遅れた謝罪
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文/中国の大法弟子

 【明慧日本2021年3月14日】ある日、私はいつもと同じように真相を伝え人を救いに出かけました。私はあるハイパーマーケットの中に来ていました。白髪だらけの老人が、ふらつきながら、絶えず何か独り言を言っているのを見ました。私は老人の前に行って「兄さん、何を買いにきたんですか? まだ気に入った物は見つかっていませんか?」と話し掛けました。老人は「私はゆったりとしたカジュアルな高齢者向けの服が欲しいのですが、いくら歩いてみても、見つかりませんでした。どの服を見ても、体を縛るようなぴったりくっつくような服ばかりです。こんな服を着たら、人間らしさがあると思いますか? この社会は、本当に人を鬼に変えようとしています」と言いました。

 老人のこのような率直な性格と口調は、以前会ったことがあるように感じました。私は老人の顔を注意深く見た後、「彼はまさに50数年前、私によって害を受けた同僚の広銀さんだ」と確信しました。私は瞬く間に、あることで心を痛めていた過去の出来事が、心の中に湧いて来たのでした。

 一、過去の出来事

 半世紀前の60年代、私は3年間の中等専門学校だけに通い、すぐ大規模な国営企業兵工場の労働者に配属されました。その後幹部になり、続いて中共の青年団支部委員会の書記に抜擢されました。政治・経済・組織・思想を点検する「四清運動」(1963年)の後期、文化大革命の初め、中共の書記は私に、大会で広銀さんを摘発し批判するようにさせました。私は中共の脅迫と利益に使われており、人の持つべき良知を失っていたため、この事を引き受けました。

 一度、中共組織の「面と向かって暴き出し批判する大会」で、私は心を偽って広銀さんを「摘発」しました。その後、中共はさらに彼の家庭階級区分(貧農、富農、地主、資本家等々)が高い等、ほかのことを「問題」にして彼を工場から追い出したのでした。それ以降、私は広銀さんと再び会うことはありませんでした。しかし同時に、この事で私は心の中に大きな苦痛と後悔を残したのでした。

 50数年前の過去が、一瞬に走馬灯のように思い出されるにつれて、私の目は潤んできました。老人は私のこの尋常ではない表情を見て、手で眼鏡を上へ押し上げると、目を大きくむいて、私をじっと見てきました。その瞬間、2人ともほぼ同時に相手の名前を叫んだのです。私は彼に向かって、深くお辞儀をし、両手で合掌しながら、この心の中に50数年もの間、ずっと押さえつけていた苦しく悔やみきれない今の気持ちを、心から懺悔しながら話しました。「広銀さん! 私はあなたに、本当に申し訳ないことをしました。いま私はあなたに心からお詫び申し上げます。あなたは私を許すことができないでしょうね…。あなたは今お元気でしょうか?」。彼はしばらく沈黙し、それから私の手をしっかり握って「あなたもお元気でしょうか? 全てはずいぶん前に過ぎ去った事です。もうそれを忘れてください。私はあなたを恨んでいません。その時のあなたはまだ若く、考えが単純で、社会経験もなく、あなたもあの書記に騙され、欺かれ利用されたのです。私は本当にあなたのせいにしたりはしていません」と話しました。私は「私を許してくださってありがとうございます。私は今とても元気です。法輪大法のおかげです。法輪大法が私を救ってくださいました。そうでなければ、今日こうしてあなたと私は会うことができなかったでしょう」と言いました。

 二、大法は私に新しい命を与えてくださった

 私はちょっと考え込んでから、続けて次のように話しました。「私は中共に騙され、あなたに極めて大きな苦痛をもたらしてしまいました。その後、私も中共の迫害を受け、身心ともに痛めつけられ、30才になる前にはありとあらゆる病気に悩まされました。年を重ねるにつれて、全身の様々な病気が同時に酷くなっていき、自力では生活できなくなり、死んだ方がましだと思うようになり、苦痛の中で10数年間すごしました。1996年、私は幸運にも法輪大法に出会いました。私は大法の宝の書籍『轉法輪』を1回読んだだけで、立ち上がることができるようになり、2回目を読み終えると、私は煉功に行って煉功動作を学ぶことができるようになりました。1カ月後には、私の長年の病気の全てが、いつの間にか無くなりました。私を見てください、今の体がどれほど元気かを! 法輪大法が私に新しい命を与えてくださったのです」

 広銀さんは「私は、中共が法輪功を批判する党員大会で、あなたが共産党委員会の書記と対決し、書記を敗ったと聞いたことがあります」と言いました。私は次のように話しました。「大法の師父が、私が人を救うことを助けてくださり、私は大法の師父の要求に従って、中共の書記本人を含めて、参加した党員を救い、彼らが法輪功を迫害して悪の報いを受け自滅するのを止めたかっただけです。そのために、私は大会で法輪功の真相を伝えなければなりませんでした。『邪道は正道に勝てない』と言うように、中共の話したことは全部邪であり、偽りです。だからそれは当然失敗に終わるのです」、すると彼は「私は法輪功の学習者をとても敬服しています。そして、法輪功を支持しています」と話しました。

 三、中共の組織から脱退

 続けて広銀さんは「話によると王書記は交通事故で死んだそうですが、本当ですか?」と聞いてきました。私は「本当です」と答えました。私は「この悪党が国民に借りた血の償いが、あまりにも多いのです。それを清算する時期になりました…」、「私たちは他の場所を探して、座ってゆっくり話しましょう」と言いました。

