【明慧日本2020年8月26日】朝、出勤途中に無料ニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」を読み、職場に着いたら仕事しながらメッセージアプリ「WeChat(ウィーチャット)」を見て、夜、寝る前に動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を2時間ほど楽しむ。これが、中国の数え切れないほどの若者の日常生活となっている。
公開されたデータによると、TikTokのデイリーアクティブユーザーは4億人で、WeChatのデイリーアクティブユーザーは10億人となっている。
インド政府がTikTokなど100種類以上の中国のアプリの使用停止を発表した後、米国は海外版TikTokの取引期間を制限し、期間内に売却できない場合は使用禁止となる。日本、ニュージーランドなどの国では、TikTok海外版の使用を禁止する提案が出され、世界範囲でTikTokやWeChatを排除する動きは、すでに固まっている。
ただのアプリに過ぎないのに、なぜそこまで騒ぐのだろかと思う人がいるかもしれない。
数え切れない人を虜にしたTikTok
中国では「今日TikTokした?」という流行語がある。ここからTikTokが人々の生活に与える影響が伺え、しかも、その傾向は世界中に広がっている。市場調査会社SensorTowerの4月29日の調査報告(2020年)によると、TikTokおよび海外版TikTokは全世界で20億回ダウンロードされており、ダウンロード回数史上最多のアプリとなったことが分かった。中でも海外版TikTokは、アメリカで1億人もの人が利用しているという。
なぜ人々はこのアプリに魅了されたのだろうか?
TikTokとToutiaoは同じ会社に属しており、その共通の特徴は「アルゴリズム配信」だ。簡単に言えば、ビッグデータを通して個人の好みを収集し、あなたの好みに応じて、同じコンテンツを多く送信するのである。
好みに応じてモノを与え、あらゆる形で満足させ、消費者にとって良いことではないか? もちろんそうとは言えない。人間の心身に対して、健康的な飲食は栄養のバランスを必要とし、偏った食事は一般的には悪い習慣とされている。同様に、健康的な読書は精神の栄養であり、押し付けられた情報だけを読むと偏った情報を信じてしまうのではないか? 中国は昔から「広く意見を聞くと正確な判断ができるが、一方の意見だけ聞くと正しい判断ができない」という言葉がある。
TikTokの「アルゴリズム配信」が「情報の繭」を構築していることは、だんだんと多くの人に知られている。つまり、似たような一方的な情報で繭の周りに織り込んで人を囲み、人の視野をますます狭くさせ、物事に対する判断力を失わせるのである。
TikTokがお笑いのイメージとしてアメリカ社会に進出したのは、確かに理論的な根拠があり、「認知のしやすさ」と呼ばれている。この状態で、ユーザーは疑問も持たずに押し付けられた内容を受け入れ、このすべてが面白く正しいと感じるのだと、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は述べた。
問題は、TikTokが「楽しい」だけではなく、リラックスした雰囲気の中で、同時に、中国共産党(以下、中共)が選択した人間の考えをコントロールする情報を意図的に拡散していることである。
170部門のサイバー警官がTikTokに駐屯
中共メディア「光明日報」の子会社である光明ネットは2019年9月14日、北京で「全国サイバー警察検査執法TikTok号行列駐在儀式」が開催されたと報じた。 全国の省・市レベルの170公安機関のサイバー警察部門が、特殊な勤務アカウントを開設しTikTokに集団駐在すると発表した。
公安部サイバーセキュリティ保衛局の張宏業副局長は、「今回の、各地のサイバー警察部門の集団駐在は、TikTokの独特な利点を活用して、公安機関がオンラインで社会を管理する能力を強化することを目的としています」と述べた。
TikTokはすでに1万人のコンテンツ検閲チームを擁しているが、それでも中共はまだ安心できず、さらに170部門のサイバー警察部隊を駐在させた。これ以外にも党政府機関、政府メディア、公安、交通警察、共青団、裁判所などの機構がTikTokで公式アカウントを開設し、インターネット利用者を監視している。
TikTokは、中国を含むいかなる外国政府の影響も受けないと宣言しているが、親会社ByteDance (バイトダンス)の編集長で党書記・張輔評は、様々な時間、場面で「中国共産党の検閲を厳しく実施するよう」傘下の子会社に繰り返し指示している。一体誰に決定権があるのだろうか?
