に助けを求めました。しばらくすると、1人の中年男性がオフィスビルから出てくるところを見かけ、急いで声をかけ、裁判所への行き方を尋ねました。すると彼は「私は長距離バスターミナルに行くところで、途中で裁判所の前を通るよ。一緒に来なさい」と言いました。私たちはなんとか開廷時刻に間に合い、身分証明書を見せて法廷に入ることができました。
ホールにはたくさんの人がいて、前方の席に空いているところを見つけました。そこへ近づき、隣に座っていた、白髪交じりで70歳くらいと思われる女性に「この席、誰かの席ですか?」と尋ねました。すると「空いているから座りなさい」と女性は答えました。その女性は私に話しかけてきて「開廷を待っているの?」と尋ねました。私は「違います。親族の裁判です」と答えました。そして「あなたは?」と尋ねると「私も」と答えたので「お名前は?」と尋ねました。その女性は自分の名前を教えてくれましたが、よく聞いてみると、明慧ネットに開廷情報が掲載されていたまさに年金を差し押さえられた被害者であるその同修でした。私は、このような偶然は師父が私たちをうまく引き合わせるようにしてくださったのだと感じ、この一件をうまく進めることができるだろうと思いました。
開廷時間が来て、私は家族の名義でその同修と一緒に法廷に入りました。原告は同修1人、被告は人力資源社会保障部の課長と弁護士の2人体制でした。原告と被告の弁護士は激烈な議論を展開しました。私は法廷に座り、師父のご加持の下、強大な正念を発し、他の空間の邪悪を浄化しました。特に相手側の弁護士が意見書を読んでいる時、そこには事実を歪曲し、法輪功を中傷する多くの嘘が含まれていました。弁護士が真実を知らないまま悪事を働き、同修を含め弁護士自身をも害してしまうことを恐れて、私は弁護士に向けて正念を発し、背後で操り弁護士を利用しようとしている邪悪を浄化し、弁護士が救われるよう願いました。正念を発した結果、相手の弁護士は咳き込み始め、声がうまく出なくなりました。後で聞いた話では、その弁護士は法廷で多くのミスを犯したため、解雇されたそうでした。
裁判全体の過程は1時間以上かかりました。中国では司法が独立しておらず、初級法院(訳注:日本の地方裁判所に相当)は事実関係を無視し、権力に左右されて不当な判決を下すことがあります。今回のケースでも、同修は不当な判決に抗議し、法律に基づいて中級法院(訳注:日本の高等裁判所に相当)に控訴しました。中級法院は、同修の訴えを受け付けました。
開廷の時間が遅いことを知っていましたが、念のため急いでタクシーに乗り、中級法院の玄関前に着きました。しかし、慌てていたため、身分証明書を忘れたことに気づきました。その時、私は「自分は法輪功修煉者であり、今日は師父が法を正すお手伝いをし、衆生を救うためにここに来た。これは最も正しいことだ」と考えました。「身分証明書を持っていなくても、法輪功修煉者であるということが私の身分であり、宇宙全体で認められていることだから、誰も私を妨げることはできない」と心の中で思いました。警備員は、どうすればよいかを裁判官に尋ねるため、電話をかけました。しばらくして、書記官が来て状況を聞き取り、私を法廷に連れて行き、家族としての傍聴を許可しました。
今回の裁判では、原告側は同修1人だけで、弁護士を雇わずに自ら弁護を行いました。被告側は、法人代表として課長1人、そして新しく弁護士を1人立てていました。原告と被告はそれぞれ、自分の主張を述べました。原告の同修は「私は江沢民が憲法に違反し、権力を利用して法律を無視し、個人的な利益のために真・善・忍の原則に従って善行を行っている人々を迫害したことについて告発しました。そして、江沢民を処罰し、国民に公正な判決を下すよう最高人民法院(訳注:日本の最高裁判所に相当)に求めました。これは市民が正当に行える訴えですが、公安当局から報復され、濡れ衣を着せられて3年間の冤罪判決を受けました。その間、人力資源社会保障部は私の知らないうちに、私が受け取るべき年金を不正に差し押さえていました。このような違法行為を止め、年金を返還し、私に謝罪すべきです」と言いました。
裁判中、裁判官をはじめとする全員が静かに原告(訳注:同修)の話を聞いていました。法廷全体が慈悲深く穏やかな空気に包まれました。最後に、原告は自身のこれまでの経験を話しました。幼い頃から先天性の小児麻痺で車椅子生活を送り、身の回りのことができなったこと、法輪功の修煉を通して健康を取り戻し、今では自由に動き回り、1人で買い物に行ったり家事をしたりできるようになったことなどを伝えました。自身の変化を通して、法輪功が国にも国民にも「百利あって一害なし」という高徳な大法であることを証明できると伝えました。重度の障害を克服し健康を取り戻すことは奇跡的な出来事であり、このようなことは、千万年に一度の機会であることを強調しました。
裁判の時間は約1時間半続きました。最終的に原告と被告は最終陳述の段階に入りました。裁判長が被告に最後の陳述があるかを尋ねると、被告は何もないと言いました。次に原告に尋ねると、原告は「はい」と答え、法廷で穏やかな声で師父の経典『なぜ人類が存在するのか』を読み上げました。誰もが静かに聞き入っていましたが、約5~6分後、裁判長が原告の話を遮り「あなたの言いたいことは理解しました。他に何か言いたいことはありますか?」と尋ねました。同修は「最後に、皆さんが善良を選択し、素晴らしい未来を迎えられることを願っています」と言いました。裁判長は「はい、私たちは皆、善良を選びます」と言い、退廷を宣告しました。判決は後日通知されることになりました。1カ月後、判決が出され、原告(同修)は勝訴し、人力資源社会保障部は不当に差し押さえていた年金を返還することになりました。
修煉者として、私たちは、私たちに強要されたこの不当な迫害を黙認すべきではありません。法律を利用し、真相を伝え、衆生を救うべきです。