二つの民話 蜘蛛の糸と石の獅子の物語
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文/中国の大法弟子 鐘延

 【明慧日本2020年3月2日】人の一生の間には、いろいろと選択することに直面することが多いのですが、善と悪に対する選択は、人間の一念によるものです。「佛性がひとたび現われると、十方世界を震わす」という言葉があり、「善の念は天国に導き、悪念は地獄に陥る」ということです。災害や死に神に遭遇した時、その一念によって、生死の存亡が決められるのかもしれません。次の二つの民話は、このことを語っていると思います。

 蜘蛛の糸

 佛教の経典の中にこんな話があります。昔、乾達多(カンダタ)という悪事の限りを尽くした悪人がいました。ある日、彼が歩いている時、足元にいた1匹のクモを踏みつけそうになったところ、突然、慈悲の心が芽生えてきて、「クモはこんなに小さな命だが、俺は踏みつぶす必要があるのか? いや、ない」と思い、足を一歩前に踏み出して避けて通り、クモの命を助けました。

 しかし、乾達多は凶悪な悪事を尽くした挙げ句、死後は、底の見えない地獄に落ちてしまいました。苦しみの最中で、突然空から鋼の針のような1本のキラキラと輝くクモの糸が降りてきました。乾達多はまるで遭難した船に助け船が来たのを見たかのように、すぐにクモの糸を掴んで登り始め、煉獄の苦しみから脱出しようとしました。

 乾達多は途中まで登って下を覗くと、たくさんの人々が自分の後ろから登って来ていました。「こんなに細いクモの糸が、大勢の人の重さに耐えられるだろうか? 万が一切れたら、俺はまた落ちてしまい、永遠に登れなくなるではないか」と心配した乾達多は、足を伸ばして後ろから付いてきた人を次々に蹴落としました。夢中で仲間を蹴飛ばしている時に、突然、クモの糸がプッツリと切れてしまい、乾達多と下の地獄から這い上がって来た人達は、再び一緒に地獄に真っ逆さまに落ち、無限の苦しみを受けることになりました。

 善の一念があったことで、乾達多を地獄の苦しみから解放させて、新たな人生を得る機縁がありましたが、その後の悪念のために、再び地獄の苦しみを嘗めさせられました。これを見ると、善し悪しの一念によって、人間の生と死、安否が決められるのです。

 赤目の石の獅子の物語

 昔々、ある村がありましたが、人々の道徳が悪くなったため、神様はこの村を滅ぼそうと決めました。しかし、菩薩さまがまだ善の心がある人たちを救うため、もう一度チャンスを村人に与えることにしました。それで、菩薩さまは人間界に降り、物乞いに化身して家々を回って食べ物を乞い求めました。しかし、誰一人としてご飯をあげる人はいませんでした。

 菩薩さまは村の入口まで行き、そこである老婦人が仏さまに線香を立てているのを見かけましたので、彼は食べ物を乞い求めました。老婦人は困った表情をして、「私にはごはんが1杯しかないので、あなたに半分を分けて、残りの半分を仏さまにお供えします」と言いました。菩薩さまはここを離れる際に、村の入り口に立ててある石の獅子を指で指しながら、老婦人に「これから先、この獅子の目が赤くなるのを見たら、洪水が発生する時です。すぐに山へ逃げることをよく覚えておいてください」と教えました。

 老婦人はこの情報を村人に伝えましたが、結局、誰一人として、彼女の話を信じようとしないばかりか、「石の獅子の目が赤くなるなんて」と、からかったり、バカにしました。

 ある日、村の数人の怠け者が老婦人をからかおうとし、赤い染料で石の獅子の目を真っ赤に染めました。老婦人はそれを見ると、大声で村民に「早く逃げて! 洪水が来るよ!」と叫びました。村人は老婦人が本当に騙されているのを見て、笑いが止まりませんでした。老婦人は呼び続けましたが、耳を貸そうとする人はいませんでした。皆に無視された老婦人は仕方がなく、たった一人で山に向かって逃げ始めました。突然その時に、洪水が本当にやって来ました。老婦人は走りながら村を振り向いたら、大きな、大きな波に村全体があっという間に飲み込まれてしまいました。そして、村民の笑い声も聞こえなくなりました。

 一つの善念は、老婦人に菩薩さまの警告を聞くチャンスを与えました。しかし、老婦人の警告を聞いた村人は悪念により、老婦人をからかったり、バカにしたり、さらにいたずらをして、本当に石の獅子の目を赤く染めました。結果として、善念を持つ善い人は救われたことに対して、悪念を発した悪人は命を落としました。

 過去の二十数年間、法輪大法の修煉者達は絶えず大法の真相を伝え、「法輪大法は素晴らしい」、「真・善・忍は素晴らしい」を伝え続けているのは、中国共産党が迫害をやめさせ、そして人々が迫害を起こした中国共産党から遠く離れ、災難から逃れるために、正にを選択させるためなのです。

 「一正が百邪を圧する」ということわざがあるように、「真・善・忍」は最も正であり、大きな災害の前に「法輪大法は素晴らしい」、「真・善・忍は素晴らしい」を信じさえすれば、災難から逃れられ、そして自分の素晴らしい未来を切り開くことが出来るのです。

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2020/2/18/401291.html)
 
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