TikTokは中共の情報戦の「空母」
ワシントン・ポスト紙は2019年9月15日の報道で、TikTokは中共の世界情報戦での最も効果的な武器の一つとなったとの分析を引用した。
今年の武漢肺炎の感染について、中共はずっと情報を隠蔽し責任をなすりつけている。期間中、TikTokで、客観的に分析されたように見える「米軍が武漢に毒を持ち込んだ」とする評論が、公式および個人的なショートビデオとして大量に拡散され、誇張や虚偽の情報を利用者に注ぎ込んだ。 その人気動画のアクセス数は常に数百万回に達している。同期間、国内外で虚言に反論する分析報告も多くあるが、TikTok内での転送は極めて少ない。
TikTokの映像は、米国社会の経済停滞と大量失業に焦点を当て、非感染期間の暴力事件の映像を感染期間のニュースとして社会不安定を浮き彫りにする一方、米国での新型コロナの予防と抑制、経済の活性化、国民の生活支援に関するニュースはほとんど報道されない。
中共の感染情報の隠蔽が国際社会で明らかにされた後、TikTokの映像は、国際社会が中共は情報隠蔽し捏造していると非難することは、中国のコロナとの戦いの実績を否定していると非難した。そして、各国の中共に対する責任追及「新たな八カ国連合軍による中国侵略」を脅威とし、外国を恨む極端な民族主義感情を国民に扇動した。
TikTokの利用者が残したメッセージを分析すると、TikTokが広めた偽の情報は、利用者の大多数(78%以上)を騙すことに成功し、彼らに中共に有利な判断や選択をさせたことが分かった。
同研究では、ByteDanceとTikTokは中共の反米プロパガンダの重要なプラットフォームとなり、中共の情報戦の「空母」になったことが明らかとなった。
最も危険なのはWeChat
WeChatはTikTokよりさらに危険な世論武器である。テンセント(Tencent, Inc.)が発表した情報によると、中国のWeChatのデイリーアクティブユーザーは10億人で、これはインターネット上のほぼ全ての中国人が利用していることになる。
2014年に中国で、公安部がWeChatのバックエンドサーバーを正式に管理すると報道した。これは、WeChatはもはやソーシャルネットワーキングサービスではなく、中共の政権装置の一部であることを意味している。
中共は国際的なソーシャルメディアをすべて遮断し、WeChatの新機能を開発して、中国人の唯一の社交の選択肢として、海外に住む華僑が家族とWeChatでしかコミュニケーションが取れないようにし、WeChatを利用せざるを得なくさせている。彼らは事実上、中共の世論の輪に陥っている。
また、双方の携帯電話の通信料が請求されることで、人々は無料の通信機能を持つWeChatに押し込められ、商業的な支払いに使われるようになると、人々はそれから離れられなくなり、最終的に生活の習慣となった。WeChatの裏には、中共公安部の警官が構えており、彼らはWeChatを通じてユーザーのすべての情報を収集し、中国のほぼ全人口を監視している。WeChatは事実上、中共の国民をコントロールするためのツールとなっている。
中共の検閲体制下では、WeChat上の敏感な政治情報はしばしばブロックされているが、ポルノはどこにでも氾濫している。 敏感な情報にアクセスするには「ネット封鎖を突破する」必要があるが、ポルノサイトは「ネット封鎖を突破する」必要がなく、至る所にある。
WeChatは国内だけでなく、国際社会でも言論統制を行っている。トロント大学のセキュリティ研究グループの「公民実験室」(Citizen Lab)が発表した報告書によると、WeChatが中国本土以外のユーザーの行動を綿密に監視していることが分かった。
アメリカのWeChatユーザーは、WeChatでボイス・オブ・アメリカ(VOA)のURLを送信すると、「このページへのアクセスが停止されました」というメッセージが表示された。
公民実験室の研究では、海外で登録したWeChatユーザーの間で送信されたファイルや画像が、中国へ送信され検閲に引っかかることが判明した。 WeChatのコンテンツ検閲の分析は通常数秒で、禁止されるコンテンツが一時的に消えることがある。
WeChatは新型コロナの真実情報をブロックする共犯者
中国国内のWeChatユーザーは海外の真実の情報を見ることはできないが、海外のWeChatユーザーは中共から発表されたフェイクニュースを見ることができる。
昨年12月31日、武漢の医師・李文亮氏ら8人はWeChatに「華南水産市場でSARSの感染者7例が確認された」というメッセージを投稿し、注意喚起した。 中共はこれらのメッセージを削除し、李文良医師らを訓戒処分とした。
一方、海外のWeChatは中共に協力して穏やかな情勢を作り出した。人々が沈黙している間に、新型コロナウイルスは米国に到達し、急速に広がり収束できない事態になった。
海外のWeChatがウイルスの感染情報を遮断していなければ、もっと多くの人が真実の情報を流していただろうし、人々は早くから何らかの対策法を取るだろう。しかし、海外のWeChatは中共に協力しただけでなく、積極的にコロナに関する情報にフィルタリングをして遮断した。現在に至るまで、米国で16万人近くの死者が出ており、WeChatはどのように責任を負うべきなのか?
WeChatで『大国戦疫』を読んだ多くの華僑は、何も考えずに意図的なプロパガンダを信じてしまい、高額な航空券を購入して感染を避けるために中国本土に帰った。その結果、中共に騙された多くの中国人留学生もすぐにチケットを予約し帰国した。中共は不意を突かれ対応できなくなり、その後、WeChatやTikTokで留学生に帰国しないようにと呼びかけた。
西側のウォッチャーによると、WeChatは中国政府に検閲され不透明のため、西側社会の内部から政治に影響を与えており、トロイの木馬のように西側社会に新たな脅威をもたらしているという。
TikTokがアメリカの若者の主流社会に直接参入しているのに対し、WeChatは主に海外の華人に影響を与えている。この二つを合わせて、国際社会にとって「共産主義」の悪魔イデオロギーがすでにスムーズに浸透しているのだ。
海外の九評編集部が『悪魔がこの世界を統治している』を出版した。同書の中では、「過去一世紀にわたって、共産主義の邪霊が支配できたのは世界の一部分だった。しかし、今日の状況を観察すると、邪霊はすでに全世界を統治していると言えるだろう。人類のあらゆる側面が腐敗している。強大なメディアが人々を洗脳し、騙し、道徳の堕落に拍車をかけた。人々は知らぬ間に伝統から逸脱した」と書かれている。
悪魔に直面している現在、最も良い対処法としては悪魔との関係をすべて断ち切り、思想においてそれを拒絶して否定し、物質においてそれを切り捨て遠ざかるようにすることである。世界各国は一刻も早く政治、経済、出版、文化、教育、芸能など様々な分野から「中共を取り除き」、中共を完全に断ち切るべきであり、そうしないと寄生虫にむしばまれ、その結果は想像を絶するものである。一方、中国の国民は早く真実の情報を見つけ、思想の自由を取り戻し、同時に中共による洗脳と束縛を断ち切ることで、災害が起きた時に即ち自由を取り戻す瞬間となるかもしれない。