文/山河
【明慧日本2020年11月25日】トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染して、国立軍事医療センターに入院したことに対して、10月4日、中国外務省の華春瑩報道官は、「米国のすべての患者が大統領と同じレベルの治療を受けられることを願う」と述べ、アメリカでは、大統領が庶民の受けられない特殊な医療に恵まれているとほのめかしている。
実は、アメリカは、世界で最も裕福で強い国であるが、ホワイトハウス以外に、官僚のための専門医療機関は存在しない。しかし中国では、国民は世界で一番高い医療費を背負っていながら、共産党官僚は世界で最も高いレベルの医療特権を持っている。元副保健相の殷大奎はかつて、中国の年間医療支出の80%が共産党官僚に占用されたと明らかにした。
さらに、北京人民解放軍301病院は近年、中国共産党(以下、中共)のトップ指導者を対象とした医療サービス・「981トップ指導者健康プロジェクト」を開始し、彼らの寿命を150年まで延ばすことを目標にしているという。
中共のトップ指導者らの寿命を150歳まで延長する計画
中国共産党は1930年代から旧ソ連の体制を踏襲して、政府官僚に対して、庶民をはるかに超える待遇を与え、食料品などの「役人特別供給制度」を行なっている。近年、中共幹部は退職後の贅沢な生活に関する情報が時折暴露されている。
2019年9月15日、301病院の「981トップ指導者健康プロジェクト」の広告が中国のチャットアプリ=WeChat上に出回った。これは中共のトップ指導者だけを対象とした医療サービスで、その寿命を150歳まで延ばすことを目標にするという広告は、翌日見えなくなり、理由は「国家機関の名義とイメージの不適切な使用」だった。
中国大手検索エンジン=百度によると、「981トップ指導者健康保障センター」は「長年、中央指導部に仕えてきた医療・健康管理の専門家と優秀な看護師を持ち、世界で最も先進的な予防医療・健康管理設備、診断検査室を保有している」という。981モデルには三つのプロジェクトがあり、つまり健康増進プロジェクト(不病)、若返りプロジェクト(不老)、150歳長寿プロジェクト(長寿)である。150歳長寿プロジェクトはWeChat上に出回った広告の内容と合致している。
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中国共産党高層幹部を対象とした「981トップ指導者健康プロジェクト」
百度の公開データによると、「981トップ指導者健康プロジェクト」の研究チームは2005年に設立され、中国国内の最もレベルの高い専門家170人を選定し、301病院、軍事医学学院などと連携して、「代価を惜しまず」共産党高官の健康を守ろうとしている。
301病院のようなトップレベルの病院のほか、中国各地の公立病院にも「高級幹部病棟」を特設し、各地の観光名所にも高級官僚専用の療養所がある。
例をあげると、数年前に引退したある地方官僚は、1回の入院で300万元(5000万円相当)を費やした。「高級幹部病棟」の費用はとても高くて、生命維持の段階に入ってしまえば、1日の費用は20万元(350万円相当)以上となり、しかもどれほど長く入院しても入院費用を払う必要がなく、すべて国民の税金から払われる。毎年の医療予算のほとんどは、少数の権力者によって使われてきたので、庶民に使える分は残りわずかなので、中国の医療保険改革は10年たっても理想までは、まだ遠いのだ。
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中国では、病院に行けない人がどれだけいるのか?
驚くべき定年退職後の特権
中国官僚の退職後の待遇は多くのランクに分けられており、県とそれ以下のレベルの役人の定年は「定年退職」といい、年金は年功序列に基づいて支給され、医療費も退職前に比べて自己負担率が高くなる。市レベル以上の役人の定年は「離休」といい、「離職して休養する」という意味で「退職」していないことを強調している。給与は定年前と同額を支給され、公的医療も受けられるが、それ以外の待遇は受けられなくなる。省レベル以上の役人は特権的な生活を送り、医療費は100%国家負担となる。
中共幹部の退職後の待遇の高さは、世界的にも珍しいものだ。香港の「トレンド」誌によると、2014年、全国の定年退職した高官に費やした年間支出は675億元以上になる。2014年には中央政治局常務委員、全国人民代表大会議長、国家副主席など12人のトップレベルの指導者の公費支出は3億2600万元と高く、1人当たり2725万元に及ぶ。この12人は全国にそれぞれ複数の別荘を持っている。例えば、江沢民元国家主席は北京、上海、蘇州などの別荘に住んでいる。
トップレベルの指導者はまた自由に飛行機、軍用機、特別列車を使用できる。特別列車を使用する場合、列車の走行沿線に武装護送が配備され、一般列車はすべて停車して特別列車に道を譲らなければならず、たとえ同方向を走行する特急でも、特別列車を通過させるために停車しなければならない。特別列車が出動する場合、北京解放軍総合病院、上海華東病院、広州軍区総合病院は突発事態に備えるため、それぞれ特別医療チームを編成して院内で待機しなければならない。
また、政治局員、全国人民代表大会の副議長、副首相、国務委員、中央諮問委員会の常任委員、中央軍事委員会の委員など上級幹部105人は、「離休」してから毎年使用している支出は6.7億元におよび、1人当たり63万元以上に上る。この105人は、それぞれに警備員2人、運転手1人、事務員2人、料理人1人、医師1人、車2台を占用し、飛行機に乗る際は、付き添いを含めてファーストクラスやビジネスクラスの6~8席を占用し、特別列車で出かける際には1車両を占用するなどの特典を享受する。