 私たちは、各々が簡潔に別れた後の状況を話し合いました。私は「法輪功は真・善・忍を修め、良い人になるように教え、佛家の高いレベルの大法だ」と話しました。そして、法輪大法の素晴らしさを伝え、「全世界の100以上の国や地区で、みな支持されて自由に法輪功を修煉することができますが、中国共産党だけが法輪功を弾圧し迫害しているのです」と話しました。広銀さんは「中共は怪物だ!」とおもわず同意しました。私は「あれは邪霊で、サタンで、悪魔です!」と言いました。私はまた、自分が中共によって監禁されて迫害された経歴や、中共が生きている法輪功学習者の臓器を強奪して販売し利益を得ていることや、貴州の中国共産党が滅びるという文字が浮かんだ「蔵字石」等の真相を伝えました。

 私は「広銀さん、あなたは『天は中国共産党を滅ぼし、脱党して平安を保つ』ということを聞いたことがありますか?」と聞くと、彼は「シールが貼られているのを見たことがあります」と言いました。私は「私は大紀元のネットで、中共組織から脱退する声明を発表して、すでに10数年が経ちました」と伝えました。私は「広銀さん、あなたは党員ですか? あなたは脱退しましたか?」と聞きました。彼は次のように話しました。「私は工場から離れた後、民営の小さな工場に行って技術作業の管理をしました。工場長が退職した後、私はこの工場を管理しました。仕事上の利便性を求め、私も共産党に加入しました。しかし私が退職し共産党組織関係を移転する時、私はついでにその転送書類を焼却しました。それから、私は党費を出さず、中共の党員でもなくなりました」。私は彼に「脱党はとても厳粛な事です。あなたが入党する時、あなたはこぶしを挙げてそれに向けて命を捧げる毒の誓いをした時、それはあなたの額に獣の印を付け、あなたはまさにそれの一分子になったのです。つまり、あなたが大紀元のネットで声明を発表したら、大紀元に保存された資料は、あなたの為に立証します。ペンネームでも、ニックネームでも結構です。もしあなたがインターネットに接続するのが不便なら、私が代わりにしてあげますよ」と聞きました。

 私の話が終わる前に広銀さんは身を起こし、握りこぶしをした右手を挙げると、「私、広銀は今日、天に向かって誓います! 私は自発的に、国に災いをもたらし民を損なう中国共産党の邪悪な組織から脱退します。断固として打倒します」と言いました。私は「皆が脱退したら、中共も存在しなくなりますね」と話すと、彼は「確かにそうですね」と笑いました。そして彼は「あなたにお願いだが、うちの家内も入党しているから彼女も脱退させてほしい」と言いました。私は「その前に、私はあなたの家に行って、奥さんに直接お会いして謝罪したいと思います。その後、あなたの子供さんたちが加入している共産党、共産主義青年団、少年先鋒隊からみな速やかに脱退してもらいましょう。しかし、自身の同意があってこそ有効なのです」と話しました。彼は「よし決めましょう! 私達はあなたが我が家に来てくれることを歓迎します。私は家に帰ってすぐ彼らと話し、彼らがみな脱退するようにします」と話しました。

 数日後、私は『九評共産党』(共産党についての九つの論評)、『共産主義の最終目的』等の書籍、真相資料が保存されたUSBメモリ、そしてプレゼントを持って、広銀さんの家に行き、もう一度彼ら家族全員に謝罪しました。

 私は心を込めて「私は奥様に謝罪致します。私はあなた達に申し訳ないことをしてしまいました。私を許してください」と言いました。広銀さんの妻は、急いで私をソファに座らせると、私を慰めながら「いま真相が明らかになっているではありませんか? もう過ぎ去ったことは、これ以上言わなくていいんですよ。あなたも間もなく70才になりますね?」と聞きました。私は「今年75才です」と答えました。

 続けて「私と夫はもうすぐ90才になります。いま私達はまだ生きており、これこそが非常に幸運であり大きな幸福です」と話しました。私は続けて次のように話しました。「良い人には善い報いがあるのです。これは天から授けられた福分です。いまも広銀さんたちはこんなに健康で、精神状態がこんなに穏やかなのを見て、私の心はとても慰められました。ご夫婦の健康長寿を謹んでお祈り致します! ご夫婦は、私に寛大で、理解していただき感謝いたします。私もご夫婦が一緒に法輪大法を修煉し、この千年、万年でも得難い返本帰真の正法大道を歩むことができるように願っています」。奥さんは、私にあまり自分を責めないように勧め、また私に幾つかの慰めてくれる話をしました。

 広銀さんは私に、18人の三退(中国共産党の党、団、隊組織から脱退)名簿を1枚渡してくれました。私は「あなたの家族は7人しかいないでしょう? どうして18人も?」と聞きました。広銀さんは「私は公園に行って、私達の知り合いを探し、三退して救いを得て平安を保つように勧めました。長年民に害をもたらした中共が早く解体できるようにと思って」と話しました。

 別れる時、広銀さん夫婦は、私をどこまでも遠くまで送ってくれました。話が途切れることなく、尽きることはありませんでした。奥さんは私の手をしっかり握って、仕方なく去るに忍びませんでした。そして奥さんは「私達はこれらの資料を見終わってから、私も夫もあなたの家に行って、あなたと一緒に法輪功を学びたいと思います」と言いました。私は嬉しくなって「それは大歓迎です! 電話をしていただけば、私は息子の車であなたたちを迎えに行きます」と言うと、奥さんは何度も頷きながら、「そう、そうですね! そうしましょう。また会いましょう!」と喜んで言いました。

 
(中国語:https://www.minghui.org/mh/articles/2021/2/21/418882.html)
 
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