中共高官の退職後の驚くべき高待遇
江沢民が政権を握っていた時、その事務所に25人のスタッフと側近を雇用して、2004年、江沢民が中共軍事委員会の委員長を辞めた時、事務所の人数が36人に増えたようだ。江沢民は2012年、上海に150日間滞在期間中に宴会だけで230万元ぐらい費やしたが、すべては公費によって支払われた。
引退した高官の贅沢な生活は「合法的な特権」と呼ばれ、制度によって保障されているが、それでも満足せず、引退後に各種の腐敗に関与して、金を貪るように儲けようとする高官はたくさんいる。
江沢民から発端した公費での整形手術ブーム
2000年以降、共産党幹部の間では整形ブームが起きた。江沢民が率先して整形手術をしたため、それから高官やその配偶者が次々と公費を使って整形手術を行なった。あっという間にその費用は全国の医療予算の7割以上を占めるようになり、当局は整形ブームを制限するための規制を出さなければならないほどだった。
香港の「争鳴」誌の2002年5月の報道によると、中国本土の公的医療には厳しい等級を設けられている。庶民に対して抜歯は公費負担となるが、入れ歯やインプラントは私費になる。しかし高官らの美容整形はすべて公費で賄い、つまり国民のポケットから支払われている。
高官らの美容保健プロジェクトには、顔の皮膚、額のしわ、目じりのしわ、顔や手の甲のシミ、眉毛の美形、ダイエット、薄毛対策、目の下のクマ除去などが含まれる。江沢民は、高官の間で美容整形ブームを起こした最初の人物である。江沢民は脂性脱毛症を患っており、加齢とともに髪の毛が薄くなってきた。2000年以降、江沢民は頭の左右両側で発毛施術を受け、顔の整形も行なった。体型保持や国家主席としての「偉大な」容姿を維持するため、江沢民には健康と身だしなみを管理するスタッフを2人付けている。2人は1991年に陸軍医科大学を卒業してからフランス、イギリス、スイスで研修もしたという。
2002年3月に中国監察部、審査部、衛生部が連携して発表した報告書によると、高官とその配偶者による美容整形に使う公費は、公的医療費の7割以上を占めることが分かった。現在、省レベル以上の高官とその配偶者は合わせて2100人ぐらいいて、彼らが毎年使う医療公費は4億2000万元に達し、中の75%は美容整形、美容治療、健康管理のために使用された。
江沢民の任期中、汚職の横行を生み出しただけでなく、国家機関を利用して真善忍を実践する法輪功学習者を迫害し、国内外から非難された。
法輪功学習者は国内外で江沢民に対する訴訟を提起 |
庶民が病気に罹ると、巨額な治療費で家庭の生計が崩れる
医療保険や社会保障が完備していない中国では、病気に罹った庶民は自助しかない。入院保証金を払えない場合、どんなに重症であっても入院を拒否される。一方、官僚らは病気に罹ってもいない、ただの療養のために巨額な医療費を使っている。
医療資金の無駄遣いが存在すると勤務先病院の約3/4の医師が考えている |
北京理工大学の胡星闘教授は、「現在の中国は、階級特権医療制度を採っている。医療支出の8割以上が高級幹部の治療と保健に使われているのに対し、10億人の庶民には1割程度しか使われていない。財源不足により、公立病院が高額薬の販売や高い治療費の徴集をせざるを得ず、その負担はすべて国民に背負わせている。体制改革をしない限り、高額医療費の現状は変えられない」と指摘した。
2012年夏のダボス会議で、当時中国の陳竺朱保健相は、中国の保健支出はGDPの5.1%しか占めておらず、高所得国(平均8.1%)より低いだけでなく、低所得国(平均6.2%)よりも低いと述べた。一方、ブラジルとインドの保健支出はそれぞれGDPの9%と8.9%に達した。陳竺氏は、総医療費支出が低くて個人負担割合が高いのは、中国の医療の現状だと述べた。2000年の個人負担の割合は59%に達して、先進国やほとんどの開発途上国の割合よりはるかに高いという。
2013年、上海復旦大学の葛剣雄教授は、退職した官僚の処遇、処遇の時効がないか、家族が適用対象に含まれるかどうかなどを明確に規定するように提案した。また、退任した国家指導者の処遇について「その金額を明確にすべきで、高待遇は配偶者や子孫にまで及ぶべきでない。国民の税金をこのように無駄遣いをしてはならない」と指摘した。2013年8月26日、北京協和医院産婦人科の章蓉娅医師は実名で、国家保健委員会に「高級幹部の無料保健待遇の廃止」を提案した。
公費は国民の税金から出て、共産党官僚に贅沢に使われている
医療特権の他にも、共産党幹部の特権的な支出は驚くほどの金額に及ぶ。2006年8月10日、国家情報センターは「歳入改革、静かな革命」と題した記事を発表し、2004年の公費での財政支出総額は12086億万元(約1兆93376億円相当)であって、歳入総額の47%を占めている。中に宴会に使用されたのは3700億元、公用車が3986億元、海外旅行が2400億元、ギャンブルに使用されたのは2000億元と指摘した。
中国国民が創出した歳入のうち、ごく一部が国民に使われ、大半は政府、官僚、官僚と結託する商売人のポケットに入った。
民主体制の国の官僚は特権を持たない。民主国の高官が退任したら一般庶民の待遇に切り替わる。イギリスのブレア元首相は退任後、講演をしたり、不動産投資をしたりしており、ドイツのシュレーダー元首相は退任後に講演をするほか、企業のコンサルタントとして働いている。ゴルバチョフ氏も広告に出演したりした。一方、中国共産党の高官は生涯にわたり国民にしがみついて、国民の血を吸ってきたことに対して罪悪感のかけらもなく、中共の「吸血鬼」体質を露呈している。
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